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「カリーナ……あの時はありがとう…私はあなたのおかげで変わることができたの。そうだわ!一緒に庭へ行きましょう!今の季節は薔薇が綺麗に咲き誇っているのよ!沢山お話したい事もある…!」
「マナ王女様…………」
「あれ…っなんでだろ……あはははっ…嬉しくて…!」
気付いたら涙が流れていた。嬉しさのあまり感極まって泣いてしまったんだ。
カリーナは少し困ったような表情をしている。けれど、優しく微笑み、優しく、抱き締めてくれた。
「……もう、嫌だって言っても、無視されても、離れませんからね…!」
「……っ…勿論だよ…ありがとう…!」
私はこの時、ゲームの設定である事もすっかり忘れていた。
もう、これがゲームだとは思えなかったから。私が過ごしてきた日々。
第二の人生だから。
悪役令嬢にこんなにも哀しくて優しいストーリーがあって良いのだろうか。
今は、かつての親友に再会することができて、嬉しいばかりだ。
時間が過ぎるというのは早くて、朝だと思っていたらもう昼。十時になっていた。
私は新しいメイドのカリーナと一緒に、舞踏会に向けて踊りの練習をした。
私はあまり踊りは好きではない。いくら令嬢に産まれたからとはいえ、運動の感覚や思考力などは前世とあまり変わらない。
日々の物語が、私にあわせて進んでいるだけだ。
まあ、これは私の持論にすぎないけれど。
「マナ王女様、ここで右足を出して、左足を後ろに引くのです…!」
「は、はい…!」
えっと、右足を……?後ろ?左足…痛い……
あと一週間だというのに、全く進展がない。
前世でもダンスの振りが覚えられなくてとても困っていた。けれど、生まれ変わっても一緒。何回もやっているはずなのに……
「……はあ…」
「ちょっ!溜め息は駄目ですよ!負けずに粘り強く足を動かすのです!しっかり曲を聞いて…落ち着いて…」
「……はい……」
すうぅ~~ふぅー…
落ち着いて…落ち着いて…落ち着いて……
よし!いける…振りが頭に入ってくる……
「ふ…はははっ…!」
!?
誰!?
「ごめんごめん…!どうしても面白くて…!」
「へえ!?」
急に笑ったかと思いきや頑張っている人に面白いなどと……
クリス王子……!!そういうところですよ!
「マナ王女様…………」
「あれ…っなんでだろ……あはははっ…嬉しくて…!」
気付いたら涙が流れていた。嬉しさのあまり感極まって泣いてしまったんだ。
カリーナは少し困ったような表情をしている。けれど、優しく微笑み、優しく、抱き締めてくれた。
「……もう、嫌だって言っても、無視されても、離れませんからね…!」
「……っ…勿論だよ…ありがとう…!」
私はこの時、ゲームの設定である事もすっかり忘れていた。
もう、これがゲームだとは思えなかったから。私が過ごしてきた日々。
第二の人生だから。
悪役令嬢にこんなにも哀しくて優しいストーリーがあって良いのだろうか。
今は、かつての親友に再会することができて、嬉しいばかりだ。
時間が過ぎるというのは早くて、朝だと思っていたらもう昼。十時になっていた。
私は新しいメイドのカリーナと一緒に、舞踏会に向けて踊りの練習をした。
私はあまり踊りは好きではない。いくら令嬢に産まれたからとはいえ、運動の感覚や思考力などは前世とあまり変わらない。
日々の物語が、私にあわせて進んでいるだけだ。
まあ、これは私の持論にすぎないけれど。
「マナ王女様、ここで右足を出して、左足を後ろに引くのです…!」
「は、はい…!」
えっと、右足を……?後ろ?左足…痛い……
あと一週間だというのに、全く進展がない。
前世でもダンスの振りが覚えられなくてとても困っていた。けれど、生まれ変わっても一緒。何回もやっているはずなのに……
「……はあ…」
「ちょっ!溜め息は駄目ですよ!負けずに粘り強く足を動かすのです!しっかり曲を聞いて…落ち着いて…」
「……はい……」
すうぅ~~ふぅー…
落ち着いて…落ち着いて…落ち着いて……
よし!いける…振りが頭に入ってくる……
「ふ…はははっ…!」
!?
誰!?
「ごめんごめん…!どうしても面白くて…!」
「へえ!?」
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