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第一章
37.儀式?
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翌日、ライジャの腕枕でピッタリと抱き合って目覚めた俺は極上のイケメンに極上の笑顔でキスを贈られた。
「おはよう、ナオ」
「…ライジャ、おはよう」
ぎゅっと抱きしめられる幸せを、ウットリと堪能する。
この安心感は何にも代えがたいわ~。
俺の頭にチュッとキスを落としたライジャは、体を起こすとすごく真面目な顔になって、じっと見つめてきた。
「?どうしたの?ライジャ」
「……ナオ、私は一旦ベリオンに戻らなくてはならない」
「えっ……」
いきなり一旦戻るという言葉に、ビックリしてぴょんと飛び起きる。
もう1週間くらいずっと横にライジャがいたから、この先も一緒にいられるつもりになっていたんだ。
そうだよ、ライジャはリリィの民でベリオンの王様なんだから帰らないと。
お仕事放り出したままはダメだよ。うん。
もちろん、また休暇が取れたらここに来てくれるだろうし。
でも予想以上にショックを受けてる自分にビックリした。
本当にライジャが大好きになってたんだなあって実感。
「……ナオ。ナオ、私を見ろ」
「っ……」
突然両手で顔を挟まれて、ぐいっと持ち上げられた。
「ナオ、誤解するな」
ライジャが心配そうに覗き込んでくる。
あ、ちょっと泣きそうな顔になってたかも。
「一旦戻るのは、城での確認事項と儀式に必要なものがあるからだ。すぐに戻ってくる」
「え……儀式?」
あ、昨日の夜に明日話すって言ってたやつかな?
何の儀式をするんだろう。
「ナオ……ナオは私とずっと一緒にいたいと思ってくれているか?」
ひゃあ、突然のラブラブモードなの?
でも、ここはちゃんと答えるぞ。
「うん。ライジャといたいよ」
両頬に手を添えられたままだけど、コクコクと頷く。
ライジャから見たら80年なんてあっという間だろうけど、少しでも長く一緒にいたいもん。
「私と共にリリィの民の繁栄を支え、見守ってくれるか?」
「え……と、何が出来るか分からないけど、やれることは全力で頑張るよ」
俺の寿命じゃ大したことは出来ないかもしれないけど、元の世界のことや使える技術は伝承できるかもだし。
そのうちスキューバダイビングの機材を開発できる可能性も無きにしも非ずだ。
「ああ、ありがとうナオ」
蕩けそうな笑顔でライジャに愛してるよって言われて、顔から火吹くかと思ったよ。
超絶イケメン笑顔攻撃に、卒倒しそうです~。
ぎゅうっとハグされて濃厚なキスを交わしたライジャは
「なるべく早く戻る」
と言い置いて、家を出ていった。
俺は腰が抜けてて、すぐには立ち上がれなかったよ。
ぐにゃぐにゃキュ~ってベッドに懐いてたら、ルルゥが来た。
「ニャ~ン」
「お?ルルゥ、おはよー」
あれ?何かルルゥが嬉しそう。
シッポぶんぶん振って、頭を俺にグリグリ擦り付けてくる。
「どした?何か嬉しそうだね~」
可愛いんですけどっ。
ひとしきりじゃれてから、外に出てう~んと伸びをした。
いつもと変わらない良い天気の浜辺。
でも、違和感がある。
ライジャが隣にいないだけで、不思議と色褪せて見える。
「はっ、感傷に浸ってはいけない」
朝から黄昏てどうする俺。
まずは洗顔、そして朝食、その後は薪と食料採集だ。
夕方になってもライジャが戻ってこない。
「……すぐに戻るって言ってたのに」
午後にはもう、やることがなくなっちゃった。
ルルゥもいない。
ベンチに座って海を見ていたけど、ソワソワして落ち着かない。
「あ、そうだ。アクセの続きをしよう」
ネックレスは作ったけど、ライジャの鱗はまだ残ってる。
丁度いいから、ブレスレットとアンクレットも作ってしまえ~。
ネックレスとは違う編み方にしよう。
アンクレットは足にピッタリ付いた形の方が邪魔にならないから、鱗の上下に穴を開けて編んだ2本のヒモの間に組み込んでみる。
ブレスレットはどうしようか。
あ、螺旋状に巻けるようにしてみようか。
あーでもワイヤーとかがないと型が固定出来ないか~。
でもとりあえずこの形で作ってみよう。
………両方、出来上がっちゃった。
そしてもう陽が傾いてきた。
夜になったら危ないから来れないって言ってたから、もう今日は来ないのかも。
このままもう来ないとか、途中で何かあったのかとか、イヤな発想ばかりが浮かんできて胸がきゅうっと締まる。
ダメダメ、後ろ向きな気持ちになっちゃいけない。
ライジャを信じるんだ。
出来立てのブレスレットもアンクレットもネックレスも全部つけてみた。
うん、手首も足首もフィットしてる。
首の鱗が回るとシャランと綺麗な音をたてる。
ライジャの鱗を身に付けていると、少し安心する。
やっぱりスゴく綺麗だな、ライジャの鱗。
「ニャ~ン」
その時、聞きなれた声が沖から聞こえた。
「リリィ?」
夕陽に染まる水面から、耳付きの白い頭がポコっと出てきた。
リリィだっ。
その横に黒い頭も。
朝からいなくなってたルルゥだ。
「ナオっ」
そしてルルゥの横に待ち焦がれた人が。
「ライジャあっ」
良かった、ライジャだ。
帰ってきてくれた、嬉しいよぅ。
朝別れたばかりなのに、何か泣きそう。
俺はダッシュで迎えに走った。
「おはよう、ナオ」
「…ライジャ、おはよう」
ぎゅっと抱きしめられる幸せを、ウットリと堪能する。
この安心感は何にも代えがたいわ~。
俺の頭にチュッとキスを落としたライジャは、体を起こすとすごく真面目な顔になって、じっと見つめてきた。
「?どうしたの?ライジャ」
「……ナオ、私は一旦ベリオンに戻らなくてはならない」
「えっ……」
いきなり一旦戻るという言葉に、ビックリしてぴょんと飛び起きる。
もう1週間くらいずっと横にライジャがいたから、この先も一緒にいられるつもりになっていたんだ。
そうだよ、ライジャはリリィの民でベリオンの王様なんだから帰らないと。
お仕事放り出したままはダメだよ。うん。
もちろん、また休暇が取れたらここに来てくれるだろうし。
でも予想以上にショックを受けてる自分にビックリした。
本当にライジャが大好きになってたんだなあって実感。
「……ナオ。ナオ、私を見ろ」
「っ……」
突然両手で顔を挟まれて、ぐいっと持ち上げられた。
「ナオ、誤解するな」
ライジャが心配そうに覗き込んでくる。
あ、ちょっと泣きそうな顔になってたかも。
「一旦戻るのは、城での確認事項と儀式に必要なものがあるからだ。すぐに戻ってくる」
「え……儀式?」
あ、昨日の夜に明日話すって言ってたやつかな?
何の儀式をするんだろう。
「ナオ……ナオは私とずっと一緒にいたいと思ってくれているか?」
ひゃあ、突然のラブラブモードなの?
でも、ここはちゃんと答えるぞ。
「うん。ライジャといたいよ」
両頬に手を添えられたままだけど、コクコクと頷く。
ライジャから見たら80年なんてあっという間だろうけど、少しでも長く一緒にいたいもん。
「私と共にリリィの民の繁栄を支え、見守ってくれるか?」
「え……と、何が出来るか分からないけど、やれることは全力で頑張るよ」
俺の寿命じゃ大したことは出来ないかもしれないけど、元の世界のことや使える技術は伝承できるかもだし。
そのうちスキューバダイビングの機材を開発できる可能性も無きにしも非ずだ。
「ああ、ありがとうナオ」
蕩けそうな笑顔でライジャに愛してるよって言われて、顔から火吹くかと思ったよ。
超絶イケメン笑顔攻撃に、卒倒しそうです~。
ぎゅうっとハグされて濃厚なキスを交わしたライジャは
「なるべく早く戻る」
と言い置いて、家を出ていった。
俺は腰が抜けてて、すぐには立ち上がれなかったよ。
ぐにゃぐにゃキュ~ってベッドに懐いてたら、ルルゥが来た。
「ニャ~ン」
「お?ルルゥ、おはよー」
あれ?何かルルゥが嬉しそう。
シッポぶんぶん振って、頭を俺にグリグリ擦り付けてくる。
「どした?何か嬉しそうだね~」
可愛いんですけどっ。
ひとしきりじゃれてから、外に出てう~んと伸びをした。
いつもと変わらない良い天気の浜辺。
でも、違和感がある。
ライジャが隣にいないだけで、不思議と色褪せて見える。
「はっ、感傷に浸ってはいけない」
朝から黄昏てどうする俺。
まずは洗顔、そして朝食、その後は薪と食料採集だ。
夕方になってもライジャが戻ってこない。
「……すぐに戻るって言ってたのに」
午後にはもう、やることがなくなっちゃった。
ルルゥもいない。
ベンチに座って海を見ていたけど、ソワソワして落ち着かない。
「あ、そうだ。アクセの続きをしよう」
ネックレスは作ったけど、ライジャの鱗はまだ残ってる。
丁度いいから、ブレスレットとアンクレットも作ってしまえ~。
ネックレスとは違う編み方にしよう。
アンクレットは足にピッタリ付いた形の方が邪魔にならないから、鱗の上下に穴を開けて編んだ2本のヒモの間に組み込んでみる。
ブレスレットはどうしようか。
あ、螺旋状に巻けるようにしてみようか。
あーでもワイヤーとかがないと型が固定出来ないか~。
でもとりあえずこの形で作ってみよう。
………両方、出来上がっちゃった。
そしてもう陽が傾いてきた。
夜になったら危ないから来れないって言ってたから、もう今日は来ないのかも。
このままもう来ないとか、途中で何かあったのかとか、イヤな発想ばかりが浮かんできて胸がきゅうっと締まる。
ダメダメ、後ろ向きな気持ちになっちゃいけない。
ライジャを信じるんだ。
出来立てのブレスレットもアンクレットもネックレスも全部つけてみた。
うん、手首も足首もフィットしてる。
首の鱗が回るとシャランと綺麗な音をたてる。
ライジャの鱗を身に付けていると、少し安心する。
やっぱりスゴく綺麗だな、ライジャの鱗。
「ニャ~ン」
その時、聞きなれた声が沖から聞こえた。
「リリィ?」
夕陽に染まる水面から、耳付きの白い頭がポコっと出てきた。
リリィだっ。
その横に黒い頭も。
朝からいなくなってたルルゥだ。
「ナオっ」
そしてルルゥの横に待ち焦がれた人が。
「ライジャあっ」
良かった、ライジャだ。
帰ってきてくれた、嬉しいよぅ。
朝別れたばかりなのに、何か泣きそう。
俺はダッシュで迎えに走った。
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