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第二部 復興編
32.急展開
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翌日の部族長会議で、ライド王子からすごい提案がいくつも出され、会議は踊りに踊った。
俺は正体を隠したまま、その狂乱のさまを斜め後ろでしれっと見ていた。
みんな目からウロコ落ちまくりだな。
まずは一昨日発明?したナムールのおにぎりを全員にふるまって、族長達をおにぎり教に入信させ、ナムール米の生産を始めることになった。
麦との生産場所を整理する為に、何ヶ所かの水たまりの取水口を埋めて麦畑を拡大する場所と、水たまりを結合させてナムール米の作付け場所を広くする整地を行う。
取水口を埋めるという案の所で聖女アデルが登場すると、ひれ伏しが始まってしまった。
何とか宥めて、次の議題に移る。
ミモルの養殖という案も斬新だったようで、それなら他の種類も試そうと、そちらは川魚の専門家を呼んで色々と検討することになった。
翌日から早速、俺達は各地の水たまりを巡り、どこを塞いでどこを拡張するかを検討した。
大きな取水口には、近場にある岩をみんなで運んで塞ぎ、それほど大きくないものはリルの木をドンと生やして塞いだ。
水が引いてから回りの土を入れて攪拌し、麦の育成に適した土に改良する。
塞がなかった場所は、他を塞いだことにより水量が増えたので、そこは周りと繋げて広い水田にする。
とにかく広い土地なので、やっぱりかなりの時間を取られたが、各部族達が全面協力してくれたお陰で2週間くらいで目処がついた。
田植えの方法とか、テレビのバラエティー番組で観たことを何となく真似てやっただけだが、何とか根付いてくれた。
元々雑草並に強い品種のようだ。
加速してみたら、本当に成長が早いこと早いこと!
あっという間に緑の草がワッサーっと生えた。
うん、米は大丈夫そうだ。
リネルが商人根性を発揮して、離宮の地から色々なスパイスを運ばせてきたので、味付けもこれから沢山研究されるだろう。
俺からはライスバーガーを提案しておいた。
これ絶対に美味いヤツ。
北側から順に整備と開拓を進めて、ようやく南の端まで到達した俺達は、最後の水たまりを結合する作業をしていた。
「ここが終われば、ほぼ完了だな」
「そうですね。昨日ランドスから魚の専門家が到着したとルルガから連絡が入りました」
「お、じゃあ養殖の話も進みそうだな」
「ええ、これでサザレーの問題も解決できました」
嬉しそうに水田を眺めるライド王子の横で、俺も達成感に浸っていた。
離宮の地から始まった旅は、ガルデーン、ランドス、ケルック、そしてここサザレーと5つの地まできた。
残るは、ここから4日の所にあるスーカと、王都の近くの都市タンパルの2ヶ所だ。
気づけばもう、俺がこの世界に召喚されてから7ヶ月が経過していた。
「あっといいう間だったなぁ」
「無我夢中の毎日でしたが、目の前で死にかけた土地がどんどん復活していくのを見るのは、とにかく壮観で幸せでした」
本当にアキラには感謝しかありませんと、ライド王子が真面目な顔で言ってくるのに、俺は慌てて制止をかけた。
「まてまて、まだ早いぞ。感謝は全部の土地が復活してからにしようぜ」
そういうの、照れるから苦手なんだよ俺。
スザールみたいに、細マッチョ聖女の偉業達成だとかふざけたことを言って、回し蹴りで対応してるくらいが気楽でいい。
「そうですね。まだ気を抜く段階ではありませんよね」
王都を入れてあと3ヶ所、頑張ろう!と一緒に気合を入れなおしていると、遠くの方からルルガが乗った馬がすごい勢いで駆けてきた。
「王子、大変です!中央広場にルワブ達が来て、聖女を出せと暴れています!」
「なに!」
しまった!もうここまで来ていたか。
俺達は兵士達に残りの作業を託して、急いで馬に飛び乗った。
「アデルはどこにいる?」
ライド王子が焦ってルルガに聞いている。
最初の部族長会議の時に登場して以来ここでは聖女の恰好はしていないが、ルワブはアデルの顔を知っているので見つかったら拘束されて王都に連れて行かれる。
「スザールがルワブにいち早く気づいたので、アデル様を農民の服に着替えさせて女達の集まっている作業場に紛れ込ませました」
ナイスだスザール。
さすが、機転が利くな。
「スザール自身も、ここで見られると色々と面倒なことになるので隠れています。今はザウスと部族長達が対応してますが……」
立場的に下なザウスだけでは押さえが効かないんだろう。
「私が抑えよう」
ライド王子が馬の速度を上げて疾走する。
まだここで捕まる訳にはいかないが、ルワブ達を止められるかライド王子に賭けるしかない。
俺は正体を隠したまま、その狂乱のさまを斜め後ろでしれっと見ていた。
みんな目からウロコ落ちまくりだな。
まずは一昨日発明?したナムールのおにぎりを全員にふるまって、族長達をおにぎり教に入信させ、ナムール米の生産を始めることになった。
麦との生産場所を整理する為に、何ヶ所かの水たまりの取水口を埋めて麦畑を拡大する場所と、水たまりを結合させてナムール米の作付け場所を広くする整地を行う。
取水口を埋めるという案の所で聖女アデルが登場すると、ひれ伏しが始まってしまった。
何とか宥めて、次の議題に移る。
ミモルの養殖という案も斬新だったようで、それなら他の種類も試そうと、そちらは川魚の専門家を呼んで色々と検討することになった。
翌日から早速、俺達は各地の水たまりを巡り、どこを塞いでどこを拡張するかを検討した。
大きな取水口には、近場にある岩をみんなで運んで塞ぎ、それほど大きくないものはリルの木をドンと生やして塞いだ。
水が引いてから回りの土を入れて攪拌し、麦の育成に適した土に改良する。
塞がなかった場所は、他を塞いだことにより水量が増えたので、そこは周りと繋げて広い水田にする。
とにかく広い土地なので、やっぱりかなりの時間を取られたが、各部族達が全面協力してくれたお陰で2週間くらいで目処がついた。
田植えの方法とか、テレビのバラエティー番組で観たことを何となく真似てやっただけだが、何とか根付いてくれた。
元々雑草並に強い品種のようだ。
加速してみたら、本当に成長が早いこと早いこと!
あっという間に緑の草がワッサーっと生えた。
うん、米は大丈夫そうだ。
リネルが商人根性を発揮して、離宮の地から色々なスパイスを運ばせてきたので、味付けもこれから沢山研究されるだろう。
俺からはライスバーガーを提案しておいた。
これ絶対に美味いヤツ。
北側から順に整備と開拓を進めて、ようやく南の端まで到達した俺達は、最後の水たまりを結合する作業をしていた。
「ここが終われば、ほぼ完了だな」
「そうですね。昨日ランドスから魚の専門家が到着したとルルガから連絡が入りました」
「お、じゃあ養殖の話も進みそうだな」
「ええ、これでサザレーの問題も解決できました」
嬉しそうに水田を眺めるライド王子の横で、俺も達成感に浸っていた。
離宮の地から始まった旅は、ガルデーン、ランドス、ケルック、そしてここサザレーと5つの地まできた。
残るは、ここから4日の所にあるスーカと、王都の近くの都市タンパルの2ヶ所だ。
気づけばもう、俺がこの世界に召喚されてから7ヶ月が経過していた。
「あっといいう間だったなぁ」
「無我夢中の毎日でしたが、目の前で死にかけた土地がどんどん復活していくのを見るのは、とにかく壮観で幸せでした」
本当にアキラには感謝しかありませんと、ライド王子が真面目な顔で言ってくるのに、俺は慌てて制止をかけた。
「まてまて、まだ早いぞ。感謝は全部の土地が復活してからにしようぜ」
そういうの、照れるから苦手なんだよ俺。
スザールみたいに、細マッチョ聖女の偉業達成だとかふざけたことを言って、回し蹴りで対応してるくらいが気楽でいい。
「そうですね。まだ気を抜く段階ではありませんよね」
王都を入れてあと3ヶ所、頑張ろう!と一緒に気合を入れなおしていると、遠くの方からルルガが乗った馬がすごい勢いで駆けてきた。
「王子、大変です!中央広場にルワブ達が来て、聖女を出せと暴れています!」
「なに!」
しまった!もうここまで来ていたか。
俺達は兵士達に残りの作業を託して、急いで馬に飛び乗った。
「アデルはどこにいる?」
ライド王子が焦ってルルガに聞いている。
最初の部族長会議の時に登場して以来ここでは聖女の恰好はしていないが、ルワブはアデルの顔を知っているので見つかったら拘束されて王都に連れて行かれる。
「スザールがルワブにいち早く気づいたので、アデル様を農民の服に着替えさせて女達の集まっている作業場に紛れ込ませました」
ナイスだスザール。
さすが、機転が利くな。
「スザール自身も、ここで見られると色々と面倒なことになるので隠れています。今はザウスと部族長達が対応してますが……」
立場的に下なザウスだけでは押さえが効かないんだろう。
「私が抑えよう」
ライド王子が馬の速度を上げて疾走する。
まだここで捕まる訳にはいかないが、ルワブ達を止められるかライド王子に賭けるしかない。
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