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第二章
オネエの実力、ラシードの苦悩 3
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<ナオ視点>
「ナオ、ちょっといいか?」
呼ばれて振り返ったら、ラシードが所在無さげに立ってた。
あれ?珍しいなぁ。
いつもハツラツとしてる爽やかイケメンなのに、今日はちょっとソワソワとして不安そうだよ。
「なに?ラシード、どしたの?」
「いやその、ちょっとお願いがあってな……」
歯切れも悪い。
ホント、どした?
聞かれたくない秘密の話って言うから、近くの打ち合わせが出来る小部屋に入った。
えっ、鍵かけるの?そんなに極秘の話?
向かい合わせに座ったけど、ラシードはなかなか口を開かない。
眼の前のこの袋は何だろ?
しかも、顔赤くね?
「どしたの?ラシード。告白でもされた?」
気分を解そうと冗談っぽく言ったら、眼の前のイケメンが、ボボンっと茹ダコに変身したよっ。
えっ、何?まさかのドストライクだったの?マジで?
「ええっ、リカーさんったら自分から告白したんだ?」
「なっ……何でリカーだと…」
仰天してる茹ダコさん、分かってないのは自分くらいのもんだよぉ~。
とは、気の毒過ぎて言わなかったけどね。
「……リカーさんがラシードを好きなのは、結構バレバレだと思うよ」
「うっわ……マジか~…」
何かラシード、可愛いんですけど~。
ふふふ、片手で赤い顔をおおって呻く茹ダコさんに、もう一撃くらわしちゃおっかな~。
多分、今俺の後ろには、三角の黒いシッポが生えてると思いま~す。
「それで、リカーさんの鱗をアクセサリーに加工して欲しいのかなっ?」
「…っ……」
はい、直撃~。
見事に背凭れに撃沈しているラシードに吹き出しちゃった。
「わっかりやすいなぁ、ラシードは」
ケラケラ笑ってたら、ラシードが拗ねてしまったよ。
「くっそ……どうせ俺は色恋沙汰にはとんと疎いよ、ちくしょうめ」
ほんと、ラシードって江戸っ子って感じだなぁ。
「でも、加工してもらいに来たんなら、告白は受け入れるってことだよねっ?ねっ?ラシード」
「……まあな。本当は俺からする予定だったんだが、その……先を越された」
わあっ、やっぱりラシードもリカーさんが好きなんだ、良かった~。
「おめでとう~、素敵なカップルだと思うよっ」
「ありがとな」
少し照れながら微笑むラシードさんは、やっぱりカッコ良くて爽やかイケメンだ。
モテるの分かるわ~。
「頑張って加工するよ。どんなのがいい?」
ラシードが持ってきたリカーさんの鱗を確認したら、かなりの数があった。
「実はな、これも…」
ラシードは自分の青の鱗も持ってきていた。
おお、どっちも綺麗な色だな~。
「ちょっとイレギュラーなんだが、聞いてくれるか?」
「?うんうん」
ラシードの希望は、こうだ。
通常は相手の鱗をお互いが身に着けるのが当たり前なんだけど、まあオシャレ番長のリカーだし、ちょっと型破りにしたいと。
で、両方の鱗を混ぜてひとつのアクセサリーを作って欲しい。
自分はエレガントなものは抵抗があるから、シャープな感じにして欲しい。
リカーのは色々なヤツを作ってやって欲しい。
「おおぅ、何か燃えてきたわ~」
アイデアがボンボンと浮かんでくるわ~。
「んで、期限は?」
「…………月末」
「…………え?」
「………今月の」
「………………」
待て、今日は20日だぞ?
「って、5日しかないじゃん!まさか20日間も悩んでたのっ?」
「んな訳あるかっ。数日だけだよっ。その後エカンデでトラブルが起きて2週間向こうで缶詰だったんだっ」
「……あ、そうか」
そういえば、工場のラインが機械のトラブルで停止しちゃって、ラシードは昨日の晩に帰ってきたんだったわ。
むうう~、5日しかないのかぁ。
すっごい凝ったデザインの作りたいんだけどな~。
オシャレ番長が唸るくらいの。
「ごめんな、もっと早く決断して持って来れば余裕があったのにな」
しょげてるラシードが叱られたワンコみたいに見えて、ちょっと萌えたのはナイショです。
「んにゃ、他ならぬリカー姉さんとラシード兄さんのだからね。超頑張るよっ」
まっかせなさーい、と胸を張って承諾したよ。
ちなみにリカーさんは昨日からルージュに行ってて、帰ってくるのが月初だからもう皆を巻き込んで準備をしちゃおう。
何人かの手を借りれば、なんとか出来るかもだ。
「よっし、燃えてきた~。ラシードはライジャに結婚と休暇の承諾をもらっておいてね」
「はっ?……い、いや待て、そこまでは…」
「もぉ~、何言ってるの?プロポーズ受けるんなら、リカーならその場ですぐに結婚って叫ぶに決まってるよ?それならそこまで先回りしておいた方が男としてカッコイイでしょ?」
この期に及んで腰が引けてるラシードにハッパをかけてやりましたよ。エヘン。
「お…おう………ナオって、結構男らしいよな~」
うひょっ、こんなリーダーシップばりばりのイケメンに男らしい評価頂きました~。
わ~い、ライジャに自慢しちゃおうっと。
「そこら辺はカナンさんに協力してもらえば楽勝だよ。リカーさんと仲良しだから全面協力してくれるっしょ」
「お、そうだな。アイツに助っ人してもらえば心強いな」
ほっとしたラシードさんは、すぐに行ってくると感謝しながら部屋を飛び出していった。
ビッグカップルの誕生だ~。
よぉ~し、忙しくなるぞっ。
まずはデザイン起こしと助っ人探しをしなくちゃだな。
周りの人が幸せになっていくのはすっごく嬉しいし、自分も幸せのおすそ分けをもらえる。
俺は鱗の入った袋をよいしょっと担ぐと、ルンルンしながら部屋に向かった。
「ナオ、ちょっといいか?」
呼ばれて振り返ったら、ラシードが所在無さげに立ってた。
あれ?珍しいなぁ。
いつもハツラツとしてる爽やかイケメンなのに、今日はちょっとソワソワとして不安そうだよ。
「なに?ラシード、どしたの?」
「いやその、ちょっとお願いがあってな……」
歯切れも悪い。
ホント、どした?
聞かれたくない秘密の話って言うから、近くの打ち合わせが出来る小部屋に入った。
えっ、鍵かけるの?そんなに極秘の話?
向かい合わせに座ったけど、ラシードはなかなか口を開かない。
眼の前のこの袋は何だろ?
しかも、顔赤くね?
「どしたの?ラシード。告白でもされた?」
気分を解そうと冗談っぽく言ったら、眼の前のイケメンが、ボボンっと茹ダコに変身したよっ。
えっ、何?まさかのドストライクだったの?マジで?
「ええっ、リカーさんったら自分から告白したんだ?」
「なっ……何でリカーだと…」
仰天してる茹ダコさん、分かってないのは自分くらいのもんだよぉ~。
とは、気の毒過ぎて言わなかったけどね。
「……リカーさんがラシードを好きなのは、結構バレバレだと思うよ」
「うっわ……マジか~…」
何かラシード、可愛いんですけど~。
ふふふ、片手で赤い顔をおおって呻く茹ダコさんに、もう一撃くらわしちゃおっかな~。
多分、今俺の後ろには、三角の黒いシッポが生えてると思いま~す。
「それで、リカーさんの鱗をアクセサリーに加工して欲しいのかなっ?」
「…っ……」
はい、直撃~。
見事に背凭れに撃沈しているラシードに吹き出しちゃった。
「わっかりやすいなぁ、ラシードは」
ケラケラ笑ってたら、ラシードが拗ねてしまったよ。
「くっそ……どうせ俺は色恋沙汰にはとんと疎いよ、ちくしょうめ」
ほんと、ラシードって江戸っ子って感じだなぁ。
「でも、加工してもらいに来たんなら、告白は受け入れるってことだよねっ?ねっ?ラシード」
「……まあな。本当は俺からする予定だったんだが、その……先を越された」
わあっ、やっぱりラシードもリカーさんが好きなんだ、良かった~。
「おめでとう~、素敵なカップルだと思うよっ」
「ありがとな」
少し照れながら微笑むラシードさんは、やっぱりカッコ良くて爽やかイケメンだ。
モテるの分かるわ~。
「頑張って加工するよ。どんなのがいい?」
ラシードが持ってきたリカーさんの鱗を確認したら、かなりの数があった。
「実はな、これも…」
ラシードは自分の青の鱗も持ってきていた。
おお、どっちも綺麗な色だな~。
「ちょっとイレギュラーなんだが、聞いてくれるか?」
「?うんうん」
ラシードの希望は、こうだ。
通常は相手の鱗をお互いが身に着けるのが当たり前なんだけど、まあオシャレ番長のリカーだし、ちょっと型破りにしたいと。
で、両方の鱗を混ぜてひとつのアクセサリーを作って欲しい。
自分はエレガントなものは抵抗があるから、シャープな感じにして欲しい。
リカーのは色々なヤツを作ってやって欲しい。
「おおぅ、何か燃えてきたわ~」
アイデアがボンボンと浮かんでくるわ~。
「んで、期限は?」
「…………月末」
「…………え?」
「………今月の」
「………………」
待て、今日は20日だぞ?
「って、5日しかないじゃん!まさか20日間も悩んでたのっ?」
「んな訳あるかっ。数日だけだよっ。その後エカンデでトラブルが起きて2週間向こうで缶詰だったんだっ」
「……あ、そうか」
そういえば、工場のラインが機械のトラブルで停止しちゃって、ラシードは昨日の晩に帰ってきたんだったわ。
むうう~、5日しかないのかぁ。
すっごい凝ったデザインの作りたいんだけどな~。
オシャレ番長が唸るくらいの。
「ごめんな、もっと早く決断して持って来れば余裕があったのにな」
しょげてるラシードが叱られたワンコみたいに見えて、ちょっと萌えたのはナイショです。
「んにゃ、他ならぬリカー姉さんとラシード兄さんのだからね。超頑張るよっ」
まっかせなさーい、と胸を張って承諾したよ。
ちなみにリカーさんは昨日からルージュに行ってて、帰ってくるのが月初だからもう皆を巻き込んで準備をしちゃおう。
何人かの手を借りれば、なんとか出来るかもだ。
「よっし、燃えてきた~。ラシードはライジャに結婚と休暇の承諾をもらっておいてね」
「はっ?……い、いや待て、そこまでは…」
「もぉ~、何言ってるの?プロポーズ受けるんなら、リカーならその場ですぐに結婚って叫ぶに決まってるよ?それならそこまで先回りしておいた方が男としてカッコイイでしょ?」
この期に及んで腰が引けてるラシードにハッパをかけてやりましたよ。エヘン。
「お…おう………ナオって、結構男らしいよな~」
うひょっ、こんなリーダーシップばりばりのイケメンに男らしい評価頂きました~。
わ~い、ライジャに自慢しちゃおうっと。
「そこら辺はカナンさんに協力してもらえば楽勝だよ。リカーさんと仲良しだから全面協力してくれるっしょ」
「お、そうだな。アイツに助っ人してもらえば心強いな」
ほっとしたラシードさんは、すぐに行ってくると感謝しながら部屋を飛び出していった。
ビッグカップルの誕生だ~。
よぉ~し、忙しくなるぞっ。
まずはデザイン起こしと助っ人探しをしなくちゃだな。
周りの人が幸せになっていくのはすっごく嬉しいし、自分も幸せのおすそ分けをもらえる。
俺は鱗の入った袋をよいしょっと担ぐと、ルンルンしながら部屋に向かった。
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