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出会い
出来ます
しおりを挟む「話は済んだか?」
話が一段落したのを察してライアンがやってきた。
「のんびり話している間に来たようだ」
「何が来たの?」
ライアンが顔を向けた方向を見ると,二十才ぐらいの男女二人組が依頼ボードの前に立っていた。
ぼくと雄大は駆け出した。
「おたくらも参加者?」
丸い目をぱちくりさせながら男の方が尋ねた。女の人は狐のようなつり上がった目をして何も言わずにツンとしている。
「勇者求むって書いてあるから気になって。勇者ではないんだけど,参加できますか?」
「もちろん。勇者になれるような人材を探しているってことだからね」
よし,っと二人でハイタッチした。
「でも,参加するからには覚悟してね。勇者になるって言うのはそう簡単なことではないから。苦しいこともあるだろうし,心が折れそうなことだってあるでしょう。それらを乗り越えられるのかな?」
「それって,具体的にはどんなことがあるのですか?」
おどおどとしながら雄大が尋ねた。今さらそんなことを気にしたって仕方ないだろ,と言おうとしたが,実際ぼくも不安でたまらない。これからどんなことが待ち受けているのだろう。
突然,狐目の女の人がカッと目を見開いた。
「そんなんじゃ無理ね。もう参加するのはやめなさい。きっと挫折するわ。時間の無駄。命の無駄。覚悟がないんだもの。やるならやるでドッシリ腰を据えられないの? 胸に手を当てて自分で聞いてみろ。どんなことがあっても乗り越えようと努力を続けることが出来るのか? 聞いたか? で,どっちなんだ?」
ものすごい剣幕でまくし立てられ,ぼくたちは微動だにできなかった。「手を当てろ!!」と怒鳴りつけられて反射的に手が動いた。
「心を落ち着かせて。自分に素直になるんだ。君たちはどんな人間になりたい? これからの旅は決して楽なものではない。それでも,立ち向かっていけるか?」
胸に当てた手が熱くなってきた。ぼくと雄大は目を開け,顔を見合わせる。
「できます」
ぼくたちは声をそろえて答えた。
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