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行く宛もない。カリーナがどこにいるかも分からない。けれど、ずっと走り続けていればカリーナのところに辿り着ける気がした。

私は、夕日を横目に街の中心地に向かって走った。

途中でいろんな人に声を掛けられたり、指を向けられたりしたが、気にせず走った。

しばらく走っていると、誰かに手首を掴まれた。

「貴方は、マナ王女様?どうしましたか?走って…いろんな人が噂をしているので…」

手首を掴む手は優しく、声を掛けてくれた人は若い男の人だった。

「えっと………と、友達が…引っ越す…から………あの……」

「お別れの挨拶を?」

「……はい…」

その男の人の顔は見ることが出来なかったけれど、きっと、口調から優しい顔だったと思う。

「そのお友達の名前は…?」

「カリーナ……」

「カリーナ…か。」

急に口調が暗くなった。
何か嫌な予感がした。

「実は、街中にマナ王女様とカリーナちゃんが会っているという情報が広がってしまって…それでカリーナちゃんは引っ越さなければならなくなってしまった…もうカリーナちゃんは向かったよ。遠い街に……」

「そんな……………」

私はあまりの悲しみに膝から崩れた。

目からはぽろぽろと涙が溢れてきた。





それから数十分後、逃げ出した私の情報を聞いて、馬車が来た。

城に帰ると、こっ酷く叱られた。

外出禁止令を一ヶ月出された。

そんな事があってから、また部屋から出なくなった。
けれど、誰とでもお話出来るようになった。

もう、あんな事にはならないようにしたかった。

自分が悲しまずに過ごしたい。
自分が後悔しないように過ごしたい。
自分が楽しく過ごしたい。

結局、自己中心的だったのかもしれない。
けれど、やっと自分を切り開くことができた。私にとっては大きな大きな一歩。 

カリーナがいてくれたから私は自分で自分を変えられた。
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