1 / 73
第一章
1.ここ、どこ?
しおりを挟む
「………えっと…」
ここは、どこ?私は誰?
ベタなギャグをかましたくなるが、残念ながら記憶はしっかりとある。
名前は本田 直(ホンダ ナオ)、21才、北海道の大学生。一人暮らし。
うん、大丈夫。忘れてないよ。
秘境大好き人間で、就活前にどうしても行きたかった南米を旅行しようと、せっせとアルバイトにいそしんだ。
せっかくいい大学に入れたし、勉強もかなり頑張ったよ?
応援してくれた両親は事故で亡くなってしまったけれど、残されたお金で大学の学費や生活費には困らなかった。
ただ海外旅行するほど潤っている訳ではなかったから、めっちゃバイトを頑張った。
それはもう、なりふり構わず。
彼女とか作る時間もないくらいに。と、これは言い訳か。
そんなこんなで、念願の南米旅行に来た。
どこも想像以上に素晴らしく、俺の興奮は最高潮。
特にベネズエラのギアナ高地は一番のハイライトだったから、すげー楽しみにしていた。
なのに天候が悪くて、台地の上を歩くツアーが連日中止。
滞在日数の限界が近づいてきて、俺は焦った。
憧れのグリーンホールを見ないことには帰れないと、催行するツアーを探しまくったよ。
偶然にも個人ガイドが見つかって、悪天候ながらも行けることに有頂天になった。ラッキー。
今思えば、これがいけなかった。
悪い人間はどこにでもいる。
悪天候の中を強行するのでガイド料上乗せと装備の追加購入という話にも簡単に頷いた俺は、金持ちに見えたんだろう。
やっとこさ登り終わり、縁に辿り着いたところでリュックを奪われ、背中をトンと押された。
え?と思った時はすで遅く、体は空中に。
下に見えるのは、念願だったグリーンホール。
ああ~、人生終わったなとぼんやり思ったところまでは覚えている。
そして今、気づいたら浜辺に転がっていた。
ええ~、何これ。
百歩譲って奇跡的に助かったとしてもだ、俺は穴の中にいるべきだよな?
ギアナ高地のそばに海なんかないよね?
しばらくボケっとしていたが、ずっとこうしてる訳にもいかないので、とりあえず立ち上がる。
まずは怪我のチェックだ。
うん、どこも痛いところはない。
あんな高さから落ちたのに、かすり傷もない。
装備は?
ウエストポーチと腰につけてたロープとナイフ。以上。
う~わ、心もとない。
食べ物や水は当然リュックだったし、スマホも県外だからとリュックの中。
通信手段も食料もないとなれば、自分の足しか頼れるものがない。
早くも二回目の死亡フラグにめげそう。
でも足掻いてやる。
とにかく、ここがどこなのかを特定しなければ。
そこらへんに転がっていた枝を地面に突き刺し、ここが最初の地点だという目印にする。
よし、まだ陽は高い。
っていうか暑い~。
とりあえず海岸線を左に辿ることにしよう。
背後のジャングルは、うっかり分け入るといきなり迷子になる危険がありそうだし。
足には自信があるので、元気に歩きだした。
ここは、どこ?私は誰?
ベタなギャグをかましたくなるが、残念ながら記憶はしっかりとある。
名前は本田 直(ホンダ ナオ)、21才、北海道の大学生。一人暮らし。
うん、大丈夫。忘れてないよ。
秘境大好き人間で、就活前にどうしても行きたかった南米を旅行しようと、せっせとアルバイトにいそしんだ。
せっかくいい大学に入れたし、勉強もかなり頑張ったよ?
応援してくれた両親は事故で亡くなってしまったけれど、残されたお金で大学の学費や生活費には困らなかった。
ただ海外旅行するほど潤っている訳ではなかったから、めっちゃバイトを頑張った。
それはもう、なりふり構わず。
彼女とか作る時間もないくらいに。と、これは言い訳か。
そんなこんなで、念願の南米旅行に来た。
どこも想像以上に素晴らしく、俺の興奮は最高潮。
特にベネズエラのギアナ高地は一番のハイライトだったから、すげー楽しみにしていた。
なのに天候が悪くて、台地の上を歩くツアーが連日中止。
滞在日数の限界が近づいてきて、俺は焦った。
憧れのグリーンホールを見ないことには帰れないと、催行するツアーを探しまくったよ。
偶然にも個人ガイドが見つかって、悪天候ながらも行けることに有頂天になった。ラッキー。
今思えば、これがいけなかった。
悪い人間はどこにでもいる。
悪天候の中を強行するのでガイド料上乗せと装備の追加購入という話にも簡単に頷いた俺は、金持ちに見えたんだろう。
やっとこさ登り終わり、縁に辿り着いたところでリュックを奪われ、背中をトンと押された。
え?と思った時はすで遅く、体は空中に。
下に見えるのは、念願だったグリーンホール。
ああ~、人生終わったなとぼんやり思ったところまでは覚えている。
そして今、気づいたら浜辺に転がっていた。
ええ~、何これ。
百歩譲って奇跡的に助かったとしてもだ、俺は穴の中にいるべきだよな?
ギアナ高地のそばに海なんかないよね?
しばらくボケっとしていたが、ずっとこうしてる訳にもいかないので、とりあえず立ち上がる。
まずは怪我のチェックだ。
うん、どこも痛いところはない。
あんな高さから落ちたのに、かすり傷もない。
装備は?
ウエストポーチと腰につけてたロープとナイフ。以上。
う~わ、心もとない。
食べ物や水は当然リュックだったし、スマホも県外だからとリュックの中。
通信手段も食料もないとなれば、自分の足しか頼れるものがない。
早くも二回目の死亡フラグにめげそう。
でも足掻いてやる。
とにかく、ここがどこなのかを特定しなければ。
そこらへんに転がっていた枝を地面に突き刺し、ここが最初の地点だという目印にする。
よし、まだ陽は高い。
っていうか暑い~。
とりあえず海岸線を左に辿ることにしよう。
背後のジャングルは、うっかり分け入るといきなり迷子になる危険がありそうだし。
足には自信があるので、元気に歩きだした。
23
お気に入りに追加
258
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる
彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。
国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。
王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。
(誤字脱字報告は不要)
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
お弁当屋さんの僕と強面のあなた
寺蔵
BL
社会人×18歳。
「汚い子」そう言われ続け、育ってきた水無瀬葉月。
高校を卒業してようやく両親から離れ、
お弁当屋さんで仕事をしながら生活を始める。
そのお店に毎朝お弁当を買いに来る強面の男、陸王遼平と徐々に仲良くなって――。
プリンも食べたこと無い、ドリンクバーにも行った事のない葉月が遼平にひたすら甘やかされる話です(*´∀`*)
地味な子が綺麗にしてもらったり幸せになったりします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる