38 / 110
小話
10※
しおりを挟む「はぁッ、ぁッ、あ、あ、あッ……――あぁーッ!!」
フェリシアが一際高い声を上げて啼く。とうとう胸だけで達してしまった。ビクビクと跳ねる背にグレンは手を回し、宥める様に掌で優しく撫でてやる。数回そうしてやっていると、徐々にフェリシアの息が整い始め、仰け反ったままの背中もシーツへと沈む。
ああもう本当に可愛いなあ、と笑うグレンの顔は穏やかで、とても今この瞬間まで淫らな行為を強いてきた相手だとは思えない。
グレンは身体を起こし、ちゅ、ちゅ、と優しくフェリシアの涙に濡れた目元に口付ける。フェリシアはくすぐったさに瞼を閉じつつ、少しだけ和らいだ空気にほっと息を吐く。
が、しかし。それはただの錯覚、もといフェリシアの願望でしかなかった。
「ッ!?」
グレンの顔が離れ、彼の髪が鎖骨をなぞり胸元に触れた。そう思った瞬間、またしてもフェリシアの息が詰まる。
胸の谷間から、ゆったりと下に向かって唇が落ちていく。鳩尾の辺りに何度も口付けされ、時折きつく吸い付かれてはそこに赤い華が散る。
「やッ、あ、くぅ……ッ、ん、いや、ぁ、……」
これまでもそこを愛撫された事はあるけれど、あまりにもくすぐったくてゾクゾクするので、その度にフェリシアはグレンに助けを求めた。そうすれば彼はすぐに止めてくれ、掌での優しい触れ方に変えてくれていたのだ、これまでは。
「ああンッ!!」
なのに今日は止めてはくれない。執拗に肌を舐め、吸い付き、フェリシアをひたすら追い込んでいく。
ついには臍の中にまで舌を押し込まれ、グリグリと刺激されフェリシアは脚をバタつかせた。踵でシーツを蹴り、必死に身体を上の方へと動かす。そんな抵抗すらも楽しいのだろう、グレンは漏れそうになる笑いを堪えながらフェリシアの細腰を掴み、逃げた分だけ元の位置へと引き戻す。
「フェリシアはどこもかしこも敏感だな。こんなに感じやすくて心配になる」
「グレンさまのせいでしょう……!」
「もちろん」
必死のフェリシアの訴えに、グレンはにこやかに答えながら身体を起こした。大きな掌で、薄いフェリシアの下腹の辺りをゆるやかに摩る。
「……ん、ぁ……」
「ここで感じるようになるのはまだ無理か」
「……え?」
快楽に翻弄されすぎてフェリシアの思考は鈍くなっている。グレンの言葉は聞こえているのに、その意味を理解するのに時間がかかってしまう。不思議そうに見上げるフェリシアにグレンはニコリと微笑む。
その顔によからぬ物を感じ、フェリシアは身を竦める。じわじわと脚を動かし身を引き寄せようとすれば、その脚を片方グレンに掴まれた。
1
お気に入りに追加
3,304
あなたにおすすめの小説
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
散りきらない愛に抱かれて
泉野ジュール
恋愛
傷心の放浪からひと月ぶりに屋敷へ帰ってきたウィンドハースト伯爵ゴードンは一通の手紙を受け取る。
「君は思う存分、奥方を傷つけただろう。これがわたしの叶わぬ愛への復讐だったとも知らずに──」
不貞の疑いをかけ残酷に傷つけ抱きつぶした妻・オフェーリアは無実だった。しかし、心身ともに深く傷を負ったオフェーリアはすでにゴードンの元を去り、行方をくらましていた。
ゴードンは再び彼女を見つけ、愛を取り戻すことができるのか。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
可愛すぎてつらい
羽鳥むぅ
恋愛
無表情で無口な「氷伯爵」と呼ばれているフレッドに嫁いできたチェルシーは彼との関係を諦めている。
初めは仲良くできるよう努めていたが、素っ気ない態度に諦めたのだ。それからは特に不満も楽しみもない淡々とした日々を過ごす。
初恋も知らないチェルシーはいつか誰かと恋愛したい。それは相手はフレッドでなくても構わない。どうせ彼もチェルシーのことなんてなんとも思っていないのだから。
しかしある日、拾ったメモを見て彼の新しい一面を知りたくなってしまう。
***
なんちゃって西洋風です。実際の西洋の時代背景や生活様式とは異なることがあります。ご容赦ください。
ムーンさんでも同じものを投稿しています。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。