51 / 110
小話
7※
しおりを挟むジュリアがだいぶアレな男に言い寄られているが、それを見事にいなしてそれどころか従えている。そんなジュリアにとっては不名誉極まりない噂が広まり、最終的にその気配があるフレドリック、の、婚約者であるオリアーナを守るためにと専属侍女になったのだ。栄誉ある仕事が、こんな理由の為だと知った時のジュリアの心境たるや。
ジ、と睨み付けてみるもルイスはニコニコと笑みを崩さない。
「なに? どうしたの?」
なに考えてる? とルイスが身体を近付けジュリアの耳にそっと囁く。その声と、そして同時に胎内に走った衝撃にジュリアは軽く背を浮かせた。
「っ……ん、で……まだ」
どれ程気を失っていたのかジュリアには分からないが、それでもそう短い時間だったわけではないだろう。いやそもそも相手が失神してなお、挿入したままというのはなかなかどうして
「この外道……!」
「起き抜けなのにおれに対する罵倒は淀みないのほんと最高」
真顔で言い切られジュリアはまたしても意識を飛ばしそうになる。なる、だけで実際飛ばなかったのが悔やまれてならない。このままこの頭の螺子が吹き飛んでいる男を相手にしなければならないのだ。
「おれはまだジュリアを満喫できてないし、満足いくまで気持ちよくさせてあげれてないからさ」
「もう充分……!」
いっそ爽やかな笑顔でとんでもない事を言われ、ジュリアは両の掌でルイスを顎下から押し退ける。が、そんな抵抗すら彼にとっては悦びでしかない。両手首を軽く掴むと、唇に触れるジュリアの指をベロリと舐め上げる。ジュリアは飛び出そうになった声をどうにか飲み込み、手首を引き離そうとするが当然それは阻止された。
一本一本指先を舐られ、その都度身体に官能が走る。散々達した後であるからして、呼び覚まされる熱もすぐだ。
「ジュリアはどこもかしこも美味しいね……あー……食べ尽くしたい」
カリリ、と痛みを感じるギリギリの所まで指先に歯を立てられる。
「ねえジュリア、起きる時にさ、なに考えてた?」
「……なに……、って、……?」
過ぎた快楽に気を飛ばして、そこから目覚めただけだ。ジュリアはどうにか指に与えられる快楽から逃れようと必死だが、そうする度にルイスの責めが激しくなる。
「起きる寸前にさあ、ジュリアの眉間に皺が寄ったから、なんか考え込んでたのかなーって」
自分の少しの表情の変化すら見逃さないこの男に、呆れるやら感心するやら恐怖するやら。執着が強い、強すぎる。さすが「監禁したい」と豪語するだけの事はある。
ああそうだった、とジュリアはこの瞬間に思い出した答えをルイスに返す。
2
お気に入りに追加
3,295
あなたにおすすめの小説
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
不器用騎士様は記憶喪失の婚約者を逃がさない
かべうち右近
恋愛
「あなたみたいな人と、婚約したくなかった……!」
婚約者ヴィルヘルミーナにそう言われたルドガー。しかし、ツンツンなヴィルヘルミーナはそれからすぐに事故で記憶を失い、それまでとは打って変わって素直な可愛らしい令嬢に生まれ変わっていたーー。
もともとルドガーとヴィルヘルミーナは、顔を合わせればたびたび口喧嘩をする幼馴染同士だった。
ずっと好きな女などいないと思い込んでいたルドガーは、女性に人気で付き合いも広い。そんな彼は、悪友に指摘されて、ヴィルヘルミーナが好きなのだとやっと気付いた。
想いに気づいたとたんに、何の幸運か、親の意向によりとんとん拍子にヴィルヘルミーナとルドガーの婚約がまとまったものの、女たらしのルドガーに対してヴィルヘルミーナはツンツンだったのだ。
記憶を失ったヴィルヘルミーナには悪いが、今度こそ彼女を口説き落して円満結婚を目指し、ルドガーは彼女にアプローチを始める。しかし、元女誑しの不器用騎士は息を吸うようにステップをすっ飛ばしたアプローチばかりしてしまい…?
不器用騎士×元ツンデレ・今素直令嬢のラブコメです。
12/11追記
書籍版の配信に伴い、WEB連載版は取り下げております。
たくさんお読みいただきありがとうございました!

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話

この罰は永遠に
豆狸
恋愛
「オードリー、そなたはいつも私達を見ているが、一体なにが楽しいんだ?」
「クロード様の黄金色の髪が光を浴びて、キラキラ輝いているのを見るのが好きなのです」
「……ふうん」
その灰色の瞳には、いつもクロードが映っていた。
なろう様でも公開中です。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。