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キングオークの討伐 その1
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次の日。俺たちは早朝ギルドに寄ってクエストを受注した。
クエスト内容は『街の近くに出現したキングオークの討伐』である。
オークとは、豚が二足歩行しているようなのようなモンスターで、そのモンスターをめちゃくちゃ強くして巨大化させたのがキングオークと呼ばれるモンスターとなる。
まあ、スズナがクエスト用紙に書いていたキングオークの絵を見て『これエロアニメとかエロ漫画でよく見かけるやつやん! エルフがこのモンスターの持っている巨大なマラにめちゃくちゃ犯される感じの!』と突然大興奮し始めたのには驚いたが。
ただ、それを受付場で叫んだもんだから周りにいた冒険者が一斉に俺たちを見てきたり、受付嬢のソフィア、シエナ、メリッサが各々『エリックさんのナニの方が大きいと思いますよ』とか『マラ……? もしかしてお○ち○ぽのことですか?』とか『わたくし……エルフなのですが……大丈夫なんですわよね!?』とか言い出したからもう大変。俺は一瞬でクエスト用紙にサインをしてギルドを飛び出した、というような感じだ。
で、今現在。俺達は馬車に乗って目撃証言がある場所まで移動中である。
ちなみにこの馬車。俺たちが緊急クエスト時に乗っていた馬車だったのだが、ソフィアから『ミラさんが緊急クエストの報酬としてその馬と馬車もあげると言ってたんで、持って行っちゃって下さい!』と言われたのでありがたく頂戴したものである。
いくら金があるからといって一式揃えるのは中々に厳しいものがある。なにげに高いのだ。
俺は慣れ親しんだ馬の手綱を引きながら口笛を吹いて軽快に馬車を走らせた。
◇
二十分ほどして目的地に到着した俺達は、馬車を降りて周囲を見渡す。
特に何もない草原だった。
「エリック様! あれを見て下さい!」
が、シエナが突然大声を出してきたので、俺は彼女の指差す方向を見てみる。すると……
「……あれは……キングオークだな」
「はい……とても大きくて硬そうな……」
「わ、わたくしはエリックの後ろに隠れていますわ」
「いや、シエナさん。切るとこおかしいで。大きくて硬そうな棍棒を持っているって言わんと。あと、あのモンスター。頭に大きなリボンつけてるからメスやで、たぶん」
遠くでズシンズシンと歩いていたキングオークを見て、各々が感想を述べる。
ふむ。俺達から遠ざかっている感じだし、今すぐなにか行動を起こさないといけない、というわけではなさそうだな。
俺はそう判断して、事前に皆に伝えていたことを確認、そして戦闘準備を整えさせていく。
「さて、じゃあ今からあのキングオークを討伐しに行くわけだが……はい、シエナ。準備としてシエナは最初にまずなにをする?」
「異常回復ポーション改を飲みます!」
シエナは腰にぶら下げていたポーチから瓶を取り出し、ごくごくとそれを飲んだ。
俺は頷く。
「よしよし。ちゃんと覚えているな。で、俺がユニークスキルを発動して……」
「私もエリック様に続いてユニークスキルを発動するのですね」
「わたくしも一応発動しておきますわ」
俺はいつもの筋力増加や攻撃力上昇のスキルを発動する。シエナは他人のスキルの副作用を打ち消すユニークスキルを、メリッサは周囲にある草木を操るスキルをそれぞれ発動した。これでヨシ!
ちなみに、スズナのユニークスキルは『不死身』で、副作用は『モンスターに一切ダメージを与えることが出来ない』というものであった。事前に聞いたとおりものだ。ただ、どちらも自動的に発動するという特性が判明した。まあ、自動的といっても一日中勝手に発動している、という感じだったが。
ユニークスキルを発動したところで、次に俺はメリッサに話を振る。
「じゃあ、メリッサ。質問だ。今回の陣形は?」
「えっと、エリックとスズナさんを先頭にわたくし、シエナさんと続きますわ!」
皆がそれぞれの配置場所へと移動し、陣形を組む。素早い動きだ。
「メリッサ、いい調子だ。じゃあ次にスズナ。戦闘が始まった後の動き方は?」
「今回は、ウチがモンスターの攻撃を上手く受けきるための練習としてクエストを受けているから、ウチが前に出て積極的にターゲットを取る。つまりはタゲ取りやな。ただ、それをするのはエリックがお手本を見せてくれた後、という感じやな」
「その通りだ。これがスズナにとって初めてのクエストとなる。というわけで、最初に手本を見せた後もスズナの隣で俺が色々と指導する。まあ、大丈夫だ。俺もお手本を何回も見せるから」
俺は腰に下げている剣をスズナに見せて安心させる。
今日の俺は剣士だ。一応ローラも持ってきてはいるが、スズナに剣を使った防御方法を教えるんだからおそらくは使わない。
「じゃあ最後に。戦闘時、シエナは状況を見ながら適宜支援魔術を頼む。メリッサは周囲の警戒とキングオーク以外のモンスターが湧いた場合の対処。以上だ! 皆準備はいいか!」
『はい!』
三人からの返事を聞いた俺は、意気揚々とキングオークに向けて歩みを進め始めた。
クエスト内容は『街の近くに出現したキングオークの討伐』である。
オークとは、豚が二足歩行しているようなのようなモンスターで、そのモンスターをめちゃくちゃ強くして巨大化させたのがキングオークと呼ばれるモンスターとなる。
まあ、スズナがクエスト用紙に書いていたキングオークの絵を見て『これエロアニメとかエロ漫画でよく見かけるやつやん! エルフがこのモンスターの持っている巨大なマラにめちゃくちゃ犯される感じの!』と突然大興奮し始めたのには驚いたが。
ただ、それを受付場で叫んだもんだから周りにいた冒険者が一斉に俺たちを見てきたり、受付嬢のソフィア、シエナ、メリッサが各々『エリックさんのナニの方が大きいと思いますよ』とか『マラ……? もしかしてお○ち○ぽのことですか?』とか『わたくし……エルフなのですが……大丈夫なんですわよね!?』とか言い出したからもう大変。俺は一瞬でクエスト用紙にサインをしてギルドを飛び出した、というような感じだ。
で、今現在。俺達は馬車に乗って目撃証言がある場所まで移動中である。
ちなみにこの馬車。俺たちが緊急クエスト時に乗っていた馬車だったのだが、ソフィアから『ミラさんが緊急クエストの報酬としてその馬と馬車もあげると言ってたんで、持って行っちゃって下さい!』と言われたのでありがたく頂戴したものである。
いくら金があるからといって一式揃えるのは中々に厳しいものがある。なにげに高いのだ。
俺は慣れ親しんだ馬の手綱を引きながら口笛を吹いて軽快に馬車を走らせた。
◇
二十分ほどして目的地に到着した俺達は、馬車を降りて周囲を見渡す。
特に何もない草原だった。
「エリック様! あれを見て下さい!」
が、シエナが突然大声を出してきたので、俺は彼女の指差す方向を見てみる。すると……
「……あれは……キングオークだな」
「はい……とても大きくて硬そうな……」
「わ、わたくしはエリックの後ろに隠れていますわ」
「いや、シエナさん。切るとこおかしいで。大きくて硬そうな棍棒を持っているって言わんと。あと、あのモンスター。頭に大きなリボンつけてるからメスやで、たぶん」
遠くでズシンズシンと歩いていたキングオークを見て、各々が感想を述べる。
ふむ。俺達から遠ざかっている感じだし、今すぐなにか行動を起こさないといけない、というわけではなさそうだな。
俺はそう判断して、事前に皆に伝えていたことを確認、そして戦闘準備を整えさせていく。
「さて、じゃあ今からあのキングオークを討伐しに行くわけだが……はい、シエナ。準備としてシエナは最初にまずなにをする?」
「異常回復ポーション改を飲みます!」
シエナは腰にぶら下げていたポーチから瓶を取り出し、ごくごくとそれを飲んだ。
俺は頷く。
「よしよし。ちゃんと覚えているな。で、俺がユニークスキルを発動して……」
「私もエリック様に続いてユニークスキルを発動するのですね」
「わたくしも一応発動しておきますわ」
俺はいつもの筋力増加や攻撃力上昇のスキルを発動する。シエナは他人のスキルの副作用を打ち消すユニークスキルを、メリッサは周囲にある草木を操るスキルをそれぞれ発動した。これでヨシ!
ちなみに、スズナのユニークスキルは『不死身』で、副作用は『モンスターに一切ダメージを与えることが出来ない』というものであった。事前に聞いたとおりものだ。ただ、どちらも自動的に発動するという特性が判明した。まあ、自動的といっても一日中勝手に発動している、という感じだったが。
ユニークスキルを発動したところで、次に俺はメリッサに話を振る。
「じゃあ、メリッサ。質問だ。今回の陣形は?」
「えっと、エリックとスズナさんを先頭にわたくし、シエナさんと続きますわ!」
皆がそれぞれの配置場所へと移動し、陣形を組む。素早い動きだ。
「メリッサ、いい調子だ。じゃあ次にスズナ。戦闘が始まった後の動き方は?」
「今回は、ウチがモンスターの攻撃を上手く受けきるための練習としてクエストを受けているから、ウチが前に出て積極的にターゲットを取る。つまりはタゲ取りやな。ただ、それをするのはエリックがお手本を見せてくれた後、という感じやな」
「その通りだ。これがスズナにとって初めてのクエストとなる。というわけで、最初に手本を見せた後もスズナの隣で俺が色々と指導する。まあ、大丈夫だ。俺もお手本を何回も見せるから」
俺は腰に下げている剣をスズナに見せて安心させる。
今日の俺は剣士だ。一応ローラも持ってきてはいるが、スズナに剣を使った防御方法を教えるんだからおそらくは使わない。
「じゃあ最後に。戦闘時、シエナは状況を見ながら適宜支援魔術を頼む。メリッサは周囲の警戒とキングオーク以外のモンスターが湧いた場合の対処。以上だ! 皆準備はいいか!」
『はい!』
三人からの返事を聞いた俺は、意気揚々とキングオークに向けて歩みを進め始めた。
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