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小話
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しおりを挟む「いつもと同じですけど、でもグレン様が一緒にいてくださる時間が増えるなら、監禁されるのもいいかなあと、思います……」
またしても語尾が掠れる。夜の暗さの中でもはっきりと分かるくらいに顔が赤い。我ながらなんとも幼い我が儘を言っている、と恥ずかしがっているのだろう。グレンにしてみれば、これ以上はないほどの喜びであるが。
掴んだままの手を軽く引けば、簡単にフェリシアの身体は引き寄せられる。重さを感じさせない細い体躯が、仰向けになったグレンの上に乗る。
「俺もフェリシアと一緒にいたい」
「ご……ごめんなさい……」
「なにが?」
「だって……グレン様はお仕事でいないだけなのに、なんだか……すごく子供っぽいこと言ってるなって」
「俺も一緒にいたい、と言ってる」
軽く彼女の額に口付ける。
「もう少ししたらまとまった休みが取れるから、そうしたら二人でゆっくり出かけよう」
本当に!? と言わんばかりにフェリシアの瞳が喜色に満ちる。が、すぐに気を引き締める様に口を横一文字に結んだ。
「フェリシア?」
「う、嬉しいんですけど、ものっすごく嬉しいんですけど、それ以上にグレン様はそういう時こそゆっくりしてください」
恥ずかしいのか、グレンの胸元に額をグリグリと押し付けつつそう口にする。
「グレン様とお出かけもしたいですよ? でもお出かけしなくても、グレン様が傍にいてくれるならそれだけで充分嬉しいんです」
ボソボソと呟かれる言葉の威力たるや。ただでさえ愛おしくてたまらない相手だ、我慢などできるわけがない。
「フェリシア」
熱を込めて名を呼べば、額を押し付けたままの彼女の肩がピクリと震える。もう幾度となくその身を求めて掻き抱いているのだ、場の空気が変わったことはこれで察したはずだ。それでも顔を上げずにいるのは、いまだ行為にとてつもなく恥ずかしがっているから。
その羞恥に震える様すら愛しく、そして愉しいのだと伝えたらどう思うだろうかと、そんな考えを頭に過らせつつグレンはフェリシアの顔を両手で挟み持ち上げる。
赤く染まった頬に潤んだ瞳。薄く開かれた唇はグレンを誘っているかの様で、そんな都合の良い解釈をしながら欲の赴くままに口付けた。
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