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第二章 不穏な影

聖獣様はどんな生き物よりも美しく神々しい光を放っています

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本当に人は見かけに寄らないとはこの事ですわね。
あの人の能力だけは評価して差し上げますがそれ以外がダメ人間ですのでプラマイゼロになってしまう残念なお方。

ジョゼフ王太子殿下の見かけに寄らない特技の紹介も終わった所でそろそろご機嫌がよろしく無いお方達が行動を示して来ましたわ。

先程からロティお兄様の真後ろや真横を陣取り優雅に寝転がっている聖獣様ですわ。

聖獣様は本来自由な方々ですが主を持つものは基本主人から離れません。
そして、誰よりも主人を愛し、主人を守る守護者として立ちはだかるものです。

何故彼女たちが苛立って来ているかと言うと一番の理由は王太子殿下ですわ。
聖獣様は王太子殿下が大層お嫌いですわ。
何故かと言うと昔やらかした事がきっかけですね…聖獣はどんな生き物よりも神聖で美しく神々しい光を放っています。
是非ともサングラスしながら観察したいものです。
いつも眩しくて周りすら見えなくなるほどキラキラと美しいお姿ですわ。
その美しい見た目を見た王太子殿下は『その美しい聖獣はロシナンテではなくこの神々しい私にこそ相応しい。私に跪け!!』と馬鹿な発言をしてしまい、その発言に怒りを露わにした聖獣様が『コイツキライ…』『近寄んなナルシスト!』『キモっ!!!』『ワタクシ気持ち悪いでありんす…』と全力拒否されてしまい、最終的には聖獣様達にめったうちにされてしまい、全治1ヶ月の怪我をさせられて身体が全く動かさなくなるほど攻撃されてしまいました。
そのやらかしから聖獣様は皆王太子殿下が居るととても機嫌が悪くなります。

現状はとても不味い状態ですわ。
ただでさえ、私との談笑のせいでご主人様とイチャイチャするはずの時間が潰されているにも関わらず、私よりももっと厄介な王太子殿下が来ることによって大好きなロティお兄様との時間が更に削られることに対して皆様怒っていらっしゃいます…
怒る気持ちは凄くわかりますわ…

皆様お美しい尻尾をしたりしたりと床に叩きつけています。
聖獣様が怒りが増していくと天候や気温に変化が起こるので現在私は室内にいるにも関わらず足元から冷気を感じれば、頭上からとても熱い温風を感じたかと思えば室内なのに風がぴゅーぴゅー吹き出して室内の家具やらが倒れたりするわ、王宮が突然揺れ出すわと…
このままずっと転変地異が起これば恐らく被害は王宮だけには留まらず王都郊外まで出るでしょうね。
それは不味いことですわ。
かと言って私が何しようものなら王太子殿下と同じ運命を辿る事でしょう…
聖獣様は何故か私に嫉妬しているようで私の事もあまり好きでは無いようです…私は大好きなのに…モフモフ…ぐすん…
しかし、現状をどうすればよろしいのでしょうか?
このままでは本当に王都崩壊もありえますので…
少し考えた結論…とりあえずロティお兄様に止めさせましょう。
それ以外聖獣様を止める手段はありませんわ。
私はロティお兄様の耳元にひそひそ声で何とかして欲しいと救援要請をしましたわ。
まさかそれが聖獣様のストッパーを壊してしまうとはその時の私は気付きませんでしたわ。
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