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第一章
23.通じたよ?
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「やっと話せるな。ナオ」
「え……あれ、なんで通じるの?」
茫然、イケメンさんが日本語喋ってるよ。
ニヤリと笑ったライジャが指で唇に触れてくる。
「お互いの体液を取り込んだからだ。これで意志の疎通に問題はない」
おおぅ、ファンタジー。
それでいきなり言葉が分かるのか。
と思ったけど、よく見たらライジャは日本語を話しているわけじゃなさそう。
言葉と口の動きが違うもん。
ってことは、言語を理解したんじゃなくて、翻訳されてる感じ?
でも声質は言葉が通じる前のライジャと同じだ。
映画の吹き替えよりもいいね。違和感が少ないよ。
でも、原理は謎。
ううむ、ここは考えちゃいけないところですね、はい。
素直にそのまま受け取っときましょう。
悩み過ぎてハゲたら大変だ。
意志の疎通ができれば問題なしってことで。
「あの、ライジャはどこから来たの?」
「私はリリィの民。ベリオンの王、ライジャという」
「リリィ?」
「ニャ~ン」
え?ライジャの横にいる白オオカミさんが鳴いたよ?
「そう、この水の神がリリィだ。そこに住むのが我々、リリィの民」
ええっ、白オオカミさん、神様だったの?
びっくりだわ~。
「え、じゃあ黒オオカミさんも神様?」
そうなの?まさかそうなの?
「オオカミ?……その黒き神がルルゥ、空の神だ。ルルゥに呼ばれし空の民、ナオよ」
ツッコミどころ満載です~。
頭が飽和状態。
「えっ、えっ、やっぱ神様なのオオカミさん。ルルゥって名前なの?」
つぶらな黒い瞳をじっと見つめると、オオカミさんが嬉しそうに
「ニャ~ン」
と鳴いた。
わぁお、ファンタジー。
神様がオオカミの世界~。
俺、神様に餌付けしてたんか~い。
フリスビーキャッチとかでパンあげてたんですけど。
いいのか?神様に。ってかパン好きの神様なのね。
ん?ちょっと待て。
他にもツッコミどころがあったような?
「んん?ライジャ、王って言った?ベリオン…の?」
「そう、ベリオンの王だ」
王様か~い。
このイケメン人魚さんは、どこぞの王様なんですって、奥様。
どこぞって、ベリオンか。
場所、分からんけどね。
「……はぁ…」
もう頭、限界っぽい。
「ルルゥが民を召喚した。とても喜ばしいことだ。これで良い変化が起きるに違いない」
王様はふっと笑って、俺の頬を優しく撫でてくる。
ふぉ、イケメンオーラが眩しい。
「もっとたくさん話したいが、準備を始めなくてはならない」
名残惜しそうに手が下ろされて、ライジャが俺から離れていく。
えっ、いやだっ。
「まっ、待って待って」
俺は思わずライジャの腕を両手ではっしと捕まえた。
「…っ……どうした、ナオ」
ライジャは驚いてるけど、俺は必死だった。
だってやっと話せる人と会えたばかりだよ?
あ、人じゃないけど。
「あの、あの……もっと色々と話したいよ」
必死に訴えたら、ライジャがそれはそれは嬉しそうに笑って、ぎゅうっとハグされた。
「可愛いな、ナオは……大丈夫だ、また明日来るぞ。明日からは毎日来る」
「えっ、ほんと?毎日来てくれるの?」
えええ、毎日来てくれるんだ。
「約束しよう、毎日来る。そしてたくさん話そう」
もう一度ぎゅっと抱きしめてから、ライジャは最後に額にチュッとキスをして去っていった。
白オオカミのリリィ?とライジャが海の中に帰っていっても、ほけ~っと放心していた俺は、オオカミさんにニャ~ンとつつかれて我に返った。
「あ、そうか……上がろう。ふやけちゃうもんな」
海から上がりながら横を歩いてるオオカミさんをマジマジと見てしまう。
「そっか~、神様なのかオオカミさん」
どこからどう見てもオオカミなんだけどねぇ。
でもニャ~ンって鳴くけどね。
「えっと…ルルゥ?」
「ニャ~ン」
覚えたての名前で呼ぶと、俺を見上げて嬉しそうに鳴く。
うう、可愛い~。
「ルルゥ、ルルゥ~」
嬉しくなって、何度も呼んでワシャワシャ撫でくり回す。
神様でも何でもいいや、可愛いから。
おやっ、全然濡れてない。
ルルゥも撥水加工かいな。
「ルルゥがライジャとリリィを呼んでくれたんだね。ありがとう~」
寂しさで押し潰されそうになっていた俺を、ライジャと引き合わせてくれた。
詳しいことはまだ分からないけど、今朝までの絶望感はキレイさっぱり消え失せている。
むしろ、これから何が起きるのかワクワクしてるくらい。
「朝飯……っていうか、もう昼飯だけど、一緒に食べような」
ルルゥとパンを食べている途中で、ライジャが別れ際に額にキスしていったことを思い出してしまい、ジタバタと転がった。
サラっとしていったから、スルーしてたよ。
くそぅ、イケメンめ。
……カッコイイから…許す。
いや、許していいのか?
「え……あれ、なんで通じるの?」
茫然、イケメンさんが日本語喋ってるよ。
ニヤリと笑ったライジャが指で唇に触れてくる。
「お互いの体液を取り込んだからだ。これで意志の疎通に問題はない」
おおぅ、ファンタジー。
それでいきなり言葉が分かるのか。
と思ったけど、よく見たらライジャは日本語を話しているわけじゃなさそう。
言葉と口の動きが違うもん。
ってことは、言語を理解したんじゃなくて、翻訳されてる感じ?
でも声質は言葉が通じる前のライジャと同じだ。
映画の吹き替えよりもいいね。違和感が少ないよ。
でも、原理は謎。
ううむ、ここは考えちゃいけないところですね、はい。
素直にそのまま受け取っときましょう。
悩み過ぎてハゲたら大変だ。
意志の疎通ができれば問題なしってことで。
「あの、ライジャはどこから来たの?」
「私はリリィの民。ベリオンの王、ライジャという」
「リリィ?」
「ニャ~ン」
え?ライジャの横にいる白オオカミさんが鳴いたよ?
「そう、この水の神がリリィだ。そこに住むのが我々、リリィの民」
ええっ、白オオカミさん、神様だったの?
びっくりだわ~。
「え、じゃあ黒オオカミさんも神様?」
そうなの?まさかそうなの?
「オオカミ?……その黒き神がルルゥ、空の神だ。ルルゥに呼ばれし空の民、ナオよ」
ツッコミどころ満載です~。
頭が飽和状態。
「えっ、えっ、やっぱ神様なのオオカミさん。ルルゥって名前なの?」
つぶらな黒い瞳をじっと見つめると、オオカミさんが嬉しそうに
「ニャ~ン」
と鳴いた。
わぁお、ファンタジー。
神様がオオカミの世界~。
俺、神様に餌付けしてたんか~い。
フリスビーキャッチとかでパンあげてたんですけど。
いいのか?神様に。ってかパン好きの神様なのね。
ん?ちょっと待て。
他にもツッコミどころがあったような?
「んん?ライジャ、王って言った?ベリオン…の?」
「そう、ベリオンの王だ」
王様か~い。
このイケメン人魚さんは、どこぞの王様なんですって、奥様。
どこぞって、ベリオンか。
場所、分からんけどね。
「……はぁ…」
もう頭、限界っぽい。
「ルルゥが民を召喚した。とても喜ばしいことだ。これで良い変化が起きるに違いない」
王様はふっと笑って、俺の頬を優しく撫でてくる。
ふぉ、イケメンオーラが眩しい。
「もっとたくさん話したいが、準備を始めなくてはならない」
名残惜しそうに手が下ろされて、ライジャが俺から離れていく。
えっ、いやだっ。
「まっ、待って待って」
俺は思わずライジャの腕を両手ではっしと捕まえた。
「…っ……どうした、ナオ」
ライジャは驚いてるけど、俺は必死だった。
だってやっと話せる人と会えたばかりだよ?
あ、人じゃないけど。
「あの、あの……もっと色々と話したいよ」
必死に訴えたら、ライジャがそれはそれは嬉しそうに笑って、ぎゅうっとハグされた。
「可愛いな、ナオは……大丈夫だ、また明日来るぞ。明日からは毎日来る」
「えっ、ほんと?毎日来てくれるの?」
えええ、毎日来てくれるんだ。
「約束しよう、毎日来る。そしてたくさん話そう」
もう一度ぎゅっと抱きしめてから、ライジャは最後に額にチュッとキスをして去っていった。
白オオカミのリリィ?とライジャが海の中に帰っていっても、ほけ~っと放心していた俺は、オオカミさんにニャ~ンとつつかれて我に返った。
「あ、そうか……上がろう。ふやけちゃうもんな」
海から上がりながら横を歩いてるオオカミさんをマジマジと見てしまう。
「そっか~、神様なのかオオカミさん」
どこからどう見てもオオカミなんだけどねぇ。
でもニャ~ンって鳴くけどね。
「えっと…ルルゥ?」
「ニャ~ン」
覚えたての名前で呼ぶと、俺を見上げて嬉しそうに鳴く。
うう、可愛い~。
「ルルゥ、ルルゥ~」
嬉しくなって、何度も呼んでワシャワシャ撫でくり回す。
神様でも何でもいいや、可愛いから。
おやっ、全然濡れてない。
ルルゥも撥水加工かいな。
「ルルゥがライジャとリリィを呼んでくれたんだね。ありがとう~」
寂しさで押し潰されそうになっていた俺を、ライジャと引き合わせてくれた。
詳しいことはまだ分からないけど、今朝までの絶望感はキレイさっぱり消え失せている。
むしろ、これから何が起きるのかワクワクしてるくらい。
「朝飯……っていうか、もう昼飯だけど、一緒に食べような」
ルルゥとパンを食べている途中で、ライジャが別れ際に額にキスしていったことを思い出してしまい、ジタバタと転がった。
サラっとしていったから、スルーしてたよ。
くそぅ、イケメンめ。
……カッコイイから…許す。
いや、許していいのか?
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