上 下
40 / 110
小話

12※

しおりを挟む



 もう何度目になるか分からない絶頂にフェリシアは悲鳴の様な声を上げた。ビクビクと身体は大きく跳ねるのに、腰から下をしっかりと押さえ付けられて上半身しか動かせない。その程度の動きで逃がせる様な快楽ではないので、フェリシアの身体はもうずっと苛まれている。

 辛い、気持ちいい、よすぎて――辛い。

 こんなにも気持ちがいいのに、なのに一向に飢餓感が消えない。快楽だけではどうしても足りないのだ。

「ふ、ぁッ、あ、ぅあぁ、ああッ……」

 左脚と同じ様に右脚も散々舐られ、今は秘所を責められている。指で触れられるのでさえ恥ずかしくて正直嫌なところはある。けれど、ここを解さないとかえって辛いからと、どうにかこうにか必死に耐えている場所。そこをまさか、口で、舌で、こんなにも執拗に責められる日が来ようとは。

「ぅあ……――あーッ!!」

 親指でグリ、と包皮を押され剥き出しになった花芯はもうずっとグレンの口の中だ。そこでひたすら舌で突かれ、舐め、時には扱かれてと様々な刺激を与えられている。このまま溶けてしまうのではないかと恐怖すら感じてしまう。時々戯れにズルリと舌がフェリシアの中に入り込み、入り口から溢れる蜜を音を立てて吸い、その音にフェリシアは聴覚からも快楽を拾って全身を震わせた。
 自分の身体の中を舐められるだなんて、通常であれば恐怖と嫌悪しかないはずだ。だがフェリシアは一瞬の驚きこそあれ、負の感情を抱くことはなかった。

 だってこれは、自分の身体に触れているのは、触れていいのはこの人だけだから――

 ぐうん、とフェリシアの中で快楽が大きなうねりを持って駆け巡る。視界が白み、キーンとした音が鼓膜に響いてそして

「ぃ……あああああッ!!」

 パチンと音を立てて弾けた。
 背中を大きく反らせ、シーツを握り締めた指が白くなるほど力が籠もる。数秒の間そうやって全身を硬直させ、やがて糸が切れた人形の様に力なくシーツに身を沈めた。

「……ぐれんさまぁ……!」

 涙が止まらない。嗚咽さえ漏れそうなその様子にようやくグレンはフェリシアを責めから解放する。

「フェリシア――泣かないで、フェリシア」

 額に唇を落としながら、グレンは親指の腹でフェリシアの目元を優しく拭う。

「グレンさま……手を、うごかしても、いいですか」

 嫌だったら手を使って止めろと言われた。フェリシアはグレンにされて嫌な事は一つもない。だから、勝手に動いて、彼に嫌な事をしたのだと勘違いだけはされたくない。
 グズグズと鼻を鳴らしながら若干呂律の回らない口でそう言えば、ふ、とグレンは小さく笑う。それはフェリシアの大好きな、普段の優しい彼の笑みだった。


しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

高級娼婦×騎士

歌龍吟伶
恋愛
娼婦と騎士の、体から始まるお話。 全3話の短編です。 全話に性的な表現、性描写あり。 他所で知人限定公開していましたが、サービス終了との事でこちらに移しました。

貧乏令嬢の私、冷酷侯爵の虫除けに任命されました!

コプラ
恋愛
他サイトにて日間ランキング18位→15位⇧ ★2500字〜でサクサク読めるのに、しっかり楽しめます♪ 傲慢な男が契約恋愛の相手である、小気味良いヒロインに振り回されて、愛に悶えてからの溺愛がお好きな方に捧げるヒストリカル ロマンスです(〃ω〃)世界観も楽しめます♡  孤児院閉鎖を目論んだと思われる男の元に乗り込んだクレアは、冷たい眼差しのヴォクシー閣下に、己の現実を突きつけられてしまう。涙を堪えて逃げ出した貧乏伯爵家の令嬢であるクレアの元に、もう二度と会わないと思っていたヴォクシー閣下から招待状が届いて…。 「君が条件を飲むのなら、私の虫除けになりなさい。君も優良な夫候補が見つかるかもしれないだろう?」 そう言って、私を夜会のパートナーとしてあちこちに連れ回すけれど、何だかこの人色々面倒くさいわ。遠慮のない関係で一緒に行動するうちに、クレアはヴォクシー閣下の秘密を知る事になる。 それは二人の関係の変化の始まりだった。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

公爵夫人は国王陛下の愛妾を目指す

友鳥ことり
恋愛
カルサティ侯爵令嬢ベルティーユ・ガスタルディは、ラルジュ王国の若き国王アントワーヌ五世の王妃候補として有力視されていた。 ところが、アントワーヌ五世はロザージュ王国の王女と政略結婚することになる。 王妃になる道を閉ざされたベルは、王の愛妾を目指すことを決意を固めた。 ラルジュ王国では王の愛妾は既婚者であることが暗黙の了解となっているため、兄の親友であるダンビエール公爵オリヴィエール・デュフィの求婚に応え、公爵夫人になって王宮に上がる計画を立てる。 一方、以前からベルに執心していたオリヴィエールは半年の婚約期間を経て無事結婚すると、将来愛妾になるための稽古だと言いくるめて夫婦の親密さを深めようとして――。 国王の愛妾を目指すために公爵と結婚した令嬢と、彼女を溺愛する公爵の微妙にちぐはぐな新婚生活の物語。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。