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後宮で侍女になった私は精霊に好かれている
十四、青年と少年、魔獣③
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「は、はなしてよっ!!こわい……にいさま!にいさまぁ!!」
「お、落ち着いて!何もしないよ……はあ、どうしたら……」
ガチャッ……!
「…あっ………にいさま……」
「スラヴァ……落ち着け。角と耳を収めなさい。」
「……っ…はい……ごめんなさい…」
その少年に宿った魔獣はきっと美しく気高い生き物だったんだろうと思った。
細く枝状に伸びる木の幹のような角にはダイヤモンドのように美しい氷の粒が舞っていて、耳はエルフのように長く、白銀の毛を纏っている。
まるで、氷の
「「妖精……」」
「えっ……」
「あ、いや、すまない。」
憂炎さんも同じ事を……
「妖精…ですか。そう思ってくださるのですね。」
にこっとイヴァンさんは笑った。
「すみません。あまりに美しいもので…」
「良いんですよ。」
イヴァンさんは少しほっとしたような表情に変わった。
スラヴァくんは驚いていたが、兄のイヴァンの表情を見ると、少し落ち着いたようだった。
『よし!共通言語魔法の準備ができた。今から使うよ。』
えっ…そのままなネーミング…
『いや、私達の世界ではそう呼ばれているから…』
まあ、それが何なのかわかりやすいけれど。
『いいから使うよ。手のひらを二人に向けて。』
分かったわ。
私は手のひらを二人に向けた。
二人は何?といった表情をしていたが、逃げたり抵抗しようとはしなかった。
私ならこんなに怪しい事されたら抵抗するな。
少しは信頼してもらったのかな…
『それじゃいくよ。』
ピカッと手のひらが光り、その光は光線のようになって二人の頭に入っていった。
「うわぁ……」
「これは何ですか?」
二人は驚いていた。
「これは共通言語魔法というものらしいです。これで私の周りにいる人とも会話出来るはず。」
やがて光が収まると、
「おお。あれは精霊魔法か?」
憂炎さんはそう言った。
「ええ。そうです。」
「精霊……魔法?とは何ですか?」
イヴァンが不思議そうにそう尋ねてきた。
「おお!こちらの言語が分かるのか!」
憂炎さんは嬉しそうだった。
「精霊魔法…とは、簡単に言うと精霊が宿った人だけが特別に精霊の力を借りて使える魔法です。」
「なるほどな。私達、魔獣が宿った者が使える攻撃魔法のようなものか。」
「ええ。そうですね。」
「…攻撃魔法ということは、その他に治癒魔法のようなものは無いのですか?」
突くところが他の人とは違う。やっぱり医者だな。
「そうですね。治癒魔法などの他の魔法は無いです。私は攻撃に特化しています。ですので、私達は王国の騎士団に配属されています。」
攻撃に特化している………私は?
「私は…ということはスラヴァくんは違うのですか?」
「スラヴァは………あ、自分で言ってみなさい。スラヴァ。」
「あ、はい……」
「いや、無理でしたら良いですよ。スラヴァくん。」
「いえ、話します……
えっと、僕は兄様とは違って治癒魔法が使えます…攻撃等は兄様より威力はありませんが、回復なら…兄様の、騎士団の役にたてます。」
「……治癒魔法が使える…なるほど。では、その魔獣同士は協力して戦っていたということになる…」
「そうだと思います。」
だんだん話が見えてきた…
私的にはすごく興味深い。
「では、次に………」
「お、落ち着いて!何もしないよ……はあ、どうしたら……」
ガチャッ……!
「…あっ………にいさま……」
「スラヴァ……落ち着け。角と耳を収めなさい。」
「……っ…はい……ごめんなさい…」
その少年に宿った魔獣はきっと美しく気高い生き物だったんだろうと思った。
細く枝状に伸びる木の幹のような角にはダイヤモンドのように美しい氷の粒が舞っていて、耳はエルフのように長く、白銀の毛を纏っている。
まるで、氷の
「「妖精……」」
「えっ……」
「あ、いや、すまない。」
憂炎さんも同じ事を……
「妖精…ですか。そう思ってくださるのですね。」
にこっとイヴァンさんは笑った。
「すみません。あまりに美しいもので…」
「良いんですよ。」
イヴァンさんは少しほっとしたような表情に変わった。
スラヴァくんは驚いていたが、兄のイヴァンの表情を見ると、少し落ち着いたようだった。
『よし!共通言語魔法の準備ができた。今から使うよ。』
えっ…そのままなネーミング…
『いや、私達の世界ではそう呼ばれているから…』
まあ、それが何なのかわかりやすいけれど。
『いいから使うよ。手のひらを二人に向けて。』
分かったわ。
私は手のひらを二人に向けた。
二人は何?といった表情をしていたが、逃げたり抵抗しようとはしなかった。
私ならこんなに怪しい事されたら抵抗するな。
少しは信頼してもらったのかな…
『それじゃいくよ。』
ピカッと手のひらが光り、その光は光線のようになって二人の頭に入っていった。
「うわぁ……」
「これは何ですか?」
二人は驚いていた。
「これは共通言語魔法というものらしいです。これで私の周りにいる人とも会話出来るはず。」
やがて光が収まると、
「おお。あれは精霊魔法か?」
憂炎さんはそう言った。
「ええ。そうです。」
「精霊……魔法?とは何ですか?」
イヴァンが不思議そうにそう尋ねてきた。
「おお!こちらの言語が分かるのか!」
憂炎さんは嬉しそうだった。
「精霊魔法…とは、簡単に言うと精霊が宿った人だけが特別に精霊の力を借りて使える魔法です。」
「なるほどな。私達、魔獣が宿った者が使える攻撃魔法のようなものか。」
「ええ。そうですね。」
「…攻撃魔法ということは、その他に治癒魔法のようなものは無いのですか?」
突くところが他の人とは違う。やっぱり医者だな。
「そうですね。治癒魔法などの他の魔法は無いです。私は攻撃に特化しています。ですので、私達は王国の騎士団に配属されています。」
攻撃に特化している………私は?
「私は…ということはスラヴァくんは違うのですか?」
「スラヴァは………あ、自分で言ってみなさい。スラヴァ。」
「あ、はい……」
「いや、無理でしたら良いですよ。スラヴァくん。」
「いえ、話します……
えっと、僕は兄様とは違って治癒魔法が使えます…攻撃等は兄様より威力はありませんが、回復なら…兄様の、騎士団の役にたてます。」
「……治癒魔法が使える…なるほど。では、その魔獣同士は協力して戦っていたということになる…」
「そうだと思います。」
だんだん話が見えてきた…
私的にはすごく興味深い。
「では、次に………」
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追記(2021/10/7)
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更に追記(2022/3/9)
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