異世界トリップ？ -南の島で楽しい漂流生活始めました-

第一章

6.ベッドも欲しい

陽射しが遮られていたせいか、結構遅くまで寝倒してしまった。
昨日の家作りで疲れていたせいもあるかな。
今日は食料調達がてら、ベッドの材料になりそうなものを探そうと思う。
砂浜の上はちょっと固いし、うっかり俯せになると口と鼻の中が砂まみれになるんだよね。
快適な睡眠のために寝具は大事、うん。
装備を整えて、出発。
ジャングルにもだんだん慣れてきた。
だって虫もいないし、サルとか動物の気配もない。
もしかして、本当に鳥くらいしかいないのかな？
肉食獣とかいたら困るけど、全然いないってのもなぁ。
違和感ハンパない。
まあ、すでに違和感のオンパレードではあるけどね。
変わった感じの葉や木を見かけたら、ナイフで傷をつけて植生を見ながら進む。
「おや、サボテン……」
どう見てもサボテンな物体を発見。
南の島に？
でもすっごいトゲトゲも生えてて、荒野に生えてるサボテンそのもの。
ただ、色は激しいオレンジ色してるけどね。シュールだ。
そうっとトゲに触ると、ふにゃっ。
「ふにゃ？」
鋭いトゲみたいな見た目なのに柔らかいです、はい。
トゲを握って、抜こうとグイッと引っ張ったら、べりべりっと大きく皮ごと剥がれた。
「ひえっ」
皮は適度な弾力があってゴムっぽい感触。
中の実はふかふかのスポンジみたい。
ピンときた。
「ベッドはっけーん」
そそくさとサボテンもどきを何個も切り倒す。
だから、なんでここの植物はみんな柔らかいかな？
ナイフ一本で、ほんとサバイバル簡単よ？
そして軽いし。
いや、助かるけどね？
浜辺でスライスして、中身のふかふかを積み上げ、蔦で崩れないように縛る。
その上にトゲを削ぎ落とした皮を何枚も敷けば。
「ベッド完成～」
シーツ代わりに、大きい葉をよく揉んで敷き詰める。
取り換えが効くし、洗えるしで最高じゃん？
わくわくしながら、ばふっと上に倒れ込むと、ふにゃっと沈む。
「あ～、あれだな……低反発マットレス」
もう、ちょ～快適なんですけど。
嬉しくてゴロゴロ転がる。
オレンジと緑のシーツってヘンテコリンな色には目をつぶれるくらい、素晴らしい感触だった。
まだ時間があるので、食料を多めに調達。
家作りで余ってた木の板を小さく切って、中をくりぬいてお椀にする。
大きいのは果物入れにして棚に乗せる。
「着々と人間の生活に近づいてきたな～」
さて、水分補給と入浴タイム。