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第二章
オネエの実力、ラシードの苦悩 1
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<ラシード視点>
「……ラシード、そろそろ我慢の限界なのよ、アタシ」
そう言ってドカっと手渡された物を見て、俺は頭が真っ白になった。
「……こ……これ…は……」
俺の両手の上には、器にてんこ盛りに盛られたピンクの鱗。
「数えてもいいけど、75枚どころか3倍はあるからね」
この量なら、そうだろうよ。
「じゃ、1ヶ月後に~」
「え……あ、おい……まっ……まて…」
綺麗なウェーブのかかったピンクのロングヘアーを左右に揺らしながら、リカーは颯爽と去っていってしまった。
溜め息と同時にガックリとしゃがみこんじまった。
「………あ~~やっちまったぁ」
そろそろヤバイとは思ってたんだがな、うん。
先を越されちまった~。
ド派手な鱗を持ったままウロウロする訳にもいかず、慌てて部屋に戻る。
部屋のテーブルに器を置いて、ソファにどっかりと腰を下ろした。
ナオ様がリリィに来て1年半、俺達統括のメンバーや城勤めのリリィ達が半ルルゥ化して一年。
他の民も3割以上が半ルルゥ化を終えている。
子供も順調に生まれてきていて、もう孵化施設には何十個もの光の玉が育成されている。
来年にはナギとカナン、ダルクとメルサの子供も人魚化するだろう。
カナンやメルサと仲の良いリカーだって、そりゃ子供欲しくなるわな。
リリィは元々カップルになる数は少なかったし、俺もエカンデの統括になってから忙しくて、色恋沙汰にはとんと無縁で過ごしてきた。
リカーは973才、740才の俺より2世代くらい上だが、統括として同僚になってからはあいつの性格もあってタメみたいな感じで接してきた。
スキンシップとして冗談混じりのケンカとか日常茶飯事だけど、基本的に話は合うし、ルージュの統括をしているあいつの仕事振りは尊敬している。
まあでも、このままずっとリリィのままで一生を終えるならば、多分俺は誰ともカップルにならずに楽しい仲間と共にずっと過ごしていたと思う。
性欲?ってぇのも無かったしな。
転機はナオが来たことだ。
半ルルゥ化して、子供が作れるようになってからは事情がガラリと変わった。
あっちこっちでカップルが誕生して、結婚して子供を作り出してからは、俺の身辺も騒がしくなってきた。
俺だって鈍感じゃあない。
好きですオーラを投げかけられれば気がつく。
管轄地のエカンデに行けば、それこそ団体で押し寄せてくる。
あれは怖いから逃げたけどな。
もちろん、リーダーとして国を支えていくのも仕事ならば、人口を増やすのも仕事だ。
じゃあどうする?って辺りを見回した時に、やっぱり視界に入ったのはリカーだ。
長い人生、気が合って話が合って尊敬しあえるヤツと一緒になりたいと思うのは当然だよな?
リカーは不思議な化粧をしてるけど、実は綺麗な顔をしている。
派手な髪や鱗の色も、その風貌に似あっていると思うし。
ただなぁ、ガタイがな~。
俺もガッチリしている方だが、その俺よりも更にガッチリしてるんだよ、これが。
まぁだから、なんだ。
ぶっちゃけ押し倒せるかどうかだけが不安なんだな。
元気な子供を産んでくれるんだろうけどな。
それとな………はっずかしいんだよっ。
プ、プロポーズとかなっ。
死にそうに恥ずかしい。
何で皆さらっと言えるかな?あんなこっぱずかしいことをさ。
リカーからも何度かそれとなくアプローチはあったさ?
「アタシ、アンタが好きなんだけど?」的な。
「アンタと結婚したいんだけど?」的な。
「待ってるんだけど?コ・ク・ハ・ク」的な。
ぐわ~~~。
頭を掻きむしっても、仰け反っても無理。
そんなこと言えねぇって。
と、ウジウジしていたら鱗を叩きつけられたってワケ。
そもそも、俺から毎日1枚、3ヶ月送るつもりではいたんだぜ?
求愛のセオリーに乗っ取ってな?
でも最初の1枚がなかなか渡せなかった。
ならばまとめて渡すやり方もあるんだよ。
さっきリカーがやったヤツな?
まとめて渡して、1カ月後に答えを返す、どっちかってぇと大恋愛告白仕様。
うえぇぇぇぇぇ~、もっとハードルが上がっちまった。
どう考えても、皆の前で返事しろ~コースじゃんかよ~。
くっそぅ、チンタラしてた自分を殴ってやりたい。
目の前のピンクの鱗の山を見る。
………………溜め息しか出ない。
「……ラシード、そろそろ我慢の限界なのよ、アタシ」
そう言ってドカっと手渡された物を見て、俺は頭が真っ白になった。
「……こ……これ…は……」
俺の両手の上には、器にてんこ盛りに盛られたピンクの鱗。
「数えてもいいけど、75枚どころか3倍はあるからね」
この量なら、そうだろうよ。
「じゃ、1ヶ月後に~」
「え……あ、おい……まっ……まて…」
綺麗なウェーブのかかったピンクのロングヘアーを左右に揺らしながら、リカーは颯爽と去っていってしまった。
溜め息と同時にガックリとしゃがみこんじまった。
「………あ~~やっちまったぁ」
そろそろヤバイとは思ってたんだがな、うん。
先を越されちまった~。
ド派手な鱗を持ったままウロウロする訳にもいかず、慌てて部屋に戻る。
部屋のテーブルに器を置いて、ソファにどっかりと腰を下ろした。
ナオ様がリリィに来て1年半、俺達統括のメンバーや城勤めのリリィ達が半ルルゥ化して一年。
他の民も3割以上が半ルルゥ化を終えている。
子供も順調に生まれてきていて、もう孵化施設には何十個もの光の玉が育成されている。
来年にはナギとカナン、ダルクとメルサの子供も人魚化するだろう。
カナンやメルサと仲の良いリカーだって、そりゃ子供欲しくなるわな。
リリィは元々カップルになる数は少なかったし、俺もエカンデの統括になってから忙しくて、色恋沙汰にはとんと無縁で過ごしてきた。
リカーは973才、740才の俺より2世代くらい上だが、統括として同僚になってからはあいつの性格もあってタメみたいな感じで接してきた。
スキンシップとして冗談混じりのケンカとか日常茶飯事だけど、基本的に話は合うし、ルージュの統括をしているあいつの仕事振りは尊敬している。
まあでも、このままずっとリリィのままで一生を終えるならば、多分俺は誰ともカップルにならずに楽しい仲間と共にずっと過ごしていたと思う。
性欲?ってぇのも無かったしな。
転機はナオが来たことだ。
半ルルゥ化して、子供が作れるようになってからは事情がガラリと変わった。
あっちこっちでカップルが誕生して、結婚して子供を作り出してからは、俺の身辺も騒がしくなってきた。
俺だって鈍感じゃあない。
好きですオーラを投げかけられれば気がつく。
管轄地のエカンデに行けば、それこそ団体で押し寄せてくる。
あれは怖いから逃げたけどな。
もちろん、リーダーとして国を支えていくのも仕事ならば、人口を増やすのも仕事だ。
じゃあどうする?って辺りを見回した時に、やっぱり視界に入ったのはリカーだ。
長い人生、気が合って話が合って尊敬しあえるヤツと一緒になりたいと思うのは当然だよな?
リカーは不思議な化粧をしてるけど、実は綺麗な顔をしている。
派手な髪や鱗の色も、その風貌に似あっていると思うし。
ただなぁ、ガタイがな~。
俺もガッチリしている方だが、その俺よりも更にガッチリしてるんだよ、これが。
まぁだから、なんだ。
ぶっちゃけ押し倒せるかどうかだけが不安なんだな。
元気な子供を産んでくれるんだろうけどな。
それとな………はっずかしいんだよっ。
プ、プロポーズとかなっ。
死にそうに恥ずかしい。
何で皆さらっと言えるかな?あんなこっぱずかしいことをさ。
リカーからも何度かそれとなくアプローチはあったさ?
「アタシ、アンタが好きなんだけど?」的な。
「アンタと結婚したいんだけど?」的な。
「待ってるんだけど?コ・ク・ハ・ク」的な。
ぐわ~~~。
頭を掻きむしっても、仰け反っても無理。
そんなこと言えねぇって。
と、ウジウジしていたら鱗を叩きつけられたってワケ。
そもそも、俺から毎日1枚、3ヶ月送るつもりではいたんだぜ?
求愛のセオリーに乗っ取ってな?
でも最初の1枚がなかなか渡せなかった。
ならばまとめて渡すやり方もあるんだよ。
さっきリカーがやったヤツな?
まとめて渡して、1カ月後に答えを返す、どっちかってぇと大恋愛告白仕様。
うえぇぇぇぇぇ~、もっとハードルが上がっちまった。
どう考えても、皆の前で返事しろ~コースじゃんかよ~。
くっそぅ、チンタラしてた自分を殴ってやりたい。
目の前のピンクの鱗の山を見る。
………………溜め息しか出ない。
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