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マナトの悩み事(2)
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「マナトはなんでも美味しそうに、嬉しそうに食べるな……」
俺が何か食べていると、ユウイチさんはいつもそう言う。ユウイチさんは、自分が美味しいものを食べるよりも、俺に美味しいものを食べさせる方がずっと好きだと言う。
だから、アルフォートやカントリーマアムのファミリーパックもビッグサイズのポテトチップスも、家にはたくさんストックされている。ユウイチさんは仕事で出張に行く時は、俺が見たこともないような美味しい珍しい食べ物を、いつもお土産にたくさん買ってきてくれた。
「ユウイチさんと一緒に暮らすようになったら、きっと俺はすぐ太ってしまうね……」
「……いいよ。マナトが太ってムチムチになったら、それはそれでシンプルに興奮するから」
「え~っ!?」
嫌だよ、って俺がゲラゲラ笑って、ユウイチさんも嬉しそうにニッコリと笑う。いつか一緒に生活出来るようになっても、こんなふうに二人で笑い合えたらいいなあ、そして美味しいものをたくさん一緒に食べたい……、と思っていたし、それが本当になる日を二人ともとても楽しみにしていた。
ようやくそれが叶って。それで、それで……。
「えっ!? ……太ってる……!?」
……冗談のつもりでユウイチさんに言っていたことがいよいよ本当になってしまっていた。
「え……。え~!? 嘘……?」
きっと冬で着膨れしているからだ! と着ているものを脱いでみたけど、やっぱり太っている。
もうすぐクリスマスなのに最悪だ。ビキニパンツしか身に付けていないというだけでも恥ずかしいのに、サンタの帽子までかぶっていて、今までよりも太ってしまっている……。
これは、絶対面白い仕上がりになってしまうやつなのでは!? ユウイチさんが笑ってくれたらまだ良いけど、滑ってしまったらどうしよう……と体重計の上で頭を抱えたくなった。
◆
「ユウイチさん、体型を維持するために、実際の体重よりも三キロくらい多く表示されるように体重計を設定してたりする?」
「してないよ」
「だよね……」
どうして急にそんなことを聞かれたのか、ユウイチさんは不思議に感じているかもしれない。自分でもなんてバカげたことを言ってるんだろう……と思っていたのと、ユウイチさんが言う「数字は嘘をつかない」という正論にグサッと来たから、黙ったまま湯船に浸かった。
「もっと近くに来たらいいのに……」
「……うん」
前に住んでいた家の浴槽が小さかったからなのか、端の方で膝を抱えて入る癖が抜けない。ローション風呂の素で、とろとろしているお湯の中で足を伸ばして、ユウイチさんに思いきってもたれかかると、後ろからぎゅっと抱き締めてくれる。
一緒に暮らすようになってからも、時々ユウイチさんと一緒にお風呂に入る。二人で入れる広さの浴槽で、その日あった事を話しながらゆっくりする時間が俺は好きだ。
ユウイチさんは俺が「星五つ」って評価をしたから、ローション風呂の素を五十袋も注文してしまった。その量が余りにも大量だったから、引っ越してきたばかりの頃は「……やっぱりサラリーマンっていうのは嘘で、アダルトグッズの小売業をしてるんだ。バイブとローション風呂の素をせっせと売ってお金を稼いでいるんだ……」と思ってしまったくらいだ。
「ユウイチさん」
「うん……?」
「あの、やっぱり、ユウイチさんは体型に気を遣ってるから、全然太ったりしないんだね。スゴイなー……」
密着されているだけでも、ユウイチさんの体はちゃんと引き締まっているのがわかる。ユウイチさんは甘いものを食べないし、時々ジムに行ってサウナでも汗を流す。「今日は食べ過ぎたから」「時間が遅いから」という理由で、夕食で炭水化物を摂らない時もある。
それに比べて俺は……。朝も昼も夜もお腹いっぱいになるまで食べてしまう。この家に引っ越す時に、ユウイチさんが十万円もする炊飯器を買ってくれたから、ご飯が美味しすぎてここ最近は特に食べ過ぎてしまっていた。
それから、ユウイチさんと一緒に夜食を食べることも習慣になってしまっている。ユウイチさんが遅くなる日は、一人で夕飯を食べる。そのまま寝てしまえば問題ないんだろうけど……。
ちょうど小腹が空く頃にユウイチさんが「ただいま」と帰ってきて、買ってきたおでんや、サッと茹でた蕎麦やうどんを「良かったらマナトも一緒に食べよう」と勧めてくる。その時適当につけているテレビ番組を眺めながら、一日の終わりにユウイチさんと温かくて美味しいものを食べる。幸せだなー、といつも感じていたけど……。さっき体重を量った時に、「おかしいなー? あれだけ働いてるのにどうして太ったんだろう?」と不思議に思った自分に「当たり前だよ!」と言いたい。
「……なんだか、元気がないよ」
いつもだったら「気持ちいいね」とはしゃぐ俺が、あまり喋らないからなのか、ユウイチさんが心配そうにしながら、俺の肩に顎を乗せてくる。
「ユウイチさん、俺、太ってしまって……」
「……え」
「夏に激痩せした分を取り戻す以上に体重が増えて……。きっとビキニなんて履いたら、すごくみっともない格好になってしまうかも……」
べつに多少太ってもいつもなら、「ちょっと我慢すれば元に戻るや」と平気でいられるけど、今回は事情が違う。
もうすぐやって来るクリスマスに、ビキニパンツを履かないといけない。小さいパンツからあらゆる所がはみ出している姿は想像するだけで恥ずかしい。それなのに、ユウイチさんは「太った? どこが?」と、余りピンと来ていないみたいだった。
「……ちょっと触って確かめても?」
「えー……嫌だよ……」
「少しだけ。変な触り方はしないから……」
「あっ……」
チェックするだけだから、と体のあちこちを揉まれた。とろとろしたお湯の中で触られるとそれだけで気持ちがいいのに、ユウイチさんは「これは体をチェックしてるだけだから」と言い張った。
「ん、んんっ……。やだっ、いやっ……」
「もう少し、我慢して……」
「あっ……!」
大きな手で胸を揉まれながら、とろとろしたお湯を塗り込むように、しつこく乳首を触られる。太ったかどうか確かめるのに、乳首を触る必要って、絶対無いよね!? と思ったけど、気持ちがよすぎて、大きな声を出さないよう、じっと、おとなしくしていることしか出来ない。
結局、散々俺の体を弄んだユウイチさんがわかったのは「相変わらず、どこもかしこも硬い体で最高に興奮した」ということだけだと言う。
「そうですか……」
頬も耳も熱くて、それどころじゃなかった。ローション風呂の威力はスゴイ。正直、「早くベッドで続きがしたい」で頭がいっぱいで、ダイエットの事は明日からでいいや……とさえ思ってしまっている。
その後は二人ともほとんど喋らずに、せかせかと部屋へと戻った。
◆
「太ったというよりは大きくなったような……? ガタイが良くなったというか……」
「うん……」
同棲を始めてから確実に、一ヶ月に一キロ以上は太ってしまっているけど、俺の体を隅々までチェックしたユウイチさんがそう言うのだから、もうそれでいいや……と思うことにした。
すごく激しいセックスをした、というわけじゃないし、そもそも今日は入れてない。だけど、あえて脱がさずに、パンツを割れ目に食い込ませたり、ペロペロと時間をかけて体中を舐めたり、ユウイチさんはねっとりと味わうようにして、俺にたくさんいやらしいことをした。
二人とも一回ずつ射精した後も、覆い被さってきたユウイチさんに両手を絡めとられて、何度もキスをした。
爪の間もひび割れも、オイルやブレーキダストの汚れで真っ黒になっているうえに、手の甲には仕事で作った火傷の痕があるから、俺の手はいつもボロボロで汚れている。自分では「整備士らしい手だ……!」と思っていたから、ユウイチさんが大事に大事に触れてくれるのがすごく嬉しくて、幸せな気持ちになった。
ぐったりとは違う……。満たされていて、心地がよくて、完全にうっとりしてしまっていた。自分がそんな状態になってしまっているのはゾワゾワするけど、ユウイチさんへの気持ちには抗えなくて何を言われても、腕枕をされたまま「うん……」と返事をすることしか出来なかった。
「全然太ってなんかいないよ。あれだけキツイ仕事をしているんだから、筋肉がついただけだよ」
「うん……」
「……マナトが食べなくなって、また痩せてしまったら俺はとても悲しい」
「うん、うん……」
フラフラの体で仕事は出来ない。作業中にミスをすればケガをするし、死んでしまうことだってある。整備不良があれば、車の持ち主が事故を起こしてしまうことだってあり得る。だから俺は……きっと明日もお昼には大盛りの弁当に小さいラーメンかうどんを付けるだろうし、夜もたくさん食べる。
ユウイチさんは、体の事が気になるなら、何か方法を考えよう、と提案してくれた。きっと、俺の仕事のこともわかってくれているんだよね……と思うと、ますます「この人の事が好きだ」という気持ちは大きくなった。
◆
次の日、ユウイチさんは蒟蒻ゼリーをやたらたくさん買ってきた。お腹が空いたら夜食にはこれを食べなさいってことなのかなあ、と遅い時間に帰って来て夕飯を食べるユウイチさんの横でプルプルしたゼリーを食べるのが俺の新しい習慣になった。
時々、俺が汗だくになりながら筋トレをしていると終わりの方ではなぜかいつもユウイチさんも「ああ~!」と言って倒れる。
「ユウイチさん、大丈夫……!?」
「ダメだ……! 筋トレ中のマナトがエロ過ぎて、目覚めてしまう……!」
全然大丈夫じゃないや……と俺が引いているのもおかまいなしで、這うようにしてユウイチさんはトイレに逃げて行く。「また、俺で抜いてる……」と少し気まずいけれど、ユウイチさんはそういう人だった、とすぐに慣れてしまった。
ユウイチさんからは「多少ムチムチでも全然構わないよ。極小ビキニを履かせたマナトを、そのまま食べたい」と気持ち悪い慰め方をされるけど……。
今までユウイチさんからプレゼントして貰った服が着られなくなるのは、俺にとってすごく悲しいことだから、体のことには気を配りたい。……ビキニパンツは試しに履いてみたら、まだギリギリ大丈夫だった。
もうすぐクリスマスがやって来る。早くユウイチさんにプレゼントをあげたい。
俺が何か食べていると、ユウイチさんはいつもそう言う。ユウイチさんは、自分が美味しいものを食べるよりも、俺に美味しいものを食べさせる方がずっと好きだと言う。
だから、アルフォートやカントリーマアムのファミリーパックもビッグサイズのポテトチップスも、家にはたくさんストックされている。ユウイチさんは仕事で出張に行く時は、俺が見たこともないような美味しい珍しい食べ物を、いつもお土産にたくさん買ってきてくれた。
「ユウイチさんと一緒に暮らすようになったら、きっと俺はすぐ太ってしまうね……」
「……いいよ。マナトが太ってムチムチになったら、それはそれでシンプルに興奮するから」
「え~っ!?」
嫌だよ、って俺がゲラゲラ笑って、ユウイチさんも嬉しそうにニッコリと笑う。いつか一緒に生活出来るようになっても、こんなふうに二人で笑い合えたらいいなあ、そして美味しいものをたくさん一緒に食べたい……、と思っていたし、それが本当になる日を二人ともとても楽しみにしていた。
ようやくそれが叶って。それで、それで……。
「えっ!? ……太ってる……!?」
……冗談のつもりでユウイチさんに言っていたことがいよいよ本当になってしまっていた。
「え……。え~!? 嘘……?」
きっと冬で着膨れしているからだ! と着ているものを脱いでみたけど、やっぱり太っている。
もうすぐクリスマスなのに最悪だ。ビキニパンツしか身に付けていないというだけでも恥ずかしいのに、サンタの帽子までかぶっていて、今までよりも太ってしまっている……。
これは、絶対面白い仕上がりになってしまうやつなのでは!? ユウイチさんが笑ってくれたらまだ良いけど、滑ってしまったらどうしよう……と体重計の上で頭を抱えたくなった。
◆
「ユウイチさん、体型を維持するために、実際の体重よりも三キロくらい多く表示されるように体重計を設定してたりする?」
「してないよ」
「だよね……」
どうして急にそんなことを聞かれたのか、ユウイチさんは不思議に感じているかもしれない。自分でもなんてバカげたことを言ってるんだろう……と思っていたのと、ユウイチさんが言う「数字は嘘をつかない」という正論にグサッと来たから、黙ったまま湯船に浸かった。
「もっと近くに来たらいいのに……」
「……うん」
前に住んでいた家の浴槽が小さかったからなのか、端の方で膝を抱えて入る癖が抜けない。ローション風呂の素で、とろとろしているお湯の中で足を伸ばして、ユウイチさんに思いきってもたれかかると、後ろからぎゅっと抱き締めてくれる。
一緒に暮らすようになってからも、時々ユウイチさんと一緒にお風呂に入る。二人で入れる広さの浴槽で、その日あった事を話しながらゆっくりする時間が俺は好きだ。
ユウイチさんは俺が「星五つ」って評価をしたから、ローション風呂の素を五十袋も注文してしまった。その量が余りにも大量だったから、引っ越してきたばかりの頃は「……やっぱりサラリーマンっていうのは嘘で、アダルトグッズの小売業をしてるんだ。バイブとローション風呂の素をせっせと売ってお金を稼いでいるんだ……」と思ってしまったくらいだ。
「ユウイチさん」
「うん……?」
「あの、やっぱり、ユウイチさんは体型に気を遣ってるから、全然太ったりしないんだね。スゴイなー……」
密着されているだけでも、ユウイチさんの体はちゃんと引き締まっているのがわかる。ユウイチさんは甘いものを食べないし、時々ジムに行ってサウナでも汗を流す。「今日は食べ過ぎたから」「時間が遅いから」という理由で、夕食で炭水化物を摂らない時もある。
それに比べて俺は……。朝も昼も夜もお腹いっぱいになるまで食べてしまう。この家に引っ越す時に、ユウイチさんが十万円もする炊飯器を買ってくれたから、ご飯が美味しすぎてここ最近は特に食べ過ぎてしまっていた。
それから、ユウイチさんと一緒に夜食を食べることも習慣になってしまっている。ユウイチさんが遅くなる日は、一人で夕飯を食べる。そのまま寝てしまえば問題ないんだろうけど……。
ちょうど小腹が空く頃にユウイチさんが「ただいま」と帰ってきて、買ってきたおでんや、サッと茹でた蕎麦やうどんを「良かったらマナトも一緒に食べよう」と勧めてくる。その時適当につけているテレビ番組を眺めながら、一日の終わりにユウイチさんと温かくて美味しいものを食べる。幸せだなー、といつも感じていたけど……。さっき体重を量った時に、「おかしいなー? あれだけ働いてるのにどうして太ったんだろう?」と不思議に思った自分に「当たり前だよ!」と言いたい。
「……なんだか、元気がないよ」
いつもだったら「気持ちいいね」とはしゃぐ俺が、あまり喋らないからなのか、ユウイチさんが心配そうにしながら、俺の肩に顎を乗せてくる。
「ユウイチさん、俺、太ってしまって……」
「……え」
「夏に激痩せした分を取り戻す以上に体重が増えて……。きっとビキニなんて履いたら、すごくみっともない格好になってしまうかも……」
べつに多少太ってもいつもなら、「ちょっと我慢すれば元に戻るや」と平気でいられるけど、今回は事情が違う。
もうすぐやって来るクリスマスに、ビキニパンツを履かないといけない。小さいパンツからあらゆる所がはみ出している姿は想像するだけで恥ずかしい。それなのに、ユウイチさんは「太った? どこが?」と、余りピンと来ていないみたいだった。
「……ちょっと触って確かめても?」
「えー……嫌だよ……」
「少しだけ。変な触り方はしないから……」
「あっ……」
チェックするだけだから、と体のあちこちを揉まれた。とろとろしたお湯の中で触られるとそれだけで気持ちがいいのに、ユウイチさんは「これは体をチェックしてるだけだから」と言い張った。
「ん、んんっ……。やだっ、いやっ……」
「もう少し、我慢して……」
「あっ……!」
大きな手で胸を揉まれながら、とろとろしたお湯を塗り込むように、しつこく乳首を触られる。太ったかどうか確かめるのに、乳首を触る必要って、絶対無いよね!? と思ったけど、気持ちがよすぎて、大きな声を出さないよう、じっと、おとなしくしていることしか出来ない。
結局、散々俺の体を弄んだユウイチさんがわかったのは「相変わらず、どこもかしこも硬い体で最高に興奮した」ということだけだと言う。
「そうですか……」
頬も耳も熱くて、それどころじゃなかった。ローション風呂の威力はスゴイ。正直、「早くベッドで続きがしたい」で頭がいっぱいで、ダイエットの事は明日からでいいや……とさえ思ってしまっている。
その後は二人ともほとんど喋らずに、せかせかと部屋へと戻った。
◆
「太ったというよりは大きくなったような……? ガタイが良くなったというか……」
「うん……」
同棲を始めてから確実に、一ヶ月に一キロ以上は太ってしまっているけど、俺の体を隅々までチェックしたユウイチさんがそう言うのだから、もうそれでいいや……と思うことにした。
すごく激しいセックスをした、というわけじゃないし、そもそも今日は入れてない。だけど、あえて脱がさずに、パンツを割れ目に食い込ませたり、ペロペロと時間をかけて体中を舐めたり、ユウイチさんはねっとりと味わうようにして、俺にたくさんいやらしいことをした。
二人とも一回ずつ射精した後も、覆い被さってきたユウイチさんに両手を絡めとられて、何度もキスをした。
爪の間もひび割れも、オイルやブレーキダストの汚れで真っ黒になっているうえに、手の甲には仕事で作った火傷の痕があるから、俺の手はいつもボロボロで汚れている。自分では「整備士らしい手だ……!」と思っていたから、ユウイチさんが大事に大事に触れてくれるのがすごく嬉しくて、幸せな気持ちになった。
ぐったりとは違う……。満たされていて、心地がよくて、完全にうっとりしてしまっていた。自分がそんな状態になってしまっているのはゾワゾワするけど、ユウイチさんへの気持ちには抗えなくて何を言われても、腕枕をされたまま「うん……」と返事をすることしか出来なかった。
「全然太ってなんかいないよ。あれだけキツイ仕事をしているんだから、筋肉がついただけだよ」
「うん……」
「……マナトが食べなくなって、また痩せてしまったら俺はとても悲しい」
「うん、うん……」
フラフラの体で仕事は出来ない。作業中にミスをすればケガをするし、死んでしまうことだってある。整備不良があれば、車の持ち主が事故を起こしてしまうことだってあり得る。だから俺は……きっと明日もお昼には大盛りの弁当に小さいラーメンかうどんを付けるだろうし、夜もたくさん食べる。
ユウイチさんは、体の事が気になるなら、何か方法を考えよう、と提案してくれた。きっと、俺の仕事のこともわかってくれているんだよね……と思うと、ますます「この人の事が好きだ」という気持ちは大きくなった。
◆
次の日、ユウイチさんは蒟蒻ゼリーをやたらたくさん買ってきた。お腹が空いたら夜食にはこれを食べなさいってことなのかなあ、と遅い時間に帰って来て夕飯を食べるユウイチさんの横でプルプルしたゼリーを食べるのが俺の新しい習慣になった。
時々、俺が汗だくになりながら筋トレをしていると終わりの方ではなぜかいつもユウイチさんも「ああ~!」と言って倒れる。
「ユウイチさん、大丈夫……!?」
「ダメだ……! 筋トレ中のマナトがエロ過ぎて、目覚めてしまう……!」
全然大丈夫じゃないや……と俺が引いているのもおかまいなしで、這うようにしてユウイチさんはトイレに逃げて行く。「また、俺で抜いてる……」と少し気まずいけれど、ユウイチさんはそういう人だった、とすぐに慣れてしまった。
ユウイチさんからは「多少ムチムチでも全然構わないよ。極小ビキニを履かせたマナトを、そのまま食べたい」と気持ち悪い慰め方をされるけど……。
今までユウイチさんからプレゼントして貰った服が着られなくなるのは、俺にとってすごく悲しいことだから、体のことには気を配りたい。……ビキニパンツは試しに履いてみたら、まだギリギリ大丈夫だった。
もうすぐクリスマスがやって来る。早くユウイチさんにプレゼントをあげたい。
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