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神様と行く、うどんの旅とその切っ掛け
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しおりを挟む「お、その花はおれのために摘んで来てくれたのか? そうかそうか、いつもお前達がそうやって持ってきてくれるから、ここはすっかり花に溢れる場所になったぞ」
「花? え? 草しかなくない?」
「花はもう少し奥に行った所に沢山咲いているんだ。けども君、さっきから突っ込むところがズレてやしないか? 豪胆なのか、それとも状況を理解していないのかどっちだ?」
「まあ理解できるわけないわよね!」
だよなあ、とまたしても青年は声を上げて笑う。これは性格の悪い方の笑い方、とたった少しのやり取りで雪乃は否応なしにそれを理解してしまった。
「なんなのここ!? それにこの子どうしたの!? でもってアンタ誰!? っていうか、なに!?」
「お嬢さん、質問は一つずつするもんだぞ」
「アンタの登場からずっとパワーワードの連続なのよ! 質問だって重なっちゃうわよでもそうねごめんなさい!?」
「自分の非を素直に認められるのか……うん、ますますいいな、君!」
「え待ってすごく嫌な感じがする」
「その勘は大事にしとくんだなお嬢さん」
根拠は微塵もないけれど、今たしかにロックオンをされた、ような、気がする。そんな雪乃の突っ込みに青年がさらりと答えるものだから、ますます身の危険を感じてしまう。
「……神隠しとか言ってたけど……アンタやっぱり妖怪なの!?」
「おいおいおいひどいな君は。神隠しと言っているんだからそこは神様なの? と問うべき所だろう? それになんだ、やっぱりって。君から見ておれは妖怪に見えるというのか?」
「妖怪でしょ?」
「どうしてそう思う?」
「胡散臭い」
「そりゃ違いない」
つい会話のノリで正直に答えてしまったが、青年は気を悪くするどころかヒャッヒャと量手足を叩いて笑っている。似た様な動きをするおもちゃがあったな、と雪乃の頭にシンバルを鳴らすサルのおもちゃが浮かぶ。
「ん? なにを考えてる?」
「……だから、アンタの正体なんのかなとか……ここどこよ、とか……あとこの子……なに?」
毛玉になった子どもは今も雪乃の背中にくっついている。
「ああ、そいつは小さいのの集まった姿だな」
説明されているようでされていない。雪乃の怪訝な顔に青年は軽く指を鳴らした。すると、ポンという音と共に子どもだった毛玉の集まりが崩れた。
驚きのあまり雪乃は叫びを上げる事すらできない。ひゅ、と息を飲み身を竦める。散らばった毛玉は、それぞれがムクムクと起き上がると雪乃の回りに囲む様にして立つ。
茶色の人型をしたソレに目や口は無い。デコレーション前のジンジャークッキーの様だと思えば、徐々に驚きも落ち着いてくる。
「君に礼を言いたいらしい」
「礼って……?」
ピョコピョコと頭を下げているのを不思議に眺めていれば、青年がそう解説をしてきた。
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