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小話
7※
しおりを挟む片手は拘束されたままあっと言う間に服を脱がされた。肌着は辛うじて残っているものの、それにしたって手際がよすぎではなかろうか。そう突っ込みを入れる隙すらも与えられず、今度は唇を奪われる。思わずしっかりと口を閉じてしまうが、上唇と下唇を交互に柔く噛まれ、その刺激に少しだけできた隙間から舌が入り込んできた。
「んッ……ふ、う……ん」
口の中で感じる所を暴かれ、それによる快楽を教え込まれたフェリシアはすぐに反応を示す。甘える様な啼き声に、唇を重ねたままグレンの口角が上がったのが伝わった。それが悔しくてフェリシアはグレンの舌に軽く歯を立てる。そのままじゅ、と吸い付けば彼の肩が僅かに跳ね、それに気をよくしたのも束の間。より一層腔内を責め立てられる。
いっそ呼吸まで奪われるのではないかと思うほどの深い口付け。フェリシアは堪らず頭を仰け反らせた。しかしそれをさらにグレンが追い込む。上から押さえ付ける様に口付けたまま、拘束していた手を離し両手でフェリシアの耳を塞ぐ。そうしながら、時折耳の縁や裏側をゆるゆると撫でてフェリシアの官能を高めていく。
ただでさえ深い口付けに翻弄されていたところにこの責めはフェリシアには耐えられなかった。グレンの手首に手を伸ばし、必死に引き離そうとするがビクリともしない。そのまま耳の穴を指で円を描く様に撫でなれ、舌をきつく吸い上げられる。ビクン、とフェリシアは身体を大きく跳ねさせ、そこでようやく口付けから解放された。
浅く乱れるフェリシアの呼吸。その息が整うのも待たず、グレンは新たな責めを始める。 フェリシアの両手をそれぞれ顔の横に動かし、そのまま自分の指を絡めてシーツに縫い付けた。やんわりと上体も押し付け、重みは与えないけれどもフェリシアの身体の自由を奪う。
「グレンさま、そ、れ……ッ」
グレンの唇は今度はフェリシアの耳に触れる。耳朶を唇で、歯で、舌でねっとりと舐っていく。
「ぁ、や……や、だぁ……」
「フェリシアは本当に耳が弱いな。ビクビク身体が震えていて……可愛い」
「ッ……んぁッ!!」
ぬるりとした舌が耳の穴に差し込まれ、フェリシアはどうやっても声を堪えきれない。こんな場所で快楽を得てしまうのがとてつもなく恥ずかしい。いやいやと頭を振って逃げようとしても、すでに力はほぼ入らない。それどころか、首を反らしたせいで今度はそこに狙いを定められる。
「ふ、ぁ、んんッ!!」
首筋を舌が這う。下から上へとツゥ、と撫でたり小さなリップ音を立てて小刻みに口付けを繰り返されたり。その度にフェリシアの身体も跳ねる。だがグレンが上半身で押さえ付けているのでその快感を逃がすことが出来ず、フェリシアの小さな身体にどんどんと蓄積される一方だ。
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