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後宮で侍女になった私は精霊に好かれている

二十二、未来予知は…

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今日はどんよりとした雨雲が空一面に広がっている。 
朝から天気悪いなあ…
洗濯物は外に干せそうにない。

そんな事を考えながら水愛妃のお化粧を手伝っていたらドアがノックされた。

コンコンコン、

「どうぞー」

水愛妃の部屋に訪ねて来たのは門番の宦官。本来、伝言等は担当の人がいるのだが…
今日は手薄のようだ。

水愛妃と私に向かって挨拶をした?
挨拶を返してみた。

「失礼いたします。お忙しいところすみません。雪蘭さんに話があるという人が尋ねてきたのですが…異国の方のようでした。あっ、医官殿も一緒に。」

「え、はい。分かりました。すぐ向かいます。」 

客人…?


パタン………

チェーウェルだろうか。たしか一週間後に来ると言っていたな。

「すみません。一週間前に来た客人かもしれません。行ってもよろしいでしょうか。」

「後宮に異国の方がお見えになるなんて珍しいわね…ま、行ってらっしゃい~」

水愛妃は快く送り出してくれた。

他の侍女達は不思議そうな顔をしていたが…


私はなるべく急ぎ足で医務室へ向かった。
北の王国にこれから訪れる争い。
これに参加するかしないかは決めている。

「あっ、久しぶり~雪蘭。俺のこと覚えてるでしょ?」

相変わらずだな。この人は。

「ええ。」

「塩対応かぁ?ま、いいや。」

逆に貴方が私のことを覚えていることにびっくりなのだが。

「ははは、仲が良いようで。」

「よくありませんよ…」

緑炎さんはくすくすと笑っている。
 

「で、どうするの?」

出されたお茶と菓子をつまみながらチェーウェルは聞いてきた。

「…悪いけれど、私は参加できない。理由は二つ。一つは今はこっちでの事が第一であること。二つ目は、私はまだ死にたくないから。」

チェーウェルはじっとこちらを見てきたが、本心であることがわかったのか何も言ってこなかった。

「死、死ぬ…?だって?」 

話が分からない緑炎さんは戸惑っている。  

「ごめんなさい。だけど、最初から私が生きて帰る事ができる確率なんて、低かったのでしょう。」

「………参戦してくれると思ったんだけどなあ。残念。
本当の事言うね……答えはイエス。
あの戦いが終わったあと、生きていられた者はいないに等しいんだ。俺は、未来予知ができるからね。騎士団長であるイヴァンに共に戦おう、立ち向かおうと言った。
けれど、アイツはまだ死ぬわけにはいかないの一点張りだった。あれと対戦したら死ぬということがわかったんだろう。襲ってくるのは炎の魔獣だから。氷の魔獣を宿した人間なんてすぐやられるのさ。
あーあ…結局未来予知は、変えられないのか。参戦を断った君も、イヴァンとスラヴァもあの戦いのときにはいない。未来は変えられないようだね。
そして、俺は副団長として戦うんだけど、炎の魔獣の攻撃を食らって死ぬ。
そこで未来予知は終わった。」

深刻そうな表情を浮かべて、そう話し終えた。
未来は、変えることができない。
彼の見てきた未来は一体いくつあったのだろうか。予知してきた未来のことを良かったと思ったことはあったのだろうか。
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