天才治癒師は空を翔ける

天才治癒師が誕生しましたとさ

天才治癒師は実家に捨てられる

僕は今何をしているのだろうか…


回答１
義理の弟に婚約者を寝取られた。

回答2
婚約者に子供が出来て婚約破棄された。

回答3
婚約者の浮気も見抜けなかった愚か者には伯爵家は継がさせる事は出来ないと後継者から外される。

回答4
使えない奴に食わす食糧は無いとの事でいきなり家を追い出される。

回答5
途方に暮れていると知らぬゴロツキに遭遇してボッコボコに殴られる。

回答6
血塗れになった僕は有り金全部取られてゴミ捨て場に捨てられた。

さあ、答えはどれ？
正解は全部！！
そして、現在進行形でゴミ捨て場に転がってます。

僕の何がいけなかったのでしょうか？
考えても分かりません…
あ、いけない！
僕としたことが自己紹介を忘れていました。
僕の名前はアスク＝ローランド。
廃嫡になったのでただのアスクです。
元々ローランド伯爵家の長男として産まれ、後継者として伯爵家を継げる様に徹底的な領地経営の基本的な地理から発展させる為の応用。
領地経営する為に必要な資金繰り方法。
貴族社会でやっていける為の社交学。
領地を俗から守る為に剣術や護身術。
伯爵家として恥じぬ礼儀作法などなど。
いろんな事を勉強させて貰いました。
学ぶ事は苦では無くとても充実した時間を過ごせましたが、正直言うと僕は伯爵家をついで領主になるのは向いてないと思っていました。
領主になれば領民の見本にならなきゃいけないし、あまり得意では無い社交の場にも今以上で無ければならない。
父上にも散々向いてないと言われ続けました。
それでも、男子は僕一人なので後継は僕しか居ないから父上は僕を厳しく鍛えた。
鍛える度に貶されながらも耐え続けた。
逃げ出したい気持ちでいっぱいだったけど、御母様だけは僕の努力を認めて期待してくれているから僕はどうにか答えてあげたくて今まで勉学に勤しんでいた。

そう、あの日までは…

僕の御母様が亡くなったその日から全てが変わった。

御母様は元々身体が弱く、肥えだちが悪く、僕と双子の妹　エリスを産んでから暫く寝たきりが続いた。
それでも、僕たち兄妹の前では明るく振る舞い、僕たちに大きな愛情を常に与えてくれていた御母様が大好きだった。
御母様にはもっと長生きして欲しかった…でも、僕の願いは叶わず、御母様は天に召されました…
僕は悲しみに押し潰されそうになったけどそんな現実を受け入れる暇を与えて貰えず、ひたすら領地経営の勉強ばかりさせられた。
でも、ある意味それで良かったのかも知れない…
勉強ばかりのせいで悲しむ時間も無く現実を見たく無いからひたすら集中出来た所もある。
家庭教師曰くその期間で僕は著しく成長したらしい。
悪い事ばかりでは無かったのかな？

それでも、心が押し潰されそうになった時、僕は領地経営の勉強の片手間ある本を読んでいた。
部屋の片隅にあるとても古くカビ臭い匂いを放つ本を。