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★極上のプレイ(4)

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「ユウイチさん、シャワーする? 終わったら俺の部屋に来てね」

「生挿入」「マナトの部屋へ侵入」という過剰な供給で意識はすでに朦朧としていたものの、「待ってます」とニコニコしているマナトに何か返事をして、シャワーで体をしっかりと清潔にすることまではやり遂げた。
「不用意に近づくと通報される」という刷り込みのせいで、普段マナトの部屋にはほとんど出入りしない。時々、マナトが無防備にドアを開けっ放しにしている時に中を覗き見るか、室内から流れ出る空気を吸う程度で満足していたため、正直言って「……終わったよ」とマナトの部屋に入る、というだけでもすでに一大事だった。

「ユウイチさん……? 良かった! 俺も今、準備が終わったところ……」

 どうぞどうぞ! とマナトは、二人でせっせと組み立てたシングルベッドに招いてくれた。寝転んだ時、ちょうどマナトの腰から下の位置に、買ったばかりのバスタオルがキチンと皺を伸ばした状態で敷いてある。
引っ越すタイミングで買い換えをするだろうと読んで、「まだ使えるのに捨てるなんて地球環境にも悪いし、俺が買い取ろうか」とマナトの使い古しのバスタオルについて、再利用のための説得を何度か試みたものの「嫌だ! 怖い!」と結局一枚も売って貰えなかったことを思い出す。

 小さなベッドは二人で寝そべっただけでギュウギュウになってしまった。マナトの寝床は温かくて、良い香りがする。

「……どうして今日はマナトの部屋で? 俺の部屋でも良かったのに」
「うーん……。たまにはいいかなあって……。ユウイチさんの部屋よりベッドは小さいけど……。あと、エッチな道具もありません」

 へへ、と照れたように笑ってから、マナトが抱きついてくる。……マナトが「そういうプレイ」ということを理解してくれるようになってからは、道具を使わせてくれたり、手を拘束したり、慣れないことに少しずつ付き合ってくれている。最近はバイブを大量に見せてしまってずいぶんと驚かせてしまった。
 道具を使うと、マナトが感じる気持ちよさは増しているのは明らかでも、「どんなふうに感じているんだろう?」「ずいぶん悦んでくれているな……」と、どうしても反応を観察することに集中してしまう。
 そういった今までのことを振り返ってみると、「ぎゅっとされたい」「好きだって言われたい」というマナトの要望が、「もっとゆっくり、少しずつ」と言われているようにも感じられた。

「……今日はあまり無理はしないでゆっくりしよう」
「はいっ! ゆっくり、たくさんしてください……」
「た、たくさん……?」
「うん……。すぐ終わったら嫌だな……」

 マナトは優しいから「ユウイチさんの道具、いっぱい使わなきゃ……!」とかそういうことを考えていろいろと焦らせてしまっているかもしれない、と気がかりに思っているのに、相変わらず可愛く煽ってくる。
 ……こんなふうに誘惑された後では、ゆっくりと、たくさん、を両立出来る気がしない。マナトには申し訳ないが、禁じ手の「ユウイチさん、痛い……嫌だ……」とシクシク泣いている姿を勝手に想像して心の平穏を取り戻さないといけなかった。



「恥ずかしい……、ユウイチさん、指ばっかり嫌だ……。もう入れて……」
「……もうちょっとだけ。すぐ済むから」
「あっ……、もっと奥……」

 四つん這いの格好で、腰を突き出すようにして、じれったそうな声をマナトはあげた。たっぷりと時間をかけてマナトを悦ばせたいのに、最近は、「早く、早く」と急かされることも多くなった。
 初めての時、自分の体に男性器を挿入されることに対して、マナトが全身をカチコチに強張らせて怯えていたのを思い出すと、きっと良いことなのだろうけど、体を傷付けないようにするためには、どうしてもそれなりに時間がかかる。

「……こっち向いて」
「ん、んぅ……」

 後ろを向かせた後にキスをすると、ぎゅうっとマナトのナカが締まる。もう少し、我慢して、と宥めるように何度も唇を合わせている間もマナトは腰をもぞもぞと動かし、鼻にかかった声で、小さく呻いた。


「ユウイチさん……」
「……欲しいって、ナカがすごく熱くなってる」
「あっ……!」
 
 仰向けに寝転んだマナトが足を開く。恥ずかしそうにしていると思ったら、急に体をガバッと起こして、「ユウイチさん、本当につけてないんだよね!?」と無遠慮に性器を覗き込み、ペタペタと触ってくる仕草が幼くて可愛かった。

「……つけてないよ。ほら、もっと触ってみて」
「うん……。すごい、ユウイチさんの、おっきい……」
「……どうもありがとう」
「そのまま入れるんだよね……? 初めてじゃないけどちょっとだけドキドキしてきた……」

 お願いします、とマナトは再び仰向けに戻った。緊張しているのか、ぎゅっとシーツを握り締めている。ローションで濡れているソコへそっと性器をあてがう。すぐに挿入せずに焦らすようにして、何度も先端を擦り付けると「くすぐったい」とマナトが声をあげた。

「ユウイチさん……恥ずかしい……」
「ごめん。ゆっくり、ちょっとずつするから……」
「あっ……」

 先端がほんの少し入っただけでも、初めてセックスした時とは全然違う、とすぐにわかる。「奥まで入れられるのが、怖い」とただじっと堪えるようにしていた頃と比べたら力の抜き方が本当に上手になった。

「あっ……、ん、んんっ…! あ、あっ……入ってる……」
「……大丈夫?」
「うん……。ユウイチさんの……すごい、きもちい……」

 マナトには普段「コンドームをつけていても変わらないよ」とは言っているけれど、直接触れ合った時の気持ちよさはやっぱり別格だった。小さくて狭いのに、ちっとも窮屈ではない暖かい場所。ユウイチさん、とマナトが全身で絡み付いてくる。

「ユウイチさん、もうちょっとだけこのまま……」
「いいよ……」
「きもちいいね……」

 繋がったまま抱き締め合っているだけでも、充分幸せだった。まだセックスに慣れていなかった頃、「もっとゆっくり、まだ動かさないで」と言うマナトに合わせて、寄り添うようにして、マナトの体に馴染むまで、受け入れて貰えるまで、ただ待つこともあった。
 あの時とやっていることは同じでも、今のマナトは「気持ちいい」と安心しながらうっとりしてくれている。

「セックス、好き?」
「ん……ユウイチさんと、するの好き……、ユウイチさん、好き……」
「可愛い……好きだよ」

 マナトは可愛い、マナトが好きだよ、と体を密着させたまま何度も伝えた。それに負けないようにマナトが「好き好き、大好き」とうるんだ瞳で見つめてきたため、堪らなくなって何度も口付けた。「キス気持ちいい、だめ」とマナトがイヤイヤするのも構わずに、柔らかい唇を塞ぎながら何度も抜き挿しを繰り返す。

「や、あっ、あっ、きもちい……、だめ、ん、んうっ……」

 二人とも興奮した状態で「ゆっくり」はやっぱり難しくて、突かれるたびにずり上がっていくマナトの頭を手で支えながら、肌と肌がぶつかる音がするくらい、激しく交わった。もうすでに先走りがマナトのナカでダラダラと出てしまっているのに、「もっとしたい」と休んでは、マナトの体に腰を打ち付けた。

「あっ、あっ、きもちいい……いやっ、いやだあ……! まだ、いきたくない……」

 マナトの目からぽろっと涙が溢れる。頬どころか耳まで真っ赤にしながら、達してしまわないよう必死で我慢している。背中に回されたマナトの腕も、力いっぱいしがみついてくる手のひらも汗で濡れていた。
 涙を拭ってやると、マナトはますます泣いた。

「きもちいいよ……ユウイチさん、生のおちんちん、きもちいい……」
「くっ……」
「抜いちゃ嫌だ、このまま……」

 以前は、「マナトが泣いている」ということにギョッとして動きを止めるたびに、気持ちがよくて泣いているから止めちゃ嫌だ、とマナトから教えて貰わないとわからなかった。
 それが、いつの間にかマナトの「痛くて怖い時の涙」と「気持ちがよくて勝手に出てきてしまう涙」の区別がつくようになってしまっていた。
「このまま、俺のナカに出して」としゃくりあげるマナトの体をしっかりと抱き締めたまま、腰の動きを早めた。「ここ?」と大好きな所をグリグリしてやると、大きな目からぼろぼろと涙を溢しながらマナトは何度も頷いた。




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