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40、お終い

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「…は…ぁ、まだ……まだ、だめ!」

久しぶりの行為に、欲が出てしまった。
もっと、ずっとこうしていたくて。
リルは夢中でマイリスを求める。

「…ま、まだダメ!?くっ…!」

マイリスがリルの片足を斜めに高くあげると、それを自分の肩に乗せた。
歯を食いしばり更にリルの奥深くを打ち攻める。
今までで一番、奥に届く。

「…ぁ…!はぁっ…ん!や、ふか…い」

大きな手のひらが、リルのふくらみを同時に攻める。
こうすると、リルの中から更に温かなモノが溢れ出てきて止まらない。
マイリスの動きにあわせて、卑猥な水音が耳に届く。
それが余計に気持ちを昂らせる。
奥に打ちつけられる度に、声にならない声がリルの喉の奥から生まれては消えていった。

「んッ!……はぁっあ、あ!また…いッちゃ」

「ハァ…、私もだ。もう我慢できそうにない……」

マイリスのモノがリルの中で一段と大きく硬くなる。
更に速くなった動きに合わせて、大きな快感が襲ってくる。
来るべき波に備えて、リルの下半身にギュッと力が入った。

「そんな風に締め付けたら…もう!……ゔッ…」

「やぁあッ…ッ!」

ドクンドクンと、お互いの脈を感じる。
強い快楽に体がガクガクと震えていた。
浅い呼吸を繰り返し、波が完全に引いていくのを待つ。

最後まで、奥に精を出し切るとマイリスがリルの片足をそっと下ろした。
まだ、このままでいたくてリルは両手を広げてマイリスに抱擁をねだる。
まだ自分の中にいて欲しかった。

リルのリクエストに応える形で、マイリスがそのまま上に倒れ込んだ。

ギュッと強く抱きしめ合う。
お互いの体温を体全体で受け止めて、しばし快楽の余韻に浸る。

しかし、そんな時間も長くは続かなかった。

かすかに聞こえる、赤ん坊の泣き声。そして叩かれた扉。

「……国王陛下お取り込み中、申し訳ありません。サラ様が起きてしまって」

クレモンティーヌの声で二人は慌ててベッドから飛び出した。
脱ぎ捨てた服を大慌てで探す。

「ちょ、ちょっと、待ってね!」

何とか体裁を整えてから扉を開けると、クレモンティーヌに抱かれ真っ赤な顔で泣いている娘の姿。
申し訳ない気持ちで、クレモンティーヌから受け取り腕に抱いた。

「どうしたの?お母様はここよ」

「お父様もいるぞ」

リルの横からマイリスもサラに声をかける。

「申し訳ありません、どうしても泣き止まなくて……」

「目が覚めて、私達がいなかったから驚いてしまったのかしら」

「クレモンティーヌありがとう。もう部屋に下がって良いぞ」

「はい。それでは失礼いたします」

「おやすみなさい」

クレモンティーヌを送り出し、ホッと一息つく。
両親の声を聞いたからか、サラも次第に落ち着きを取り戻し、再びウトウトし始めた。
その寝顔を二人で眺める。
可愛い娘の寝顔。
起こさないように、リルとマイリスは目で合図をする。

夫婦二人の時間をゆっくり作るのは、しばらく難しそうだ。

それでも、三人で過ごす何でもない時間がとても愛しい。
生まれてまだ数ヶ月しか経っていないはずなのに、ずっと前から一緒にいるような、そんな気さえする。

ただ眠っているだけなのに、自分の娘だというだけで飽きずに何時間も見ていられそうだ。
とても不思議な感覚。

「……幸せだな」

「えぇ、とても」

リルとマイリスは肩を寄せ合い、いつまでも愛しい娘の寝顔を見ていた。

ーーそれからしばらくして、どこから漏れ伝わったのか。
不幸な娘と王族の恋物語は、グレナディエ王国中を駆け巡り、国民の憧れとなった。
二人を題材にした本は飛ぶように売れ、劇場で公開された演劇は異例のロングランヒットとなったらしい。

孤児院出身の異例の王妃は、その経験から国の福祉に尽力し、さまざまな功績を打ち立てていった。
その一つが、城内の託児所の設置だ。
王族や貴族のみならず、平民の子であっても。
城で働く人たちの子どもを預かり、結婚後も仕事を続けたいと願う女性の力となった。
その姿からいつしか、王妃は国の母と呼ばれるようになり、多くの国民に慕われた。

その後、第一王妃が早死にするという呪いが発動することは二度となく、元凶となった第一王妃の間はその特性を活かし食物貯蔵庫として活用された。

十四代目の国王夫妻は、建国以来のおしどり夫婦との呼び声高く、多くの子どもにも恵まれ末長く幸せに暮らしたとグレナディエ王国の歴史書には記されている。

       ~fin~
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感想 1

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みんなの感想(1件)

おこ
2022.05.04 おこ

読み進めて最後に納得✨

幸せになって、満足なお話でした🙂

絹雪
2022.05.05 絹雪

感想ありがとうございます‼︎
とても励みになります☺️

解除

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