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【16】バッハの旋律を夜に聴いたせいです
高校生の素直な正論
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嫌う理由?
長井は考えて、その理由を言おうとしてやめた。
小言が多い。
注意をされる。
たしなめられる。
もう少し考えてからものを言った方がいいと言われる。
いま、初めて気づいた。
長井が杉松を嫌いな理由は、全て長井がなにか行動した事に対して杉松が注意をするからだ。
ほっとけよ。
うっせえな。
黙っとけよ。
うぜえんだよ。
文句を繰り返す度に、杉松は冷たく言った。
『僕達を母親にするのは辞めろ。お前の感情を見せつけられて喜ぶのはお前が赤ん坊だった頃の、お前の母親しかいないんだよ』
なにが母親だ、どいつもこいつも男じゃねえか。
長井は言って笑っていた。
―――――なんで今更
高校生の頃は全く気付かず、そのままこれまで抱えてただ嫌っていた感情を割りほぐすと、出てきたのは自分の幼なさと、杉松の言葉が全部、ただその通りの事でしかなかったという事だ。
『感情で誰かを支配しようったって、僕達には通じないよ』
杉松は長井をたしなめた。
実際、長井の感情は誰を揺るがす事もできなかった。
せいぜい誰かの眉を顰めさせるくらいで。
杉松を嫌いな理由。
それは、長井の感情に、振り回されてくれないからだ。
幾久は長井の言葉をじっと待った。
杉松は良い奴だったと誰もが繰り返し言う。
だけど初めて、杉松を嫌う人が出てきて、まるで神様みたいだと思っていた杉松に、別の一面があるのかと興味が湧いた。
長井は実際に嫌な奴で、本当に失礼で無礼でどうしようもない奴だ。
でも、山縣との違いは何だろう。
山縣だって、相当嫌な奴だし、自分勝手だし、いい加減で我儘で、幾久をパシリに使う。
「お前、ほんっとに邪魔でうるせえ奴だな!先輩に対して礼儀もクソもなってねえわ!」
怒鳴った長井に、幾久はそっか、と気づいた。
(ガタ先輩は、感情をぶつけて、相手をどうこうしようとしない)
嫌味も悪口も、なにもかも自分が言いたいから言うだけで、その感情で誰かを支配しようとか、逆らわせないようにしようとはしていない。
長井は幾久を恫喝し、怒りでもって都合の悪い事を隠そうとしている。
そして、幾久の質問には答えてくれない。
山縣は違う。よく判らなくても、感性が違っても、理解できなくても質問にはちゃんと答えてくれる。
長井は呼びかけに応じてくれない。
自分の都合が良かったり悪かったり、機嫌が良かったり悪かったり、そういった事で応じたり応じなかったりする。
「なんで怒鳴るんスか。オレは質問しているだけなのに」
「うるせえっつってんだろ!」
「そんな風に怒鳴らなくても判りますよ」
「お前、それで俺を煽ってるつもりか!」
駄目だ、と幾久は思った。
長井は幾久の話も聞かないし、幾久の考えを受け止めようともしていない。
感情をただぶつけ、幾久が長井に対して敵意をぶつけていると思い込んでしまっている。
(この人、ずっとこうだったのかな)
相手を見ようとせず、相手を決めつけ、言葉を交わそうとしていない。
「なんで勝手に喧嘩を始めるんすか。オレは質問しているだけなのに」
「そーいう質問?!へえ、そうやって煽って人の嫌がることやりまくって、喧嘩じゃない、質問ですって、杉松がよくその手を使ってたわ!煽ってきてるくせに、なにが質問だふざけんな!」
「―――――ただの悪口のくせに、なにが小言だ。ふざけんな」
幾久が言うと、長井は驚いて幾久をみつめた。
幾久が乱暴な言葉を使ったからじゃない。
一言一句、高校時代の杉松が長井に告げた言葉をそのまま告げたからだ。
「―――――って、杉松さんも思ってたんじゃないんですか?だからそう伝えたんでしょ?長井先輩は杉松さんが煽って来てると思ってた、杉松さんは長井先輩の小言を悪口と判断した。悪口じゃないのなら、別の言い方をすればよかった」
山縣のように、久坂のように、高杉のように。
手を変え、品を変え、一瞬何を言っているのか判らないくらいに微妙な言い回しで、誉めているかと勘違いするほどややこしくしてしまえばいいのに。
「なんで杉松さんが『悪口』って判断した言葉を使い続けたんすか?杉松さんを黙らせたかったから、引かなかったんじゃないんすか?長井先輩は喧嘩してるつもりだから」
理解をしたいなら、相手に判るように伝えればよかった。
悪口じゃないのなら、そうじゃないと言えばよかった。
でも実際はただの悪口だった。
だから注意された。
思っておくだけにしろ、と言われてなぜお前のいう事を聞く必要があるのかとむかついたからべらべらしゃべってやった。
杉松が嫌そうな顔をする度に、勝ったという気になっていた。
「喧嘩なんかしてねえよ。あいつがテリトリーを侵害するから悪いんだろ」
「長井先輩だって、杉松さんが侵害して欲しくない所を侵害してたから注意されたんじゃないんですか」
「邪魔なんだよアイツは!」
「杉松さんもそう思ってたかもしれない」
幾久が言うと、長井は息を飲んだ。
「長井先輩が杉松さんを嫌いみたいに、杉松さんだって長井先輩の事を嫌ってたんじゃないんすか?長井先輩の言い分を聞いてると、杉松さんから一方的に好かれて迷惑だって風に聞こえる。でもオレは、杉松さんが長井先輩を好きだったとは思えない」
(あーあ言っちゃった、幾ってば)
(うわ言ったよ幾久の奴)
御堀と児玉が同時に思い、同時に顔を見合わせた。
幾久は長井に続けた。
「だから、嫌いだけど最低限の妥協点が悪口を言うなって事だったんじゃないんですか?長井先輩は言いたい放題だったけど、杉松さんは我慢してたんじゃないんですか?」
違う、と長井は言いたかった。でも言えない。
なぜなら、そんなはずはない、と言うと杉松の気持ちを理解しているという事になるからだ。
じゃあ、そうだったろうな、とも言えない。
杉松に嫌われていることを、認めてしまう事になるからだ。
幾久の言葉は、長井から逃げ道を奪う。というより、逃げ道をどんどんふさいでいく。
逃げようと思って進んで行くと、そこが行き止まりになってしまう。
(幾のサッカーそっくり)
御堀は思う。幾久はよくこういうサッカーをしていた。
いつの間にか相手の先を読み、退路を塞ぐ。
味方であれば心強いが敵になると厄介だ。
長井は幾久に怒鳴った。
「明日、俺が恥かきゃいいと思ってんだろ!練習の邪魔ばっかりしやがって!うぜえんだよ!こっちがどれだけ努力してこの立場に来たと思ってんだ!気楽な学生とは立場が違うんだぞ!」
ノートなんかもういらない。長井は思う。
あんなもの、とっとと捨ててしまえば良かった。
別に好きでもなんでもない。本当にどうでもよかった。ただ、好奇心と興味、どうせくだらない曲だ、そう思ってやっただけだった。
練習になった。それだけだった。
「別にそんなつもりじゃ」
幾久が言うと長井は再び怒鳴った。
「そうだろーな!悪気なく、そうやって邪魔してんだよ、お前みたいな奴は!努力してる邪魔すんなよ!ノートなんかくれてやるから、晒すなり捨てるなり好きにしろ!こういうのが嫌だったから、こそこそ探してたってのに、意味ねえじゃねえか!」
怒鳴った長井の前に、児玉が出てきた。
「タマ?」
「―――――あんたって、他人の不幸はざまみろって叩きまくって喜んでんのに、自分の不幸は叩かれたくないんだな」
児玉の言葉に、全員の動きが止まった。
児玉は続けた。
落ち着いた、丁寧な声だった。
「あんたが、ノートに触られたくなかった理由も判ったし、こそこそ探した理由も判った。納得はいく。俺達はあんたみたいに、人の言葉を裏読みなんかしないから、言われた通りに、グラスエッジの曲については、ただの興味だったって、そう思う」
「最初からそう言ってんだろーが」
「じゃあ、なんで久坂先輩やハル先輩を、傷つける必要があったんだ?」
児玉はまっすぐに長井に問いかけた。
「あんたがノートを探したい理由は判った。面倒なのも判った。でも、ここに来て言いたい放題言って、杉松さんが病気でなくなって、家族の瑞祥先輩もハル先輩も辛い思いしてるのなんて、考えなくったって判ることなのに、それは笑って叩いたじゃねーか。そのくせ自分の面倒は晒したくない、努力を知らない奴が好き勝手言うって、あんた一体何言ってんだ?自分は不幸な人を叩いて笑ってるのに、自分は努力してるのを認められたいって。そんなの、全然不公平じゃん。他人の不幸を叩くなら、お前の不幸だって叩かれても文句言うなよ」
長井の表情が固まったまま動かなくなった。
「あんたが言う、努力の邪魔をされたくなかったんだったら、杉松さんの努力の邪魔をしなけりゃ良かった。杉松さんの言い分だって少しは聞けば良かったのに。自分を通してばっかりで杉松さんが悪いって責めてばっかりって。杉松さんはあんたのお母さんじゃないのに」
「母親に対してもどうかだよ、それ」
御堀も同調する。
幾久も頷く。
「反抗期じゃん、ただの」
「―――――どっか行け」
長井の言葉に三人が顔を見合わせた。
「どっか行け、つったんだよ!俺の前から消えろ!」
御堀、児玉、そして幾久の三人は、顔を見合わせて廊下を去った。
三人が去ると、再び美しいチェロの音色が寮の中に響き渡った。
いつまでも。
長井は考えて、その理由を言おうとしてやめた。
小言が多い。
注意をされる。
たしなめられる。
もう少し考えてからものを言った方がいいと言われる。
いま、初めて気づいた。
長井が杉松を嫌いな理由は、全て長井がなにか行動した事に対して杉松が注意をするからだ。
ほっとけよ。
うっせえな。
黙っとけよ。
うぜえんだよ。
文句を繰り返す度に、杉松は冷たく言った。
『僕達を母親にするのは辞めろ。お前の感情を見せつけられて喜ぶのはお前が赤ん坊だった頃の、お前の母親しかいないんだよ』
なにが母親だ、どいつもこいつも男じゃねえか。
長井は言って笑っていた。
―――――なんで今更
高校生の頃は全く気付かず、そのままこれまで抱えてただ嫌っていた感情を割りほぐすと、出てきたのは自分の幼なさと、杉松の言葉が全部、ただその通りの事でしかなかったという事だ。
『感情で誰かを支配しようったって、僕達には通じないよ』
杉松は長井をたしなめた。
実際、長井の感情は誰を揺るがす事もできなかった。
せいぜい誰かの眉を顰めさせるくらいで。
杉松を嫌いな理由。
それは、長井の感情に、振り回されてくれないからだ。
幾久は長井の言葉をじっと待った。
杉松は良い奴だったと誰もが繰り返し言う。
だけど初めて、杉松を嫌う人が出てきて、まるで神様みたいだと思っていた杉松に、別の一面があるのかと興味が湧いた。
長井は実際に嫌な奴で、本当に失礼で無礼でどうしようもない奴だ。
でも、山縣との違いは何だろう。
山縣だって、相当嫌な奴だし、自分勝手だし、いい加減で我儘で、幾久をパシリに使う。
「お前、ほんっとに邪魔でうるせえ奴だな!先輩に対して礼儀もクソもなってねえわ!」
怒鳴った長井に、幾久はそっか、と気づいた。
(ガタ先輩は、感情をぶつけて、相手をどうこうしようとしない)
嫌味も悪口も、なにもかも自分が言いたいから言うだけで、その感情で誰かを支配しようとか、逆らわせないようにしようとはしていない。
長井は幾久を恫喝し、怒りでもって都合の悪い事を隠そうとしている。
そして、幾久の質問には答えてくれない。
山縣は違う。よく判らなくても、感性が違っても、理解できなくても質問にはちゃんと答えてくれる。
長井は呼びかけに応じてくれない。
自分の都合が良かったり悪かったり、機嫌が良かったり悪かったり、そういった事で応じたり応じなかったりする。
「なんで怒鳴るんスか。オレは質問しているだけなのに」
「うるせえっつってんだろ!」
「そんな風に怒鳴らなくても判りますよ」
「お前、それで俺を煽ってるつもりか!」
駄目だ、と幾久は思った。
長井は幾久の話も聞かないし、幾久の考えを受け止めようともしていない。
感情をただぶつけ、幾久が長井に対して敵意をぶつけていると思い込んでしまっている。
(この人、ずっとこうだったのかな)
相手を見ようとせず、相手を決めつけ、言葉を交わそうとしていない。
「なんで勝手に喧嘩を始めるんすか。オレは質問しているだけなのに」
「そーいう質問?!へえ、そうやって煽って人の嫌がることやりまくって、喧嘩じゃない、質問ですって、杉松がよくその手を使ってたわ!煽ってきてるくせに、なにが質問だふざけんな!」
「―――――ただの悪口のくせに、なにが小言だ。ふざけんな」
幾久が言うと、長井は驚いて幾久をみつめた。
幾久が乱暴な言葉を使ったからじゃない。
一言一句、高校時代の杉松が長井に告げた言葉をそのまま告げたからだ。
「―――――って、杉松さんも思ってたんじゃないんですか?だからそう伝えたんでしょ?長井先輩は杉松さんが煽って来てると思ってた、杉松さんは長井先輩の小言を悪口と判断した。悪口じゃないのなら、別の言い方をすればよかった」
山縣のように、久坂のように、高杉のように。
手を変え、品を変え、一瞬何を言っているのか判らないくらいに微妙な言い回しで、誉めているかと勘違いするほどややこしくしてしまえばいいのに。
「なんで杉松さんが『悪口』って判断した言葉を使い続けたんすか?杉松さんを黙らせたかったから、引かなかったんじゃないんすか?長井先輩は喧嘩してるつもりだから」
理解をしたいなら、相手に判るように伝えればよかった。
悪口じゃないのなら、そうじゃないと言えばよかった。
でも実際はただの悪口だった。
だから注意された。
思っておくだけにしろ、と言われてなぜお前のいう事を聞く必要があるのかとむかついたからべらべらしゃべってやった。
杉松が嫌そうな顔をする度に、勝ったという気になっていた。
「喧嘩なんかしてねえよ。あいつがテリトリーを侵害するから悪いんだろ」
「長井先輩だって、杉松さんが侵害して欲しくない所を侵害してたから注意されたんじゃないんですか」
「邪魔なんだよアイツは!」
「杉松さんもそう思ってたかもしれない」
幾久が言うと、長井は息を飲んだ。
「長井先輩が杉松さんを嫌いみたいに、杉松さんだって長井先輩の事を嫌ってたんじゃないんすか?長井先輩の言い分を聞いてると、杉松さんから一方的に好かれて迷惑だって風に聞こえる。でもオレは、杉松さんが長井先輩を好きだったとは思えない」
(あーあ言っちゃった、幾ってば)
(うわ言ったよ幾久の奴)
御堀と児玉が同時に思い、同時に顔を見合わせた。
幾久は長井に続けた。
「だから、嫌いだけど最低限の妥協点が悪口を言うなって事だったんじゃないんですか?長井先輩は言いたい放題だったけど、杉松さんは我慢してたんじゃないんですか?」
違う、と長井は言いたかった。でも言えない。
なぜなら、そんなはずはない、と言うと杉松の気持ちを理解しているという事になるからだ。
じゃあ、そうだったろうな、とも言えない。
杉松に嫌われていることを、認めてしまう事になるからだ。
幾久の言葉は、長井から逃げ道を奪う。というより、逃げ道をどんどんふさいでいく。
逃げようと思って進んで行くと、そこが行き止まりになってしまう。
(幾のサッカーそっくり)
御堀は思う。幾久はよくこういうサッカーをしていた。
いつの間にか相手の先を読み、退路を塞ぐ。
味方であれば心強いが敵になると厄介だ。
長井は幾久に怒鳴った。
「明日、俺が恥かきゃいいと思ってんだろ!練習の邪魔ばっかりしやがって!うぜえんだよ!こっちがどれだけ努力してこの立場に来たと思ってんだ!気楽な学生とは立場が違うんだぞ!」
ノートなんかもういらない。長井は思う。
あんなもの、とっとと捨ててしまえば良かった。
別に好きでもなんでもない。本当にどうでもよかった。ただ、好奇心と興味、どうせくだらない曲だ、そう思ってやっただけだった。
練習になった。それだけだった。
「別にそんなつもりじゃ」
幾久が言うと長井は再び怒鳴った。
「そうだろーな!悪気なく、そうやって邪魔してんだよ、お前みたいな奴は!努力してる邪魔すんなよ!ノートなんかくれてやるから、晒すなり捨てるなり好きにしろ!こういうのが嫌だったから、こそこそ探してたってのに、意味ねえじゃねえか!」
怒鳴った長井の前に、児玉が出てきた。
「タマ?」
「―――――あんたって、他人の不幸はざまみろって叩きまくって喜んでんのに、自分の不幸は叩かれたくないんだな」
児玉の言葉に、全員の動きが止まった。
児玉は続けた。
落ち着いた、丁寧な声だった。
「あんたが、ノートに触られたくなかった理由も判ったし、こそこそ探した理由も判った。納得はいく。俺達はあんたみたいに、人の言葉を裏読みなんかしないから、言われた通りに、グラスエッジの曲については、ただの興味だったって、そう思う」
「最初からそう言ってんだろーが」
「じゃあ、なんで久坂先輩やハル先輩を、傷つける必要があったんだ?」
児玉はまっすぐに長井に問いかけた。
「あんたがノートを探したい理由は判った。面倒なのも判った。でも、ここに来て言いたい放題言って、杉松さんが病気でなくなって、家族の瑞祥先輩もハル先輩も辛い思いしてるのなんて、考えなくったって判ることなのに、それは笑って叩いたじゃねーか。そのくせ自分の面倒は晒したくない、努力を知らない奴が好き勝手言うって、あんた一体何言ってんだ?自分は不幸な人を叩いて笑ってるのに、自分は努力してるのを認められたいって。そんなの、全然不公平じゃん。他人の不幸を叩くなら、お前の不幸だって叩かれても文句言うなよ」
長井の表情が固まったまま動かなくなった。
「あんたが言う、努力の邪魔をされたくなかったんだったら、杉松さんの努力の邪魔をしなけりゃ良かった。杉松さんの言い分だって少しは聞けば良かったのに。自分を通してばっかりで杉松さんが悪いって責めてばっかりって。杉松さんはあんたのお母さんじゃないのに」
「母親に対してもどうかだよ、それ」
御堀も同調する。
幾久も頷く。
「反抗期じゃん、ただの」
「―――――どっか行け」
長井の言葉に三人が顔を見合わせた。
「どっか行け、つったんだよ!俺の前から消えろ!」
御堀、児玉、そして幾久の三人は、顔を見合わせて廊下を去った。
三人が去ると、再び美しいチェロの音色が寮の中に響き渡った。
いつまでも。
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