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【23】拍手喝采~戦場のハッピーバレンタインデー
愛の残骸、君のどこかに
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大人になる前の、未成熟でありながら青年らしい鋭いまなざしと危うさ。
まっすぐな黒い長い髪は肩にかかり、肌は陶器のように艶やかな白。
そのまま彫刻になってもおかしくない体のラインに、透き通る濃い琥珀色の瞳は宝石が埋め込まれたようで、よくできた等身大の人形と言われても納得してしまいそうな美しさ。
次々に出てくる写真は視線を外したり、前を見たり、どれも無機質な表情で、それでも凄絶と言えるほど美しさが際立った、青年になる寸前の少年の姿だった。
ただ、どこにも人間味が感じられない。
人形のように見えるのは、そのせいだろう。
背景が何もなく、真っ白というのが余計に美しさを際立たせている。
「これ、スタジオでの撮影ですか?」
御堀が尋ねたので、烈が頷いた。
「そう。学校の傍に写真館あるでしょ?あそこのスタジオ借りて撮らせて貰ったの。私、昔から写真が趣味でさ。親の影響なんだけど」
フリックすると出てくる写真はどれも青木のものばかりだ。
「青木君、見世物にされまくったから写真とか好きじゃないんだよね。最近はそうでもないみたいだけど。私は写真が趣味っていうのと、被写体としての青木君にしか興味ないの、知ってるから撮らせてくれてたんだ。いい写真でしょ」
烈の言葉に、全員が頷いた。
「すげー、アオ先輩、本当にスゲー美人じゃん。今も相当イケメンと思ってはいたけど」
幾久が言うと、御堀も頷く。
「確かに、これは人が狂うね」
児玉が小さく頷いた。
「スゲエ。想像よりよっぽど美形だ」
福原だって外見は整っているし、来原も悪くない。
集だって、かなりのイケメンではあるけれど、青木の美しさは飛びぬけている。
「こんなんじゃ人気も凄かったっての判るなあ」
幾久が感心すると、烈が楽し気に言った。
「凄かったよ。うちの兄貴も外見そこそこ良いほうだし?でもだから、どんなに頑張ってバンド活動しても『顔で釣ってる』ってずーっと言われ続けてね」
ファンである児玉はむっとして言った。
「確かに外見かっこいいけど、音楽が断然上っす」
「けっこう苦労してんだ、アオ先輩達」
幾久がちょっと同情して言うが、烈が首を横に振って言った。
「あいつらがそんなタマかよ。だったら顔で釣ってやろーじゃんって逆に外見にめちゃめちゃ気を使って、それで一気にドカーンって来たからね」
「凄いな」
悪口を言われても、そこに乗っかって逆に利用するなんて、と御堀が感心すると、烈が苦笑して腕を組んだ。
「それで人気出た後、顔で釣ったって悪口言ったバンドに『お前らは釣り餌にもならねー顔で残念だな!親間違えたな!』って中指立ててゲラゲラ笑ってたからね、同情できないわ」
「最低だ先輩達」
同情して損した、と幾久は呆れるが、烈は笑った。
「でもそうやってバンド活動以外の事も頑張ってやってたし、成績はいつも上位だったから学校も許してたし。青木君なんか、ずーっと学校は長井君と一緒にクラシックのコンビで売り出そうとしつこかったから、けっこう面倒多かったんだよ」
「あの長井先輩と?」
長井は御門寮出身のチェリストで、幾久達は秋にこの長井の面倒に巻き込まれた。
久坂杉松の事が大嫌いと言っていた、幾久にとっては悪い意味で忘れられないOBだ。
「幸い、長井君と青木君のピアノの先生が同じで、その先生は青木君の才能を凄い大事にしてくれたから、いろいろ誤魔化して学校から青木君を守ってたんだよ。青木君、性格は最悪だけど才能はとんでもないからね」
それに、と烈は言った。
「青木君が性格悪いのってある意味まともだよ。外見も才能もありまくりで成績も良かったし、周りに弄ばれたら誰だってあのくらいにはなると思う」
ニヤ、とちょっと意地の悪そうな表情で烈は御堀を見て言った。
「みほりんだってそういうの、覚えあるでしょ?」
御堀はきまり悪そうに、頷いた。
「あります。でも僕は、利用してる所もあるので」
「それでいいよ。ずうずうしくないと、生きづらいからね。好きで持ってるものじゃなくても、人は『ください』ってお願いより先に暴力をふるって奪おうとするから」
烈の言葉に、幾久も御堀も児玉も、顔を上げると、烈は笑顔で言った。
「報国院のバレンタイン、青木君のせいで騒ぎになったの聞いた?」
幾久は頷く。
「凄かったって。なんか、凄いのいろいろと」
「血だの毛だの、の話は聞いた?」
三人は頷く。
児玉も御堀や幾久に話を聞いて、青ざめていたが、その時に不思議に思った事があった。
「なんで、血、とか毛、とか入れるんスかね。好きな人には普通にうまいもん、食って欲しいとかって思わないんでしょうか」
児玉からしたら、いつもいい音楽を作ってくれるグラスエッジには感謝しかなく、かといって恩返しもできないから、CDやグッズを購入するようにしている。
すると烈は、雰囲気たっぷりに眼鏡を指で戻して言った。
「だって誰も青木君の事、人間扱いなんかしてないじゃない?」
その言葉に三人は、思わず背を伸ばした。
「奇麗な見慣れない生き物が、奇麗な音出して、だからこのエサ食べるかな、そんな程度よ。あとは支配欲かな。汚い自分でも、食べてくれたら受け入れられたように思われるし」
「そんなの思うわけないじゃないっすか」
呆れる児玉に烈が言った。
「そうなんだけどさ。モテない歪んだ考えってのは怖くてね。そういうの『おまじない』っていう大義名分でどうにかしちゃうの。自分が『恋する可愛い女子』なら許されるって肩書を持ってるって思い込んでるの。『コミュニケーションだと思った』っていう痴漢やセクハラするオッサンと方向性は一緒よね」
幾久はそこで、ふと思い出す。
「夏の頃、ですけど。瑞祥先輩が似たような事言ってました。他校の女子が告白してきたけど、それって自分が女子高生って判ってて、そのブランドを利用して言ってきただけだって。女の子の告白がいいものだから受け入れて当然、っていう考えがなかったら、横暴な告白の仕方なんかしないって」
「ああ、瑞祥はモテるもんね。でもその通り。あの子らは、だからそういったのが嫌いなのよ。物凄く多いけどね、そういう人」
ふう、と烈はため息をついた。
「あんたたちもさ、鳳で、外見もまあ悪くないわけでしょ?そういう目に合うと思うけど気をつけなさいとしか言えないわ。悪いのは間違いなく変な手出しするほうだけど、被害にあうのはアンタたちのほうなんだし。理不尽だけどね」
幾久は頷く。
なんとなくだけど、烈の言いたいことがわかるような気がしたからだ。
あなたたちは悪くないのよ。
桜柳祭でボールをぶつけられた幾久に、顧問である玉木は何度も幾久にそう言った。
そんなの判ってます、当たり前じゃないっすか。
そう応える幾久に、ほっとしていたのは、ひょっとして烈と同じことを玉木は言いたかったのかもしれない。
そう思った。
「青木先輩が超絶美少年で、そのせいで酷い目にあったのは判りました」
「奇麗すぎるっていうのもね、問題よね。今はそれで飯食ってるし、多分気にしてないだろうけど。それに、いっくんが居れば青木君は喜ぶし」
「凄いですよね、青木先輩」
御堀が言うと、烈は「しゃーない」と肩をすくめた。
「杉松先輩の事、本っ当に大好きだったからね、青木君は。いっくんどことなく似てるし」
あ、と烈が突然思い出して言った。
「そういや、動画があった!この前整理してたら見つけたんだった!ちょっと待ってて!」
そう言って烈は慌てて部屋を出て行って、すぐに小さな古いデジカメを持って戻ってきた。
「これさ、古いからモニターにつながないとなんなくてさ」
カメラと部屋にある大きなモニターをコードであれこれ繋いで、烈はモニターに映像を映した。
ザザッと一瞬ノイズが走り、画面がぐるんと回転する。
古い映像のせいだろうか、画面がぐらぐらと物凄く揺れている。
「昔のカメラだからなあ。揺れ酷いわ」
それでも映像は奇麗だった。
映ったのは―――――
『みんなー、こっち向いてー。録画チェックしてるんだけど』
若い、というより幼いと言ってもいい烈の声がした。
ということは、カメラを持っているのは烈なのだろう。
「あは。私だ。声わっかーい」
ごそごそっという大きな音は、カメラのマイクに服がこすれた音だろう。
やがて構えられたカメラは、報国の海を映した。
昼間だろう、明るい日差しの中、黒い岩が隆起した狭い砂浜で高校生たちが楽しそうに遊んでいた。
映っているのは、福原、来原、青木、そして毛利や宇佐美、マスターの姿もあり。
六花が、幼い子供の手を引いている。
「あ、ハル先輩と瑞祥先輩だ」
「本当だ!ちっさい!」
「ホント、まるで母親だね」
幼い男の子が六花にしがみついて、手をしっかり握ってよたよたと歩いている。
そして、その隣に駆け寄り、女の子みたいなおかっぱ頭の、小さい男の子の手を握った高校生の男の子。
「―――――これ、」
画面の中で、烈が言った。
『ご夫婦!こっち向いて!』
茶化す言葉に六花が笑い、そして隣に居た男の子も笑った。
画面がズームになり、二人を大きく映した。
そこに映っていたのは、高校生の六花、そして。
児玉が思わず息をのんだ。
『録画、チェックできてる?瑞祥、撮って貰いな』
そう言ってぐずる男の子を抱きかかえ、幸せそうに画面を見つめ。
穏やかな優しい声で笑っていたのは、瑞祥の兄、久坂杉松だった。
まっすぐな黒い長い髪は肩にかかり、肌は陶器のように艶やかな白。
そのまま彫刻になってもおかしくない体のラインに、透き通る濃い琥珀色の瞳は宝石が埋め込まれたようで、よくできた等身大の人形と言われても納得してしまいそうな美しさ。
次々に出てくる写真は視線を外したり、前を見たり、どれも無機質な表情で、それでも凄絶と言えるほど美しさが際立った、青年になる寸前の少年の姿だった。
ただ、どこにも人間味が感じられない。
人形のように見えるのは、そのせいだろう。
背景が何もなく、真っ白というのが余計に美しさを際立たせている。
「これ、スタジオでの撮影ですか?」
御堀が尋ねたので、烈が頷いた。
「そう。学校の傍に写真館あるでしょ?あそこのスタジオ借りて撮らせて貰ったの。私、昔から写真が趣味でさ。親の影響なんだけど」
フリックすると出てくる写真はどれも青木のものばかりだ。
「青木君、見世物にされまくったから写真とか好きじゃないんだよね。最近はそうでもないみたいだけど。私は写真が趣味っていうのと、被写体としての青木君にしか興味ないの、知ってるから撮らせてくれてたんだ。いい写真でしょ」
烈の言葉に、全員が頷いた。
「すげー、アオ先輩、本当にスゲー美人じゃん。今も相当イケメンと思ってはいたけど」
幾久が言うと、御堀も頷く。
「確かに、これは人が狂うね」
児玉が小さく頷いた。
「スゲエ。想像よりよっぽど美形だ」
福原だって外見は整っているし、来原も悪くない。
集だって、かなりのイケメンではあるけれど、青木の美しさは飛びぬけている。
「こんなんじゃ人気も凄かったっての判るなあ」
幾久が感心すると、烈が楽し気に言った。
「凄かったよ。うちの兄貴も外見そこそこ良いほうだし?でもだから、どんなに頑張ってバンド活動しても『顔で釣ってる』ってずーっと言われ続けてね」
ファンである児玉はむっとして言った。
「確かに外見かっこいいけど、音楽が断然上っす」
「けっこう苦労してんだ、アオ先輩達」
幾久がちょっと同情して言うが、烈が首を横に振って言った。
「あいつらがそんなタマかよ。だったら顔で釣ってやろーじゃんって逆に外見にめちゃめちゃ気を使って、それで一気にドカーンって来たからね」
「凄いな」
悪口を言われても、そこに乗っかって逆に利用するなんて、と御堀が感心すると、烈が苦笑して腕を組んだ。
「それで人気出た後、顔で釣ったって悪口言ったバンドに『お前らは釣り餌にもならねー顔で残念だな!親間違えたな!』って中指立ててゲラゲラ笑ってたからね、同情できないわ」
「最低だ先輩達」
同情して損した、と幾久は呆れるが、烈は笑った。
「でもそうやってバンド活動以外の事も頑張ってやってたし、成績はいつも上位だったから学校も許してたし。青木君なんか、ずーっと学校は長井君と一緒にクラシックのコンビで売り出そうとしつこかったから、けっこう面倒多かったんだよ」
「あの長井先輩と?」
長井は御門寮出身のチェリストで、幾久達は秋にこの長井の面倒に巻き込まれた。
久坂杉松の事が大嫌いと言っていた、幾久にとっては悪い意味で忘れられないOBだ。
「幸い、長井君と青木君のピアノの先生が同じで、その先生は青木君の才能を凄い大事にしてくれたから、いろいろ誤魔化して学校から青木君を守ってたんだよ。青木君、性格は最悪だけど才能はとんでもないからね」
それに、と烈は言った。
「青木君が性格悪いのってある意味まともだよ。外見も才能もありまくりで成績も良かったし、周りに弄ばれたら誰だってあのくらいにはなると思う」
ニヤ、とちょっと意地の悪そうな表情で烈は御堀を見て言った。
「みほりんだってそういうの、覚えあるでしょ?」
御堀はきまり悪そうに、頷いた。
「あります。でも僕は、利用してる所もあるので」
「それでいいよ。ずうずうしくないと、生きづらいからね。好きで持ってるものじゃなくても、人は『ください』ってお願いより先に暴力をふるって奪おうとするから」
烈の言葉に、幾久も御堀も児玉も、顔を上げると、烈は笑顔で言った。
「報国院のバレンタイン、青木君のせいで騒ぎになったの聞いた?」
幾久は頷く。
「凄かったって。なんか、凄いのいろいろと」
「血だの毛だの、の話は聞いた?」
三人は頷く。
児玉も御堀や幾久に話を聞いて、青ざめていたが、その時に不思議に思った事があった。
「なんで、血、とか毛、とか入れるんスかね。好きな人には普通にうまいもん、食って欲しいとかって思わないんでしょうか」
児玉からしたら、いつもいい音楽を作ってくれるグラスエッジには感謝しかなく、かといって恩返しもできないから、CDやグッズを購入するようにしている。
すると烈は、雰囲気たっぷりに眼鏡を指で戻して言った。
「だって誰も青木君の事、人間扱いなんかしてないじゃない?」
その言葉に三人は、思わず背を伸ばした。
「奇麗な見慣れない生き物が、奇麗な音出して、だからこのエサ食べるかな、そんな程度よ。あとは支配欲かな。汚い自分でも、食べてくれたら受け入れられたように思われるし」
「そんなの思うわけないじゃないっすか」
呆れる児玉に烈が言った。
「そうなんだけどさ。モテない歪んだ考えってのは怖くてね。そういうの『おまじない』っていう大義名分でどうにかしちゃうの。自分が『恋する可愛い女子』なら許されるって肩書を持ってるって思い込んでるの。『コミュニケーションだと思った』っていう痴漢やセクハラするオッサンと方向性は一緒よね」
幾久はそこで、ふと思い出す。
「夏の頃、ですけど。瑞祥先輩が似たような事言ってました。他校の女子が告白してきたけど、それって自分が女子高生って判ってて、そのブランドを利用して言ってきただけだって。女の子の告白がいいものだから受け入れて当然、っていう考えがなかったら、横暴な告白の仕方なんかしないって」
「ああ、瑞祥はモテるもんね。でもその通り。あの子らは、だからそういったのが嫌いなのよ。物凄く多いけどね、そういう人」
ふう、と烈はため息をついた。
「あんたたちもさ、鳳で、外見もまあ悪くないわけでしょ?そういう目に合うと思うけど気をつけなさいとしか言えないわ。悪いのは間違いなく変な手出しするほうだけど、被害にあうのはアンタたちのほうなんだし。理不尽だけどね」
幾久は頷く。
なんとなくだけど、烈の言いたいことがわかるような気がしたからだ。
あなたたちは悪くないのよ。
桜柳祭でボールをぶつけられた幾久に、顧問である玉木は何度も幾久にそう言った。
そんなの判ってます、当たり前じゃないっすか。
そう応える幾久に、ほっとしていたのは、ひょっとして烈と同じことを玉木は言いたかったのかもしれない。
そう思った。
「青木先輩が超絶美少年で、そのせいで酷い目にあったのは判りました」
「奇麗すぎるっていうのもね、問題よね。今はそれで飯食ってるし、多分気にしてないだろうけど。それに、いっくんが居れば青木君は喜ぶし」
「凄いですよね、青木先輩」
御堀が言うと、烈は「しゃーない」と肩をすくめた。
「杉松先輩の事、本っ当に大好きだったからね、青木君は。いっくんどことなく似てるし」
あ、と烈が突然思い出して言った。
「そういや、動画があった!この前整理してたら見つけたんだった!ちょっと待ってて!」
そう言って烈は慌てて部屋を出て行って、すぐに小さな古いデジカメを持って戻ってきた。
「これさ、古いからモニターにつながないとなんなくてさ」
カメラと部屋にある大きなモニターをコードであれこれ繋いで、烈はモニターに映像を映した。
ザザッと一瞬ノイズが走り、画面がぐるんと回転する。
古い映像のせいだろうか、画面がぐらぐらと物凄く揺れている。
「昔のカメラだからなあ。揺れ酷いわ」
それでも映像は奇麗だった。
映ったのは―――――
『みんなー、こっち向いてー。録画チェックしてるんだけど』
若い、というより幼いと言ってもいい烈の声がした。
ということは、カメラを持っているのは烈なのだろう。
「あは。私だ。声わっかーい」
ごそごそっという大きな音は、カメラのマイクに服がこすれた音だろう。
やがて構えられたカメラは、報国の海を映した。
昼間だろう、明るい日差しの中、黒い岩が隆起した狭い砂浜で高校生たちが楽しそうに遊んでいた。
映っているのは、福原、来原、青木、そして毛利や宇佐美、マスターの姿もあり。
六花が、幼い子供の手を引いている。
「あ、ハル先輩と瑞祥先輩だ」
「本当だ!ちっさい!」
「ホント、まるで母親だね」
幼い男の子が六花にしがみついて、手をしっかり握ってよたよたと歩いている。
そして、その隣に駆け寄り、女の子みたいなおかっぱ頭の、小さい男の子の手を握った高校生の男の子。
「―――――これ、」
画面の中で、烈が言った。
『ご夫婦!こっち向いて!』
茶化す言葉に六花が笑い、そして隣に居た男の子も笑った。
画面がズームになり、二人を大きく映した。
そこに映っていたのは、高校生の六花、そして。
児玉が思わず息をのんだ。
『録画、チェックできてる?瑞祥、撮って貰いな』
そう言ってぐずる男の子を抱きかかえ、幸せそうに画面を見つめ。
穏やかな優しい声で笑っていたのは、瑞祥の兄、久坂杉松だった。
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