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二日後…

「そうじゃない。右足をこう動かすんだ。」

「は、はい。」

私はクリス王子にスパルタレッスンを受けていた。

「頑張ってください!あ、そこは左足ですよ。」

「う、うん。」

カリーナもまた、ふわふわしているようだが根はしっかりしていて、私のミスは見逃さない。

これでは五日後の作戦を考えられないじゃないの!

私が出来ないのが悪いのだけれど。

「お、そうだそうだ覚えてきたな。でも曲に合ってない。」

「はい。」

曲も…聞かなきゃ…

「あ!そろそろご夕食のお時間ですが。」

「そうか。では、夕食の後に練習するとしよう。」

「はい。そうですね。」

「かしこまりました。では、行きましょう。」


私達はホールを出て、食堂へと向かった。

スパルタレッスンのおかげで足腰が痛い。

けれど、これも作戦のためだと思うと、なんとか頑張ることができる。

「夕食の後、午後八時から練習だ。俺は書類を片付けなければならない。」

「分かりました。」

「だから敬語はやめろって…」

「こっちのほうがしっくりきます。しばらくは敬語で…」

「分かったよ。好きにしろ。」

「はい。」

集中するものは一つにしよう。今は舞踏会に向けて踊りの練習だ。



「あの、マナ様」

「どうしたの?食事中だから喋ってはいけないわよ?」

「すみません。クリス様はコーンスープがお嫌いなのでしょうか。」

「いえ、いつもは食べているわ。けれど、確かに食べるのに時間がかかるかもしれないわね。熱いものは苦手なのかしら。」

「いいえ、マナ様も召し上がっていただくと分かりますが、今日のスープは少し冷めております。」

「カリーナ、見ただけでわかるの!?」

つい、大きな声で叫んでしまった。

「こら。マナ、お食事中に会話だなんてはしたないわ。」

女王様(お母様)に怒られてしまった。

「す、すみません。」

「申し訳ございません。私から話し掛けてしまいました。」

「そう。貴方はまだ新人だから仕方ないわね。以後、気をつけるように。」

「承知しました。」

カリーナも怒られてしまった。

続きの話は夕食が終わってからにしましょう。


クリス王子はコーンスープが苦手?

他のスープは普通に食べるわよね…だから熱いから食べられない…は考えられない。それに今日のスープは冷めている。

やっぱり苦手なのかしら。少し気になるわね。

完璧なクリス王子の弱みを握った感じでいいわ…

ふふふふ……

「マナ様…?」

「あ……」

ついついにやけてしまった。
気をつけないと。



~夕食後~
「マナ様…クリス様のことなんですけれど、私の推測では、おそらくコーンスープが嫌いではないんだと思います。」

「そうだとしたら何が考えられる?」

「その食べ物を食べると何かしらの症状が出る…医学ではそういったものもあります。それに、こういった症状は珍しいものでもなく誰にでも有りゆる事らしいです。」

食物アレルギー。私は生前、卵がアレルギーだったな。
コーンもアレルギーとしてあるのか?

「では、コーン…つまりトウモロコシに何かしら反応してしまうの?」

「いいえ、違います。」

「え?では、何に…」

「おそらくミルクです。」

ミルク……牛乳か。それは考えられる。

「じゃあプリンなども駄目ということなの?」

「おそらくそうだと思います。」

じゃあプリンを作って持っていけばはっきりするわね。
直接聞けばいいことだけれど、本人が原因を分かっているのかも知りたい。
 
踊りのレッスン中に差し入れとして持ってきてもらおう。

「レッスン中に差し入れと言って持ってきてくれる?カリーナ。」 

「かしこまりました。」
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