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3章『転生紛擾』
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彼は禁忌を犯した。
神のモノに想いを寄せた。重罪だった。
けれど、神のモノ――神に愛されし存在も彼を愛していた。
神は怒り狂った。
神は彼に力を奪った。
彼は色を失った。美しき漆黒は力を失い、灰色へ。
神は呪った。彼と裏切り者の彼女を呪った。
二人に一生、結ばれぬ宿命を背負わせた。
何度も巡り会い、惨劇を繰り返した。
それでも彼は諦めなかった。
次こそは幸せにしてみせる、と彼女の冷たい手を握りしめ何度も息絶えた。
――彼は魔に堕ちた。
力を得る為に、己と引き換えに。
彼の瞳が灰色に光る。力が全てを飲み込む。
それでも彼女の祝福されし存在の力には敵わなかった。
何度も、
何度も、
繰り返した。
世界が壊れ、再生を繰り返す度に。
――彼は救いたかった。
己の力で苦しむ彼女を、救いたかった。
残酷な力から逃れられない君を、救いたかった。
*****
「お兄…ちゃん?」
柚が心配そうな表情でタマキを見上げている。何も知らない柚。知られる訳には、思い出させる訳にはいかなかった。
この輪廻で苦しむのは自分だけで、良いんだ。
「ごめん、嬉しくて」
タマキが笑えば、柚もつられるように笑みを零す。ずっと焦がれていた笑みだった。
「本当…悪趣味」
無意識にぽつり、と呟いた言葉は柚には届かなかった。
彼は禁忌を犯した。
神のモノに想いを寄せた。重罪だった。
けれど、神のモノ――神に愛されし存在も彼を愛していた。
神は怒り狂った。
神は彼に力を奪った。
彼は色を失った。美しき漆黒は力を失い、灰色へ。
神は呪った。彼と裏切り者の彼女を呪った。
二人に一生、結ばれぬ宿命を背負わせた。
何度も巡り会い、惨劇を繰り返した。
それでも彼は諦めなかった。
次こそは幸せにしてみせる、と彼女の冷たい手を握りしめ何度も息絶えた。
――彼は魔に堕ちた。
力を得る為に、己と引き換えに。
彼の瞳が灰色に光る。力が全てを飲み込む。
それでも彼女の祝福されし存在の力には敵わなかった。
何度も、
何度も、
繰り返した。
世界が壊れ、再生を繰り返す度に。
――彼は救いたかった。
己の力で苦しむ彼女を、救いたかった。
残酷な力から逃れられない君を、救いたかった。
*****
「お兄…ちゃん?」
柚が心配そうな表情でタマキを見上げている。何も知らない柚。知られる訳には、思い出させる訳にはいかなかった。
この輪廻で苦しむのは自分だけで、良いんだ。
「ごめん、嬉しくて」
タマキが笑えば、柚もつられるように笑みを零す。ずっと焦がれていた笑みだった。
「本当…悪趣味」
無意識にぽつり、と呟いた言葉は柚には届かなかった。
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