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幼少期編
魔法改変
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「魔力循環は問題ないから初級の簡単な魔術を練習してみましょう」
母さんは初級の魔術書を開いて魔法陣の描かれているページを開いた。
「水精霊の手招き。揺れ動く水玉は現世を揺蕩う」
『ウォーターボール』
詠唱と思われる言霊を母さんが紡ぐにつれて目の前に魔術書に記載されている魔法陣が形成されていく。そして詠唱が終わると同時に完成し、淡い光を放ちながら母さんの目の前には水球が浮かんでいた。
「これが水の初級魔法、ウォーターボールよ」
「おお! すごいすごい!」
俺は初めて見る魔法に感動していた。何も無い空間に突然水が出てきて浮かんでいるのだ。これに感動せずにいられようか。いいや不可能だ。これは俄然やる気が出る。さっそくやってみるか。
「水精霊の手招き。揺れ動く……」
なんだっけ。でもなんか別に詠唱しなくても魔法陣組めそうだな。このままやってみよう。
『ウォーターボール』
いい感じ。魔力を目の前に動かしてそのままさっき見た魔法陣と同じように象っていく。そして魔法陣が完成すると目の前に水球が形成されていた。母さんのより一回り小さめだが初めてでこれなら充分じゃないだろうか。
「母さ……ん?」
母さんとミーアは呆然とした顔で俺の作ったウォーターボールを見ていた。
「あれ? どうしたの?」
「初めて……? というか詠唱破棄した?」
おっと、よく覚えてなくて詠唱省いたんだが詠唱破棄とな。分かる、分かるぞ。大体詠唱破棄とかは高難度なんだよな。いきなりやりすぎたかもしれない。いやでもここには家族しかいない。ミーアは血は繋がってないけど家族みたいなものだ。なら大丈夫だ。うん。
「奥様、これは……」
「ええ……これは大変ね」
「すぐに魔力循環できていたので才能があるとは思っていましたがまさかこれ程とは」
「楽しみね。私たちのルシウスはきっと世界一の魔法使いになるわ」
お約束よろしく俺は魔法の才能が溢れているようだ。とても、とても喜ばしいことだ。
◆
あれか半年程魔法の練習をしていて気づいたことがある。魔法を発動するための詠唱、あれは魔法陣を象るための補助のようなものらしい。イメージだけで補完が難しい場合に言霊を詠唱することで魔法陣を形成しやすくなるらしい。ちなみに俺は全くの無駄にしかならなかったので詠唱はしていない。
そしてここからが重要なのだが、魔法陣はプログラムに近いものだと思う。最初はただの模様として魔法陣を認識していたのだが、何種類か魔法の練習をしていると同じ様な模様、もとい文字が出てきていた。それらを少しずつ変更して試してみると面白いことがわかったのだ。魔法陣にはこんなことが魔法語?で書かれていた。
魔法属性=水
形状=球
発動数=1
威力=100
魔力=1000
速度=100
誘導=1
所々書かれている数字はよく見ると普通にアラビア数字だった。何故この世界でアラビア数字があるのかは知らないが、これのおかげで文字だと気づくことが出来たのだが。さて、あとは同じ文字が出てきているところの隣の数字を少しずつ変更して実際に使ってみれば何が変わったのかは簡単に分かった。
『ウォーターボール』
組み込んだのは下記の通りだ。
魔法属性=水
形状=球
発動数=1
威力=100
魔力=500
速度=300
誘導=100
威力は上げすぎると被害が予測できないのでそのまま。速度と対象への誘導性を上昇させた。それでも魔力消費は元々の半分だ。元々はウォーターボール1発で魔力消費が1000だったが、今は強化して500だ。単純に効率が上がっているが、そもそもの消費魔力が多すぎて無駄になっていたためそれを削減している。何度も試した結果、威力+速度+誘導×発動数が魔力消費を抑えられる限界だった。それ以上減らすと魔法が発動しないのだ。
つまり今回は(100+300+100)×1の500が最低の魔力値ということだ。これ以上魔力消費を上げても無駄になるだけだった。魔法書にあったのは(100+100+1)×1なので201で発動可能なのだが、1000も消費していて実質800程の魔力は無駄になっているということなのだ。
さて、この改良型ウォーターボールだが、とてもすごかった。元々速度100で野球のボールくらい、まぁ150キロくらいだったと思うが、それが目にも止まらない速度で射出された。速度を測ることができないので分からないが単純に三倍になっているのだろうか。高所から水に落ちるとコンクリート並の固さになるというが水からとんでいっても同じことで、ただの水の玉が木をへし折って飛んでいったのには驚いた。威力は全く上げていないのだが、速度を上げることで得られる物理法則がちゃんと影響するのだ。
ちなみにウォーターボールで威力を上げると玉の大きさが大きくなった。今考えると母さんのウォーターボールの威力は100より少し高めになっていたのだろう。ちなみにこの魔法陣に記載されている魔法文字を魔法式と呼ぶことにした。
魔法文字について解明はされていないが、研究者はいて改善できたものの一部は発表されたりすることがあるらしい。母さんのは自前で改造したようだったが。ちなみに研究といっても適当に変更して試してよくなってるかどうか、という子供騙しのようなもので俺の知る研究とは比べるのも失礼にあたるような内容だった。
「ルシウス様、夕食のお時間ですよ」
「ミーア! わかった、すぐいくよ」
最近は一人でも簡単な魔法の練習をする許可をもらっている。その時はご飯の時間になるとミーアが迎えに来てくれる。まだこの魔法陣の改良は見せていない。見せる時が楽しみだ。
母さんは初級の魔術書を開いて魔法陣の描かれているページを開いた。
「水精霊の手招き。揺れ動く水玉は現世を揺蕩う」
『ウォーターボール』
詠唱と思われる言霊を母さんが紡ぐにつれて目の前に魔術書に記載されている魔法陣が形成されていく。そして詠唱が終わると同時に完成し、淡い光を放ちながら母さんの目の前には水球が浮かんでいた。
「これが水の初級魔法、ウォーターボールよ」
「おお! すごいすごい!」
俺は初めて見る魔法に感動していた。何も無い空間に突然水が出てきて浮かんでいるのだ。これに感動せずにいられようか。いいや不可能だ。これは俄然やる気が出る。さっそくやってみるか。
「水精霊の手招き。揺れ動く……」
なんだっけ。でもなんか別に詠唱しなくても魔法陣組めそうだな。このままやってみよう。
『ウォーターボール』
いい感じ。魔力を目の前に動かしてそのままさっき見た魔法陣と同じように象っていく。そして魔法陣が完成すると目の前に水球が形成されていた。母さんのより一回り小さめだが初めてでこれなら充分じゃないだろうか。
「母さ……ん?」
母さんとミーアは呆然とした顔で俺の作ったウォーターボールを見ていた。
「あれ? どうしたの?」
「初めて……? というか詠唱破棄した?」
おっと、よく覚えてなくて詠唱省いたんだが詠唱破棄とな。分かる、分かるぞ。大体詠唱破棄とかは高難度なんだよな。いきなりやりすぎたかもしれない。いやでもここには家族しかいない。ミーアは血は繋がってないけど家族みたいなものだ。なら大丈夫だ。うん。
「奥様、これは……」
「ええ……これは大変ね」
「すぐに魔力循環できていたので才能があるとは思っていましたがまさかこれ程とは」
「楽しみね。私たちのルシウスはきっと世界一の魔法使いになるわ」
お約束よろしく俺は魔法の才能が溢れているようだ。とても、とても喜ばしいことだ。
◆
あれか半年程魔法の練習をしていて気づいたことがある。魔法を発動するための詠唱、あれは魔法陣を象るための補助のようなものらしい。イメージだけで補完が難しい場合に言霊を詠唱することで魔法陣を形成しやすくなるらしい。ちなみに俺は全くの無駄にしかならなかったので詠唱はしていない。
そしてここからが重要なのだが、魔法陣はプログラムに近いものだと思う。最初はただの模様として魔法陣を認識していたのだが、何種類か魔法の練習をしていると同じ様な模様、もとい文字が出てきていた。それらを少しずつ変更して試してみると面白いことがわかったのだ。魔法陣にはこんなことが魔法語?で書かれていた。
魔法属性=水
形状=球
発動数=1
威力=100
魔力=1000
速度=100
誘導=1
所々書かれている数字はよく見ると普通にアラビア数字だった。何故この世界でアラビア数字があるのかは知らないが、これのおかげで文字だと気づくことが出来たのだが。さて、あとは同じ文字が出てきているところの隣の数字を少しずつ変更して実際に使ってみれば何が変わったのかは簡単に分かった。
『ウォーターボール』
組み込んだのは下記の通りだ。
魔法属性=水
形状=球
発動数=1
威力=100
魔力=500
速度=300
誘導=100
威力は上げすぎると被害が予測できないのでそのまま。速度と対象への誘導性を上昇させた。それでも魔力消費は元々の半分だ。元々はウォーターボール1発で魔力消費が1000だったが、今は強化して500だ。単純に効率が上がっているが、そもそもの消費魔力が多すぎて無駄になっていたためそれを削減している。何度も試した結果、威力+速度+誘導×発動数が魔力消費を抑えられる限界だった。それ以上減らすと魔法が発動しないのだ。
つまり今回は(100+300+100)×1の500が最低の魔力値ということだ。これ以上魔力消費を上げても無駄になるだけだった。魔法書にあったのは(100+100+1)×1なので201で発動可能なのだが、1000も消費していて実質800程の魔力は無駄になっているということなのだ。
さて、この改良型ウォーターボールだが、とてもすごかった。元々速度100で野球のボールくらい、まぁ150キロくらいだったと思うが、それが目にも止まらない速度で射出された。速度を測ることができないので分からないが単純に三倍になっているのだろうか。高所から水に落ちるとコンクリート並の固さになるというが水からとんでいっても同じことで、ただの水の玉が木をへし折って飛んでいったのには驚いた。威力は全く上げていないのだが、速度を上げることで得られる物理法則がちゃんと影響するのだ。
ちなみにウォーターボールで威力を上げると玉の大きさが大きくなった。今考えると母さんのウォーターボールの威力は100より少し高めになっていたのだろう。ちなみにこの魔法陣に記載されている魔法文字を魔法式と呼ぶことにした。
魔法文字について解明はされていないが、研究者はいて改善できたものの一部は発表されたりすることがあるらしい。母さんのは自前で改造したようだったが。ちなみに研究といっても適当に変更して試してよくなってるかどうか、という子供騙しのようなもので俺の知る研究とは比べるのも失礼にあたるような内容だった。
「ルシウス様、夕食のお時間ですよ」
「ミーア! わかった、すぐいくよ」
最近は一人でも簡単な魔法の練習をする許可をもらっている。その時はご飯の時間になるとミーアが迎えに来てくれる。まだこの魔法陣の改良は見せていない。見せる時が楽しみだ。
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