バーサスAI

安太郎

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第7話

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この世界は円形状になっている。
そして、白の陣地は北に。
黒の陣地は南に存在し、平等に敵の強さが設定されているのであれば世界の中心に行く度に敵は強くなると俺達は仮定した。
つまり、世界の中心を超えない限り敵の陣地にも攻め込めない。
今は力を蓄えるしかなかった。

その一つとして強い装備を手に入れる。
まずはゴブリンキングを倒すだけの武器を手にしなければならない。
武器は武器屋かクエストで入手ができる。
防具も同じくだ。
しかし、武器屋などの店で買うにはお金がいる。
お金は節約したいからクエストでの入手となった。
だが、強い武器の入手にはそれたげ強い敵を倒す事か数を倒す事になる。
初期装備でもギリギリ倒せるラインかステータスの強さで倒せる敵。
現状では質より量を取ることになる。

「……多いな。」

クエスト内容は白の陣地より東にある小高い山に生息する狼型のモンスターを狩る事だ。
それに敵の攻撃力と移動速度は高いモノだった。
大剣など範囲攻撃で薙ぎ倒したいが3人で行動していて振り回せず、離れて戦うにはまだ危険な状態だ。
ナイフで敵の急所を叩き確実に数を減らしていった。
エクスは片手剣、ハルノは刀で応戦。

そして、やはりハルノが最もモンスターを倒していた。
急所に当たれば間違いなく一撃で外しても二撃で。
しかし、ステータスの強さだけではない。技が凄まじかった。
確実に急所に当てる技量。
急所を外すのは僅か。
だから、ここまで速い速度であのレベルに到達できたのだと思った。

そして、そのレベルアップに必要な経験値は与えたダメージの量に相当して分配される。

[レベルアップしました。]
[レベルアップしました。]

取り逃したモンスターも誰かが倒せば経験値が手に入る。
効率が良く、レベルアップしていく。
だが、自分のレベルがモンスターより高くなると入る経験値はかなり少なくなった。

その少なくなった時のレベルはハルノのレベルと同じ15になった時だった。

「そろそろ下山しないか?」

クエストの規定討伐数はクリアした。
それに換金用アイテム【狼の牙】と【狼の毛皮】それぞれもかなり入手できた。
これなら店でも装備を整えられる。

「そうだね。」

エクスは頷いた。
そして、ハルノは「わかりました」と一言。

「なかなか慣れないな。」

まだ、あって一日しかたっていない。
本人も癖だと言っていたが気を使い過ぎていないか心配になる。

「仕方がないよ。
男二人に女の子一人なんだから。」

「馴染みやすいようにと思って呼び捨てにしてみたけど失礼になってなければいいな。
同じ年だけど大丈夫だったかな。」

了解は得ていた。
しかし、実際には使っているとどこか大人びた雰囲気をもつハルノに不安を感じていた。

しかし、今は時間が解決してくれることを祈るしかない。
戦いの中で気を遣われては困る。
慣れてくれるのを待つしかなかった。

だが、兎にも角にも新しい武器にお目に掛かれるのはどの世界でも胸が高鳴った。

[【命削りの短剣】を入手しました。]

ストレージから取り出すと刃はギザギザとノコギリみたいになっていたが刃先はナイフのように鋭く尖っている見た目をしていた。
特殊効果として急所に攻撃した時ダメージが20%増加。

「これで、ゴブリンキングの皮膚を破れるか。」

それが今回の一番の課題だった。
念のためにも防具を購入した。
それで、防御力もマシにはなった。

だが、その必要はなかった。
ゴブリンキングは既に両目を潰されていたのだ。
何かをする事なんて出来るはずがなかった。
まだ、一日しかたっていないが獲物を狩る事も水場に行く事も出来ず衰弱していた。

「ごめん、待たせた。」

潜伏スキルで近くまで近寄る事ができた。
そして、俺はゴブリンキングの急所の心臓部に刃で抵抗力はあったが深々と刺しこんだ。

[レベルアップしました。]

[スキル【換装】を習得しました。]
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