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第一章
30.夢みたい
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「これが足か……」
ライジャは、しげしげと自分の足を見つめながら触ってる。
「ラ、ライジャ、何でいきなり足生えたの?」
座ったまま曲げたり伸ばしたりして感触を確かめてるライジャの足を俺も一緒になって観察する。
くるぶしの辺りに鱗の部分が残ってるけど、後は変わらない。
もうほぼ人間です。
そして人間でもカッコイイことには変わりがないのがスゴいわ~。
「説明が後になって済まない。我々リリィの民は、ルルゥの民のエキスを取り込むことで、半ルルゥ化できるのだ」
「半ルルゥ化?」
「そう、ナオと同じようにこの空の地を踏むことができる」
あっ、そうか。
ライジャは今地上にいる。
「ライジャ、水の中にいなくても息できるんだ」
「そうだ。ナオと一緒に砂浜を歩くこともできるぞ」
そうなんだ!うわぁ。
理解した途端、ブワワっと嬉しさが込み上げてきた。
ライジャが地上にいる。
俺と一緒に歩いたり走ったりできるんだ。
わぁお、ファンタジー万歳。
「まずは、ナオと一緒にこの地を歩きたい」
ずっと一緒に歩きたいと思っていた、と微笑まれて胸がきゅんとした。
くうっ、イケメンめ~。
俺も嬉しいっ。
でも、ライジャがすくっと立ち上がったら、スゴいものが正面に見えてぎょっとした。
で、でかっ。
ひええっ、その股間のイチモツは反則級のデカさです~。
イケメンの股間はイケメンでした。はい。
しかも、あの……毛がないから、モロ見えです。
ふおぅ、まずは腰に巻くものを探さないとヤバい。
あっ、その前に俺もパンツはかねば~。
ニコニコのライジャにちょっと待ってもらって、俺は家にダッシュをかけた。
最速新記録、出せたと思う。
誰かと一緒にこの浜辺を歩くことができるなんて、想像もしてなかった。
夢みたいだ。
まだちょっと歩き方に慣れてないライジャのために、腕を組みながらゆっくりと歩く。
「乾いた砂というのは、面白い感触だな。サラサラしているのに、沈み込む感じがする」
「ちょっと足の裏がムズムズしない?くすぐったいような」
「ああ、確かにな。この辺が特に……おっ…」
片足を上げて土踏まず辺りを指したライジャがバランスを崩してよろける。
「わわっ」
俺もつられて一緒に倒れ込んじゃった。
全然支えになってないし。
「あはははっ」
可笑しくて笑ってしまう。
ライジャも俺を抱きしめたまま笑ってる。
ああ、砂浜を歩くだけなのに、こんなに楽しい。
横に人がいるって、すごく安心するんだな。
しかも好きな人がだよ。
「ニャ~ン」
「ニャ~ン」
あ、浜の向こうからリリィとルルゥが走ってきた。
「ルルゥ、リリィ。ライジャ足が生えたんだよ~、ほらほら」
ライジャの片足を持ち上げると、2匹は嬉しそうにニャ~ンって鳴いて、俺たちの周りをグルグルと走り回る。
可愛い~。
はしゃぐモフモフズに、ますます楽しくなる。
「あ、そうだ。まだパンをあげてなかった」
はっと思いついて、ワクワクしながらライジャを見る。
「ライジャ、ルルゥ達にパンあげてみる?」
ライジャも俺を見て何だか気づいたらしく、ニヤっと笑った。
「あれだな。投げて咥えるやつ。やってみよう」
いたずらっ子みたいに目を輝かせるライジャに、俺はあははと笑ってまた家に向かってダッシュした。
棚から器ごと取って、浜に戻る。
あれ?ルルゥと一緒にリリィも待機態勢に入ってる。
「もしかして、リリィも食べるの?」
今までルルゥにしかあげてなかったんだけど、食べれるのかな?
「ニャ~ン」
「リリィも食べるそうだ」
おおっ、リリィと意思疎通できるお人がいたんだったわ。
わぁい、パン好きが増えるぞっ。
俺とライジャで同時に高くパンを投げると、モフモフズがタターッと砂を蹴ってダッシュ。
見事なジャンピングキャッチをダブルでキメました~。
「おおーっ、お見事っ」
次々にふたりで投げて、2匹は全部華麗にキャッチしたよ。
スゴい、スゴいっ。
ライジャも楽しそうに、たか~くパンを投げ上げて笑ってた。
ちゃんと8個づつ食べ終えた2匹が戻ってきたので、首元をワシャワシャしてあげる。
至福の時間~。
「ニャ~ン」
ん?リリィがライジャを見上げながら鳴いた。
「……そうか」
ライジャが納得したように頷いてから、嬉しそうに俺を見る。
「ナオ、私にもパンをくれないか?」
「へっ?」
何するんだ?
とりあえず余ってるパンをひとつ手渡す。
「……あっ?」
ライジャがパンの香りをすんっと嗅いだと思ったら、パクっと食いついた。
あわわっ、体が受け付けなくて吐くって言ってなかった?
「だ、大丈夫なのっ?ライジャ」
味わうようにモグモグしてから、ニヤッと笑った。
「うん、美味いな」
ほえぇ~。
パン食べたよっ。
「リリィが、もう食べられると教えてくれた」
そうなの?
「あ、半ルルゥ化の恩恵ってやつ?」
「そうみたいだ。そこまでは知らなかったな」
ふおっ、じゃあここの食べ物、全部食べられるってこと?
あれもこれも?一緒に?
「うわぁ~い」
嬉しくって、思わず立ち上がって万歳しながらぴょんぴょん飛び跳ねちゃったよ。
「…?……わぁい?」
「!…っ、ブフっ」
ライジャが怪訝そうな顔したまま、同じ恰好して跳ねるから吹き出した。
イケメンが何やってるの~。ヤメテ可笑しい。
「ニャ~ン」
モフモフズまで後ろ脚で立ってバタバタする。
ちょっ、何これっ。
「あはははっ」
ひーっ、腹が捩れる。
可笑しいやら、可愛いやらで、砂浜転がって悶えちゃったよ。
ライジャは嬉しそうにパンに齧りついてました。
パン好き、更にげっとー。
ライジャは、しげしげと自分の足を見つめながら触ってる。
「ラ、ライジャ、何でいきなり足生えたの?」
座ったまま曲げたり伸ばしたりして感触を確かめてるライジャの足を俺も一緒になって観察する。
くるぶしの辺りに鱗の部分が残ってるけど、後は変わらない。
もうほぼ人間です。
そして人間でもカッコイイことには変わりがないのがスゴいわ~。
「説明が後になって済まない。我々リリィの民は、ルルゥの民のエキスを取り込むことで、半ルルゥ化できるのだ」
「半ルルゥ化?」
「そう、ナオと同じようにこの空の地を踏むことができる」
あっ、そうか。
ライジャは今地上にいる。
「ライジャ、水の中にいなくても息できるんだ」
「そうだ。ナオと一緒に砂浜を歩くこともできるぞ」
そうなんだ!うわぁ。
理解した途端、ブワワっと嬉しさが込み上げてきた。
ライジャが地上にいる。
俺と一緒に歩いたり走ったりできるんだ。
わぁお、ファンタジー万歳。
「まずは、ナオと一緒にこの地を歩きたい」
ずっと一緒に歩きたいと思っていた、と微笑まれて胸がきゅんとした。
くうっ、イケメンめ~。
俺も嬉しいっ。
でも、ライジャがすくっと立ち上がったら、スゴいものが正面に見えてぎょっとした。
で、でかっ。
ひええっ、その股間のイチモツは反則級のデカさです~。
イケメンの股間はイケメンでした。はい。
しかも、あの……毛がないから、モロ見えです。
ふおぅ、まずは腰に巻くものを探さないとヤバい。
あっ、その前に俺もパンツはかねば~。
ニコニコのライジャにちょっと待ってもらって、俺は家にダッシュをかけた。
最速新記録、出せたと思う。
誰かと一緒にこの浜辺を歩くことができるなんて、想像もしてなかった。
夢みたいだ。
まだちょっと歩き方に慣れてないライジャのために、腕を組みながらゆっくりと歩く。
「乾いた砂というのは、面白い感触だな。サラサラしているのに、沈み込む感じがする」
「ちょっと足の裏がムズムズしない?くすぐったいような」
「ああ、確かにな。この辺が特に……おっ…」
片足を上げて土踏まず辺りを指したライジャがバランスを崩してよろける。
「わわっ」
俺もつられて一緒に倒れ込んじゃった。
全然支えになってないし。
「あはははっ」
可笑しくて笑ってしまう。
ライジャも俺を抱きしめたまま笑ってる。
ああ、砂浜を歩くだけなのに、こんなに楽しい。
横に人がいるって、すごく安心するんだな。
しかも好きな人がだよ。
「ニャ~ン」
「ニャ~ン」
あ、浜の向こうからリリィとルルゥが走ってきた。
「ルルゥ、リリィ。ライジャ足が生えたんだよ~、ほらほら」
ライジャの片足を持ち上げると、2匹は嬉しそうにニャ~ンって鳴いて、俺たちの周りをグルグルと走り回る。
可愛い~。
はしゃぐモフモフズに、ますます楽しくなる。
「あ、そうだ。まだパンをあげてなかった」
はっと思いついて、ワクワクしながらライジャを見る。
「ライジャ、ルルゥ達にパンあげてみる?」
ライジャも俺を見て何だか気づいたらしく、ニヤっと笑った。
「あれだな。投げて咥えるやつ。やってみよう」
いたずらっ子みたいに目を輝かせるライジャに、俺はあははと笑ってまた家に向かってダッシュした。
棚から器ごと取って、浜に戻る。
あれ?ルルゥと一緒にリリィも待機態勢に入ってる。
「もしかして、リリィも食べるの?」
今までルルゥにしかあげてなかったんだけど、食べれるのかな?
「ニャ~ン」
「リリィも食べるそうだ」
おおっ、リリィと意思疎通できるお人がいたんだったわ。
わぁい、パン好きが増えるぞっ。
俺とライジャで同時に高くパンを投げると、モフモフズがタターッと砂を蹴ってダッシュ。
見事なジャンピングキャッチをダブルでキメました~。
「おおーっ、お見事っ」
次々にふたりで投げて、2匹は全部華麗にキャッチしたよ。
スゴい、スゴいっ。
ライジャも楽しそうに、たか~くパンを投げ上げて笑ってた。
ちゃんと8個づつ食べ終えた2匹が戻ってきたので、首元をワシャワシャしてあげる。
至福の時間~。
「ニャ~ン」
ん?リリィがライジャを見上げながら鳴いた。
「……そうか」
ライジャが納得したように頷いてから、嬉しそうに俺を見る。
「ナオ、私にもパンをくれないか?」
「へっ?」
何するんだ?
とりあえず余ってるパンをひとつ手渡す。
「……あっ?」
ライジャがパンの香りをすんっと嗅いだと思ったら、パクっと食いついた。
あわわっ、体が受け付けなくて吐くって言ってなかった?
「だ、大丈夫なのっ?ライジャ」
味わうようにモグモグしてから、ニヤッと笑った。
「うん、美味いな」
ほえぇ~。
パン食べたよっ。
「リリィが、もう食べられると教えてくれた」
そうなの?
「あ、半ルルゥ化の恩恵ってやつ?」
「そうみたいだ。そこまでは知らなかったな」
ふおっ、じゃあここの食べ物、全部食べられるってこと?
あれもこれも?一緒に?
「うわぁ~い」
嬉しくって、思わず立ち上がって万歳しながらぴょんぴょん飛び跳ねちゃったよ。
「…?……わぁい?」
「!…っ、ブフっ」
ライジャが怪訝そうな顔したまま、同じ恰好して跳ねるから吹き出した。
イケメンが何やってるの~。ヤメテ可笑しい。
「ニャ~ン」
モフモフズまで後ろ脚で立ってバタバタする。
ちょっ、何これっ。
「あはははっ」
ひーっ、腹が捩れる。
可笑しいやら、可愛いやらで、砂浜転がって悶えちゃったよ。
ライジャは嬉しそうにパンに齧りついてました。
パン好き、更にげっとー。
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