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第一章
27.そんな意味が
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ある日、朝食の後片付けをした時に、棚に鱗のアクセを見つけた。
そうだった、あれからバタバタしてて、すっかり忘れてたわ~。
これ、今日ライジャに見せてみよう。
この鱗って、たぶんリリィの民のだよね。
なにか加工するとこんなに固くなるのかな。
初めて会った時に食べちゃったライジャの鱗はすぐに溶けるくらい柔らかかったもん。
あの時の舌で溶けた感触と甘さを思い出して、ちょっとブルっとなった。
体液が甘いって、何かエロくね?
あ、俺の涙も甘いって言ってたっけ。
今度舐めてみるか……って、何か変態っぽいな。やめやめ。
「ニャ~ン」
おっ、リリィの声だ。
ってことはライジャも来たな。わ~い。
俺は首に編み込んだネックレスをして、家から岩場に走りだした。
「ライジャ~」
「ナオ………っ…」
いつものイケメン微笑を浮かべて岩場のプールに来たライジャは、突然ピタリと動きを止めてマジマジと俺を凝視してくる。
ん?どしたの?
「?ライジャ、どうし……えっ」
ライジャがいきなり水に潜ってしまった。
えっ、えっ、どうしたの?
何か水中をグルグルと回ってる?
と思ったら水面に尾びれが跳ね上がってバシャッと打ち付けられる。
どうしたんだ!
苦しいの?のたうち回ってるように見えるんだけど。
どうしよう、どうしよう。
何か病気の発作とかだったら大変だ。
ライジャが死んじゃうよっ。
「ライジャ、ライジャっ」
いてもたってもいられなくって、俺はそのまま海に飛び込んだ。
水中を泳ぐライジャの体はすごくしなやかで、尾びれのキックは力強かった。
はっ、見惚れてる場合じゃなかった。
でも動きが早すぎて、全然追いつかない。
しかもいきなり飛び込んだから、ふくらはぎが攣った。
「っ……つっ…」
ヤバい、溺れる。
「ニャ~ン」
足を抱えて丸くなった時、リリィの声が聞こえた。
水中でもはっきり聞こえるんだなぁと思った時、ライジャがリリィの声で我に返ったみたいで、はっと俺に気づいてスゴい速さで近づいてきて、水面に抱き上げられた。
「ナオっ、大丈夫かっ」
サーッとプールまで入ってきて、いつもの場所に下ろされた。
姫抱っこでした、きゃ~。
攣ったふくらはぎを、ここか?痛むか?と慌てて解してくれるライジャは特に変わった様子はなくて。
「…うん、大丈夫だよ。ちょっと攣っただけだから。それよりライジャは大丈夫なの?」
「は?……私…?」
ライジャの目が丸くなる。
「だ、だって急にジタバタ藻掻きだすから、どこか痛くなったとか何かの発作が起きたのかと……」
あちゃ~って感じで、ライジャは上に向けた顔を片手で覆ってる。
あ、やっぱり俺の勘違いでした?
そんで慌てて飛び込んで足攣るって、ちょっと、いやかなり恥ずかしいじゃん俺。
「……済まなかった、ナオ。ちょっと動揺してしまったのだ」
あれ、顔がちょっと赤いよ?
「動揺というか、興奮した」
「はい?」
興奮?どこに興奮要素が?
島を振り返ったけど、そこはいつものマッタリのんびりアイランド。
「これだ」
ライジャが指さしたのは、俺の首元。
え?このアクセ見て興奮したの?
……はい?
「これ、前にルルゥが毎日持ってきてくれてて。それでちょっと細工してネックレスにしたんだ。リリィの民の鱗なのかなって思って、今日聞こうとしてつけてきたんだけど」
「………これは、私の鱗だ」
ええっ、マジすか~。
「えっ、ライジャのなの?これ」
「鱗の色は、全員違うからすぐに分かるのだ」
そうなんだ。みんな同じ色なのかと思ってたわ。
確かに、色はライジャの鱗と同じだ。
白いけど、光が当たると微妙に虹色に輝いて見える。
あれだ、真珠だ、パールの輝きに似てるんだ。
「でもこれ、固いよ?前に食べたヤツは柔らかかったのに」
「我々の鱗は1日に1枚剥がれ落ちるのだ。生え変わる為に。自然と剥がれた鱗は固い」
あ、そっか、あの時は無理やり引きちぎったんだもんな。
生きてる鱗は柔らかくて、死ぬと固くなるわけね。
お~、納得だわ。
「でも何で、これ見て興奮するの?」
「…っ、それは…」
ライジャが狼狽えて視線が逸らされる。
何か言いにくそう。
「………我々リリィの民は、好いた者に自分の鱗を贈る風習があるのだ」
な、何ですと~!
「そして贈られた者は、想いを受け入れる時はその鱗を身に着けることで了承の証とする」
な、な、何ですと~!
俺もボボボっと自分の顔が赤くなるのが分かった。
口がパクパクするけど、声が出ない。
そ、それって、それって、どういうことっ。
「ナオはここの慣習を知らないから偶然なのは分かっている。分かってはいるが、私の鱗を身に着けている姿を見た瞬間、とても嬉しくなってしまったのだ。私は……ナオが好きだから」
ひ~え~。
いきなり告白されたよっ。
マジですかぁ。
そうだった、あれからバタバタしてて、すっかり忘れてたわ~。
これ、今日ライジャに見せてみよう。
この鱗って、たぶんリリィの民のだよね。
なにか加工するとこんなに固くなるのかな。
初めて会った時に食べちゃったライジャの鱗はすぐに溶けるくらい柔らかかったもん。
あの時の舌で溶けた感触と甘さを思い出して、ちょっとブルっとなった。
体液が甘いって、何かエロくね?
あ、俺の涙も甘いって言ってたっけ。
今度舐めてみるか……って、何か変態っぽいな。やめやめ。
「ニャ~ン」
おっ、リリィの声だ。
ってことはライジャも来たな。わ~い。
俺は首に編み込んだネックレスをして、家から岩場に走りだした。
「ライジャ~」
「ナオ………っ…」
いつものイケメン微笑を浮かべて岩場のプールに来たライジャは、突然ピタリと動きを止めてマジマジと俺を凝視してくる。
ん?どしたの?
「?ライジャ、どうし……えっ」
ライジャがいきなり水に潜ってしまった。
えっ、えっ、どうしたの?
何か水中をグルグルと回ってる?
と思ったら水面に尾びれが跳ね上がってバシャッと打ち付けられる。
どうしたんだ!
苦しいの?のたうち回ってるように見えるんだけど。
どうしよう、どうしよう。
何か病気の発作とかだったら大変だ。
ライジャが死んじゃうよっ。
「ライジャ、ライジャっ」
いてもたってもいられなくって、俺はそのまま海に飛び込んだ。
水中を泳ぐライジャの体はすごくしなやかで、尾びれのキックは力強かった。
はっ、見惚れてる場合じゃなかった。
でも動きが早すぎて、全然追いつかない。
しかもいきなり飛び込んだから、ふくらはぎが攣った。
「っ……つっ…」
ヤバい、溺れる。
「ニャ~ン」
足を抱えて丸くなった時、リリィの声が聞こえた。
水中でもはっきり聞こえるんだなぁと思った時、ライジャがリリィの声で我に返ったみたいで、はっと俺に気づいてスゴい速さで近づいてきて、水面に抱き上げられた。
「ナオっ、大丈夫かっ」
サーッとプールまで入ってきて、いつもの場所に下ろされた。
姫抱っこでした、きゃ~。
攣ったふくらはぎを、ここか?痛むか?と慌てて解してくれるライジャは特に変わった様子はなくて。
「…うん、大丈夫だよ。ちょっと攣っただけだから。それよりライジャは大丈夫なの?」
「は?……私…?」
ライジャの目が丸くなる。
「だ、だって急にジタバタ藻掻きだすから、どこか痛くなったとか何かの発作が起きたのかと……」
あちゃ~って感じで、ライジャは上に向けた顔を片手で覆ってる。
あ、やっぱり俺の勘違いでした?
そんで慌てて飛び込んで足攣るって、ちょっと、いやかなり恥ずかしいじゃん俺。
「……済まなかった、ナオ。ちょっと動揺してしまったのだ」
あれ、顔がちょっと赤いよ?
「動揺というか、興奮した」
「はい?」
興奮?どこに興奮要素が?
島を振り返ったけど、そこはいつものマッタリのんびりアイランド。
「これだ」
ライジャが指さしたのは、俺の首元。
え?このアクセ見て興奮したの?
……はい?
「これ、前にルルゥが毎日持ってきてくれてて。それでちょっと細工してネックレスにしたんだ。リリィの民の鱗なのかなって思って、今日聞こうとしてつけてきたんだけど」
「………これは、私の鱗だ」
ええっ、マジすか~。
「えっ、ライジャのなの?これ」
「鱗の色は、全員違うからすぐに分かるのだ」
そうなんだ。みんな同じ色なのかと思ってたわ。
確かに、色はライジャの鱗と同じだ。
白いけど、光が当たると微妙に虹色に輝いて見える。
あれだ、真珠だ、パールの輝きに似てるんだ。
「でもこれ、固いよ?前に食べたヤツは柔らかかったのに」
「我々の鱗は1日に1枚剥がれ落ちるのだ。生え変わる為に。自然と剥がれた鱗は固い」
あ、そっか、あの時は無理やり引きちぎったんだもんな。
生きてる鱗は柔らかくて、死ぬと固くなるわけね。
お~、納得だわ。
「でも何で、これ見て興奮するの?」
「…っ、それは…」
ライジャが狼狽えて視線が逸らされる。
何か言いにくそう。
「………我々リリィの民は、好いた者に自分の鱗を贈る風習があるのだ」
な、何ですと~!
「そして贈られた者は、想いを受け入れる時はその鱗を身に着けることで了承の証とする」
な、な、何ですと~!
俺もボボボっと自分の顔が赤くなるのが分かった。
口がパクパクするけど、声が出ない。
そ、それって、それって、どういうことっ。
「ナオはここの慣習を知らないから偶然なのは分かっている。分かってはいるが、私の鱗を身に着けている姿を見た瞬間、とても嬉しくなってしまったのだ。私は……ナオが好きだから」
ひ~え~。
いきなり告白されたよっ。
マジですかぁ。
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