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後宮で侍女になった私は精霊に好かれている

二、後宮に降臨した魔獣たち

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後宮に来て一ヶ月が過ぎようとしている…
もう、ここの仕事にも慣れてきた頃に事件は起こった。

~六時間前~

「おーい雪蘭~!」

そう言って駆け寄ってきたのは仲良くなった鈴鈴(リンリン)
同い年だが、仕事歴は先輩だ。

長い黒髪を三つ編みに束ねていて、垂れ目が特徴の友達。
なんだかんだ、友達って初めてかもしれないと思った。

「なにー?」

「あのさあのさ、徳妃様がご懐妊ですって!知ってる?」

「知らない。そうなんだぁ…!」

「でも、まだお若いよね?」

「え?そうなの」

「うん。知らない人もいるんだけど、徳妃様は、」

耳元に近付いて言った。

「…十五歳なんだって…」

「えっ!?」

つい、大きな声で驚いてしまった。

「ちょっと、声大きいよ~」

「ごめんごめん…!」

十五歳…若すぎる。
何歳で後宮入りしたんだ…
ご懐妊ってことは事を済ませてるってことだよね…
えええーーーーっ!!

「ちょっと!そこの二人!」

「「はい!」」

「ちゃんと仕事しなさいよ?」

「「すみません」」

話し込んでたら怒られてしまった。

「よし、仕事モードに切り替えて頑張ろっか。」

「うん。じゃあまた後で」

「はーい!」


よし、仕事仕事~



えーっとこの札は七って書いてあるからあっちかな。

ダッダッダッダッ………

どうしたんだろう今の人。

もの凄い勢いで走っていった…

「大変よー!後宮の裏口から魔獣が侵入したわ!」

魔獣?最近来ないと思っていたけど、また波が来たのか?


ざわざわざわ…

「どうしましょう徳妃様は動けないですし…」

「あのっ…」

「はい?」

「徳妃様はお強いのですか?」

「ええ。それはそれは…」

そうなんだ。まあいい。じゃあ、行ってみようかな。



グオオオオォォーーーーーッ!


大きい………あまり見たことないサイズだ。

私の身の丈の五倍はあるな。


グオオオオォーーーーー!!


ダーーーン!!

「わっ!!」

あっぶないなぁーあと少しで当たるところだったよ。

「キャァアーーーッ!」

今度はなに?

振り返ると、もう一匹現れていた。

奴らは異空間から呼び出す事も出来ると聞いたことがある。

厄介な事になったな。

私一人では少し難しい。それに、ここには懐妊している妃たちもいるし。

周りに被害を及ぼさないで攻撃出来るのか?


ドーーーン!!


「ちっ、少しずれたか。」

「え?………あなたは?」

「…………そんな事どうでもいい。お前、戦えるのか?」

「はい…」

「ちょっと力を貸してくれ。」

「はい…!」

「あとで返すから。」

「え?返す?」

そう言って、両腕で肩をおもむろに掴んできた。

「え?え?」


ガブッ………

動揺している間に首元を噛んできた。

「いっ!!」


「よし、ありがとな…!」

「は、はぁ……」

首元が痛い。
血が出ている。吸われた?

はぁ……どういう事ですか…??
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