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小話

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 一言で言えば煽られたのだ。そしてそれにより箍が外れてしまった。
 恥ずかしがり屋の彼女がそれでも頑張って口付けてくれた。それだけでも頭の螺子は吹き飛ぶと言うのに、普段自分がソコにされているからと首筋を選んだ。それが「唇には到底できないから」という理由であったとしても、それでもグレンの自制を吹き飛ばすには充分すぎた。

 彼女が、自分の愛撫を覚えているというのがとにもかくにも嬉しい。




「んッ、ぁッ……ぁ、ああ……ッ!」

 ガツガツと奥を突かれ、フェリシアが掠れた声で啼く。もう何度となく達しているため、きっと喉はヒリヒリと痛んでいることだろう。そう思うのにグレンは腰を突き上げるのを抑えきれない。
 一際高い声を上げてフェリシアが背中を反らせた。ビクビクと震える身体に呼応するように、自らのナカに埋まるグレンの熱も締め付ける。その扇動に導かれる様にグレンは熱を放った。

「ぁ……」

 吐息にも似たフェリシアの喘ぎに、即座にグレンの欲が沸き上がる。が、流石にこれ以上はと自制をし、高く持ち上げたままのフェリシアの細腰をそっとシーツの上へと降ろした。
 ズルリと欲の塊を抜けば、彼女の秘められた場所からトロリと白濁が零れる。それを目にすればどうしたって熱は蘇る。ぐん、と硬度を取り戻した己の下半身に、どれだけ盛っているのかと苦笑するしかないが、今はひとまず彼女を休ませてやりたい。散々貪っておいて何を今更、と言われるかもしれないが、それでも休ませないよりはマシだ。

 ベッドサイドに置かれた水差しに手を伸ばし、グラスに水を注ぎそれを一口含む。そのまま軽くフェリシアの頭を持ち上げ、そっと口移しで水を飲ませた。
 コクリ、と細く白い首が動く。それにすら欲情してしまうこの浅ましさ。もう彼女が何をしたとしても煽られるのだから堪らない。

「もう少し飲む?」

 そう問えばフェリシアはとろりとした眼差しを向けたまま小さく頷いた。立て続けにイカされて意識は半分飛んでいるのだろう。素直に口移しで水を飲むのがいい証拠だ。まだ蕩けきっていない時ならば真っ赤になって拒否をする。それくらい彼女は恥ずかしがる。

「ぐれんさま……」

 呂律が回らないせいで呼び方が幼い。にやけそうになるのに耐え、グレンが努めて冷静な顔を保って見つめると、フェリシアがゆっくりと両腕を伸ばしてきた。

 ぎゅってしてください、と態度で甘えてくる。可愛すぎか、と叫びたいのもなんとか堪え、グレンは求められるままにフェリシアを抱き締めた。自分の首の後ろに彼女の両腕が回るのがとても嬉しい。

「あのね……ちがうの、グレンさまがたくさんなのがいやじゃないの」

 ボソボソと話す声がグレンの耳朶に響く。


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