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まずはヒロインである隣の王国の王女様が交流で来た時にしっかり観察しなくては。
コスハレータ王国の王女、ノア=イーダ=ソレイユ。白く輝く綺麗な肌、クリーム色の髪、薄い紫色の瞳。国でも惚れない男はいない程の絶世の美女である。
「子供の頃に二回程会ったことがあり、今回は十年ぶり、三回目って設定だった気がするわ。
子供の頃から会っていたって事はお見合いみたいなものだったのかしらね。
まあ、最初は控えめに行きましょう。面会のお茶会には私もお誘いいただけるでしょうから、王女様が王子と話す機会が無いくらいお喋りしましょ。」
そして交流の日…
お昼になると、予定通り王女様はお城に訪ねてきた。
私達は、揃って玄関でお出迎えをした。
「本日はお会いして頂きまして、感謝します。
お久しぶりですね。クリス様。」
「ええ。十年ぶりでしょうか。随分、お綺麗になられていますね。」
そう言うと、王女様は恥ずかしそうに微笑んだ。
クリスとは、ノルゲンリール王国の第一王子、クリス=ビナー=リールである。
金髪の髪をかきあげているのが印象的な王子で、冷静で優しく格好良い人。
背も高めなので女ならばときめかないはずがない。勿論、国の人達にも男女問わず人気である。
王女様が微笑んだ瞬間、正直、可愛らしいなと思った。
王子に褒められていたけれど、特に嫉妬心などは抱かなかった。それは、挨拶だったから、ではないと思う。
王女様はゲームでも綺麗な人だと思っていたけれど、三次元となっても二次元の面影を残していて、さらに美しかった。
さて、私も何か挨拶をしましょうか。
「ご機嫌よう、ノア王女様。お会いするのは初めてでしたよね?私は、ノルゲンリール王国の第一王女、マナ=シーア=トゥレイナと申します。」
良い忘れていたが、私は腹違いの王女と言ったところなのだろうか。
国王と女王のどちらかと言うと、国王に近いが、私は国王の兄である夫婦の子供だった。
本当の両親はもう亡くなっている。
他の国へ交流に行く際に船が嵐に襲われたのだ。
本当のお父様は生と死を彷徨っていた時に息を吹き替えしたものの、一言言い残して、この世を去ったそうだ。
なので、本当は王女という位ではなかった。
なぜかこのことを知っている人は実は数少ない。
なぜ王女になれたのかは私自身分からない。
そもそもそんな事、あるのだろうか。
謎は沢山あるが、今はなんとかこの崖っぷちの位でやっていけている。
さて、話は戻す。
「この度は遠くからわざわざ来ていただき、有難うございます。」
「ええ。こちらこそ。」
控えめな感じがまた良い。
ふと、そう思ってしまった。
更に、トゥルーエンドのために嫌がらせをするのにも気が引けてくると思ったのだった。
コスハレータ王国の王女、ノア=イーダ=ソレイユ。白く輝く綺麗な肌、クリーム色の髪、薄い紫色の瞳。国でも惚れない男はいない程の絶世の美女である。
「子供の頃に二回程会ったことがあり、今回は十年ぶり、三回目って設定だった気がするわ。
子供の頃から会っていたって事はお見合いみたいなものだったのかしらね。
まあ、最初は控えめに行きましょう。面会のお茶会には私もお誘いいただけるでしょうから、王女様が王子と話す機会が無いくらいお喋りしましょ。」
そして交流の日…
お昼になると、予定通り王女様はお城に訪ねてきた。
私達は、揃って玄関でお出迎えをした。
「本日はお会いして頂きまして、感謝します。
お久しぶりですね。クリス様。」
「ええ。十年ぶりでしょうか。随分、お綺麗になられていますね。」
そう言うと、王女様は恥ずかしそうに微笑んだ。
クリスとは、ノルゲンリール王国の第一王子、クリス=ビナー=リールである。
金髪の髪をかきあげているのが印象的な王子で、冷静で優しく格好良い人。
背も高めなので女ならばときめかないはずがない。勿論、国の人達にも男女問わず人気である。
王女様が微笑んだ瞬間、正直、可愛らしいなと思った。
王子に褒められていたけれど、特に嫉妬心などは抱かなかった。それは、挨拶だったから、ではないと思う。
王女様はゲームでも綺麗な人だと思っていたけれど、三次元となっても二次元の面影を残していて、さらに美しかった。
さて、私も何か挨拶をしましょうか。
「ご機嫌よう、ノア王女様。お会いするのは初めてでしたよね?私は、ノルゲンリール王国の第一王女、マナ=シーア=トゥレイナと申します。」
良い忘れていたが、私は腹違いの王女と言ったところなのだろうか。
国王と女王のどちらかと言うと、国王に近いが、私は国王の兄である夫婦の子供だった。
本当の両親はもう亡くなっている。
他の国へ交流に行く際に船が嵐に襲われたのだ。
本当のお父様は生と死を彷徨っていた時に息を吹き替えしたものの、一言言い残して、この世を去ったそうだ。
なので、本当は王女という位ではなかった。
なぜかこのことを知っている人は実は数少ない。
なぜ王女になれたのかは私自身分からない。
そもそもそんな事、あるのだろうか。
謎は沢山あるが、今はなんとかこの崖っぷちの位でやっていけている。
さて、話は戻す。
「この度は遠くからわざわざ来ていただき、有難うございます。」
「ええ。こちらこそ。」
控えめな感じがまた良い。
ふと、そう思ってしまった。
更に、トゥルーエンドのために嫌がらせをするのにも気が引けてくると思ったのだった。
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