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「はぁッ、ぁッ、あ、あ、あッ……――あぁーッ!!」

 フェリシアが一際高い声を上げて啼く。とうとう胸だけで達してしまった。ビクビクと跳ねる背にグレンは手を回し、宥める様に掌で優しく撫でてやる。数回そうしてやっていると、徐々にフェリシアの息が整い始め、仰け反ったままの背中もシーツへと沈む。
 ああもう本当に可愛いなあ、と笑うグレンの顔は穏やかで、とても今この瞬間まで淫らな行為を強いてきた相手だとは思えない。
 グレンは身体を起こし、ちゅ、ちゅ、と優しくフェリシアの涙に濡れた目元に口付ける。フェリシアはくすぐったさに瞼を閉じつつ、少しだけ和らいだ空気にほっと息を吐く。
 が、しかし。それはただの錯覚、もといフェリシアの願望でしかなかった。

「ッ!?」

 グレンの顔が離れ、彼の髪が鎖骨をなぞり胸元に触れた。そう思った瞬間、またしてもフェリシアの息が詰まる。
 胸の谷間から、ゆったりと下に向かって唇が落ちていく。鳩尾の辺りに何度も口付けされ、時折きつく吸い付かれてはそこに赤い華が散る。

「やッ、あ、くぅ……ッ、ん、いや、ぁ、……」

 これまでもそこを愛撫された事はあるけれど、あまりにもくすぐったくてゾクゾクするので、その度にフェリシアはグレンに助けを求めた。そうすれば彼はすぐに止めてくれ、掌での優しい触れ方に変えてくれていたのだ、これまでは。

「ああンッ!!」

 なのに今日は止めてはくれない。執拗に肌を舐め、吸い付き、フェリシアをひたすら追い込んでいく。
 ついには臍の中にまで舌を押し込まれ、グリグリと刺激されフェリシアは脚をバタつかせた。踵でシーツを蹴り、必死に身体を上の方へと動かす。そんな抵抗すらも楽しいのだろう、グレンは漏れそうになる笑いを堪えながらフェリシアの細腰を掴み、逃げた分だけ元の位置へと引き戻す。

「フェリシアはどこもかしこも敏感だな。こんなに感じやすくて心配になる」
「グレンさまのせいでしょう……!」
「もちろん」

 必死のフェリシアの訴えに、グレンはにこやかに答えながら身体を起こした。大きな掌で、薄いフェリシアの下腹の辺りをゆるやかに摩る。

「……ん、ぁ……」
「ここで感じるようになるのはまだ無理か」
「……え?」

 快楽に翻弄されすぎてフェリシアの思考は鈍くなっている。グレンの言葉は聞こえているのに、その意味を理解するのに時間がかかってしまう。不思議そうに見上げるフェリシアにグレンはニコリと微笑む。
 その顔によからぬ物を感じ、フェリシアは身を竦める。じわじわと脚を動かし身を引き寄せようとすれば、その脚を片方グレンに掴まれた。


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