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「……俺が、フェリシアを、監禁するとしたら?」
「え……えええ……やっぱり一緒にいてほしいですけど、でもグレン様が監禁するんですよね? 毎日ちゃんと会いに来てくれて、あ、あとお話もしてほしいです! それだったらいいかなあ……でもそれ以外は一人だと退屈?」
「じゃあ私がその間はご一緒します!」

 一通り飴玉を舐め終わったのだろう、ポリーが元気に会話に交じる。

「お掃除とか、食事の準備とかしてる時は無理ですけど、そうじゃない時はずっとフェリシア様とかんきんされてます!」
「本当!? ポリーが一緒にいてくれるなら楽しく過ごせるわね」
「そうだ、私がいない間はマリアさんがいてくれますよ! 私とマリアさんでお仕事交互にすれば大丈夫! そうしたらフェリシア様一人で退屈なんてしないし」

 ね、マリアさん! とポリーの有無を言わせぬ笑顔がマリアに飛ぶ。マリアはただただ静かに微笑みでそれを流した。見事な大人の対応である。

「ミッシェル様もお呼びしたらいいかもですね。私精一杯おもてなしします」

 それはもう監禁とは言わないのではなかろうか。

 そんな突っ込みがカーティスとマリア、そして元凶であるグレンの三人それぞれの中で吹き荒れるが、とても楽しそうにキャッキャとしてるフェリシアとポリーを前に霧散する。
 すっかり毒気を抜かれたグレンがその光景を微笑ましく眺めているのを目にし、カーティスは小さく息を吐いた。
 大元はフレドリックの危うい発言であるし、それを受けてのグレンの愚痴でしかないわけであるが。

――グレン様も似ておいでになるからな……

 温和で公明正大で真面目で融通も利く、という点はグレンも同じだ。似ているのだあの主従は。

――これ絶対グレン様もフェリシア様に対してもう少し拗らせてたらああなってただろ

 その瀬戸際で例の記憶喪失の大騒ぎが起きたのだ。本当に運が良かったと思う。自分の主人が、そして乳兄弟が、道を踏み外す前で。
 チラリを視線を動かせばマリアと目が合う。これからも屋敷の平和が保たれるよう、よく分からないけどとりあえず頑張ろうな! そう無言で固く誓い合った。



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