乙女ゲームの悪役令嬢に転生したらドS王子のお気に入りに！？

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「俺がメイドと踊るから見てて。」

「…わかりました。」

「だから、城の中くらい敬語とか畏まった言葉使わないでよ。」

そうは言われても…
別に興味のある人でも仲良くしたい人でも無いから馴れ馴れしくしたくないだけなんだけど。

「……はい…」

「……はぁ…じゃあ好きなようにして。」

何故それほど上から目線なの！？
何一つ間違った事言ってないのに。
王女よりかは王子の方が身分は上かもしれないけれど、少し気に触る言い方…

これでは千年の恋も冷めますわ。


クリス王子はカリーナの手を取り、曲に合わせて踊り始めた。

王子の言葉に少しカッとなってしまっていたが、優しい微笑みが目に入った途端、胸の奥がきゅっと苦しくなった気がした。

カリーナの軽やかで滑らかな動きにも目が離せなかった。

私もあの二人のように踊れるようになりたい。
見ている人が、目が離せなくなるような…


あ………


一週間後の舞踏会にはノア王女様も来られるのでは？

彼女はコスハレータ王国の王子か使用人と踊るはず…

彼女はクリス王子に気があるから、私がクリス王子と人々を魅了するような踊りを見せつけられたなら、きっと心優しい彼女でも嫉妬し、すぐクリス王子に相手をお願いしに来るはず。
そうしたら、さり気なくクリス王子からノア王女様を引き離すのよ…

この作戦、良いわ。

作戦…というより、その場の雰囲気で彼女をクリス王子から引き離しましょう…


ふふふふっ………

悪役令嬢のお仕事よ！！

前回は失敗してしまったけれど、今回は成功するわ…


まあ、ノア王女様が舞踏会に来るか来ないかは分からないけれど。


「………マナ？？」

クリス王子が呼んだ。
曲も止まっているので、踊り終わったのだろう。

「…考え事？」

「あ、う、うん…そうね。私、少し疲れてしまっているんでしょうか。考え事なんて……ごめんなさい。」

疲れてはいないが、急に倒れた件もあるので、取り敢えずこう言っておく。

「…そうか。まあ、まだ足首も痛むだろうからそこまで頑張って練習しろとは言わないが…まあ、程々に頑張れ。さ、相手してやるから立て。」

「あ、うん。」

敬語以外で話すのにも慣れよう。

舞踏会の時の為にも……