裸でいるよりそそられる

サトー

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★小さいXL(6)

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「ん、ふ……んっ、んんっ……!」

 Tシャツ越しに指先で乳首を撫でると陸ちゃんが身を捩って、声をあげる。直接触っているわけじゃないのに、くすぐったそうにしながらピクピクと反応するのが可愛い。
 柔らかい肌触りのコットンの上から摘まんでやると、胸の先がツンと立ち上がっているのがわかる。

「気持ちいい?」
「きもちいい……」

 小さな声で答える様子はとても恥ずかしそうではあったものの、いつもより舌足らずな口調で「きもちいい」と口にする陸ちゃんはうっとりしているように見える。

「ね、葉月君もっと……」

 焦れてしまったのか、陸ちゃんはもどかしそうにしながら体を擦りつけてくる。
 普段着ているサイズと比べて着丈が全然足りていないTシャツはほんの少しずり上げただけで、ほとんど日焼けしていないお腹が見える。そのまま、服の中に手を突っ込んで胸の先を摘まんでやると、陸ちゃんの体が跳ねた。

「あっ、あ……、きもちいい、はづきくん……」
「おっぱい触られるの大好きだもんね」
「うう……」

 耳のすぐ側に唇を近付けると、いやいやと陸ちゃんが身を捩る。いつも否定されるけれど、陸ちゃんは乳首を触られると、すぐに顔がとろんとしてくる。本人が言うには、気持ちがよくって、それで、わけがわからなくなってしまうらしい。

 エッチだね、と囁きながら乳首を指の先で少しだけ引っ掻いてやると「ちがう、ちがう」と口では必死で抵抗するものの、俺の太ももへぐりぐりと押し付けられているソコは完全に立ち上がっていた。

「触って欲しいの?」
「……うん」
「すっごい大きくなってるね」
「だって、葉月くんが、触るからっ……」

 ぐり、と太ももを押し当ててやると、「あっ」と陸ちゃんが可愛い声をあげた。
 きっと、ローションもバスタオルも、指を挿入されるから、という理由で準備してくれたに違いない。「そこまでしてオーケーだよ」と言ってもらえているのと同じなのだろうけど、陸ちゃんは疲れているみたいだからどうしても気が引ける。

 陸ちゃんは自分の体の中に何か入ってくる、ということになかなか慣れない。つい最近は、指を挿入された瞬間に吐きそうな顔をしながらカチコチに固まっていた。本人は「大丈夫」としか言わなかったから、もともと体調が悪かったのか、恐怖でそうなったのかは、わからない。もしかしたら両方かもしれない。

「……ね、陸、舐めてって言ってみて」
「えー……?」
 「陸に可愛くお願いされたいんですけどー」 
「あっ……」

 可愛くお願いされたいのはもちろんだけど、本当は「陸が疲れているみたいだからさ、今日は指を入れるのはやめておこう」なんていちいち口にしたくなんかなかった。

 本当のことを伝えたら、「気を遣わせてしまった」「俺がこの前、ちゃんと出来なかったからだ」と陸ちゃんはきっと落ち込んでしまう。そのための準備をしていたことに対しても、一人で張り切ってしまって恥ずかしい、と感じるかもしれない。

「……陸、葉月君舐めて、って言ってみて」

 もっと自然に、陸を不安にさせずに抱き合えればいいのになあ、という本心は隠して陸ちゃんを促した。

「は、はづきくん、なめて……」

 もじもじと「舐めて」と口にする陸ちゃんが、俺にはとても純粋で清潔な生き物に見えた。

「……可愛い、もっと言って」
「う……あっ、だめ、だめ……」

 服の中に手を突っ込んで直に胸へ触れると陸ちゃんがしがみついてくる。

「こんなに勃起させちゃって、おっぱい触られるのやっぱり大好きじゃん」
「やっ……違う、違うよ……!」

 部屋着の上からでも形がくっきりとわかるくらい立ち上がったソコを擦ってやると、陸ちゃんは小さな声で呻いた。

「葉月君、俺も葉月君に触りたい……」
「いいの?」
「だって、いつも俺だけ裸にされて、それで……」
「それで?」
「……なんでもない!」

 それで、の後を詳しく言わされるのが嫌だったのか、陸ちゃんは俺の部屋着のウエスト部分を掴んだ後、躊躇せずに下着の中に手を入れてきた。シャワーはすませているし、何より陸ちゃんがこの後どうするつもりなのかが気になったから、好きにさせることにした。

「……は、葉月君だって」
「俺がなに?」

 うん、と頷いたっきり黙り込んでしまう陸ちゃんは、返事をするのに躊躇しているようだった。突っ込んでしまった手をそそくさと引っ込めるのは気まずいのか、熱い手がぺたぺたと性器へ触れてくる。

「……葉月君だってエロいくせに!」
「陸に言われたくないんですけどー」
「だってさ!」

 陸ちゃんは何かを言いかけてから、ふう、と一度息を吐いた。いよいよ決心がついた、とでも思っていそうな真剣な顔だ。

「……ち、ちんぽが、いっぱい濡れてるじゃん」

 そう言いきった瞬間に陸ちゃんは一人で勝手にオロオロし始めて最終的には「言わなければよかった」とションボリしてしまった。よっぽど恥ずかしかったのか狭いベッドの上で居心地が悪そうにしている体はいつもよりずっと小さく見える。

「なに? 自分だけが、いっぱいいろいろ言われて悔しいから、何か言い返したかったの?」
「……うん。俺ばっかり恥ずかしいから、葉月君もたまには、って思ったのに……」
「ふふっ……」

 笑ってはダメだってちゃんとわかっていた。だけど、こんなことで対抗しようとするなんて面白すぎる。しかも、自分で言ったことに動揺してオタオタするなんて。陸ちゃんの様子を思い出すとおかしくてたまらなかった。

「バカだなあ、陸は。フフフ……」
「笑わないでよ! しょうがないじゃん……」
「あー、可愛い……」

 可愛い可愛い、って抱き寄せてやると、拗ねていた陸ちゃんの表情がほんの少しだけ弛む。ごめんね、と頬にキスしてやると、むう、と固く結ばれていた唇が綻んだ。こんなふうに喜怒哀楽がすぐ表情に出てしまうところが、すごく可愛い。

「陸、大好きだよ」
「うん……。そうだ! 俺、葉月君のを、舐めてもいい……?」
「えっ」
「だってさ、……いっぱい濡れてたから」

 よっぽど後悔したのか、陸ちゃんはさっきのように「ちんぽ」とは口にしなかった。代わりに、へへ、と照れ臭そうに笑ってからモゾモゾと体を移動させた。
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