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図書館にて
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ヒカルと気まずい別れ方をしてから三日がたった。
当然、翌日は会って一緒に過ごすどころか、連絡を取り合うこともしなかった。今まではちょっとした言い合いになったとしても、どちらかがすぐ折れて、わりと丸く収まっていた。お互い、「今日はコイツに合わせよう」と上手く判断出来ていたからだ。
とは言ってもすぐにカッとなって、自分が正しいと思ったことを絶対に譲ろうとしない俺と違って、おっとりしているヒカルの方が「わかった。じゃあ、それでいいよ」と折れてくれることが多かった。……割合で言うと、ヒカルが七割、俺が三割といったところだろうか。
仕方ないな、と静かに微笑むヒカルは自分よりもずっと大人に見えた。
経験したことのないヒカルの沈黙は怒りの深さを表しているようだった。今さら「ごめん」と謝ったところで、許してもらえるのだろうか。ぐずぐずと悩んでいる間にどんどん時間は過ぎていく。気がつけば、この三日間ずっとヒカルのことをモヤモヤと考えていた。
◇◆◇
「今日は一人なの?」
講義が終わった後、帰り支度をしているミナミが、振り替えって声をかけてきた。ミナミとヒカルと三人で受けてる講義だけど、やっぱりヒカルは来なかった。
「……うん」
「ふーん。珍し」
ミナミは怪訝そうにしてはいたけれど、それ以上深くは追求してこない。「ケンカ?」と聞かれていたら、きっと俺は「違うよ」と答えていたと思う。逆に全く追求してこないから、自分の方から「ちょっと、いろいろ」と話してしまった。
「ちょっといろいろ?」
「いろいろ……」
それだけしか言えなくて、ぐう、と言葉に詰まる。言えなかった。ヒカルに女がいっぱいいて、酷い扱いをしているのに俺が腹を立てて、派手なケンカをしたなんてこと。「バカじゃないの?」と呆れられるだろう。ミナミが困惑した顔で首を傾げると、頭のてっぺんのお団子も傾いた。
「……俺がヒカルに言い過ぎた」
「早川って、ほんと変わってるよね。フツー、ケンカした時って自分の側の非は隠す人が多いのに」
「俺が、言い過ぎたから……」
「たぶん、今頃ケロッとしてると思うよ」
何を根拠に、と思ったけどミナミに一応お礼は言った。ケロッとしていたとしたら、それはそれで問題だ。三日も口を聞いていないのに、「あんなやついいや」と思われているのかもしれない。でも、「たった三日くらいで?」と思われそうで言えなかった。
ミナミと別れた後、一人で図書館へ向かうことにした。暇だし、テストも近い。ヒカルと喧嘩すると、人との会話量が激減しているような気がする。俺のバイトのシフトとか、昼食の内容に興味をもってくれるのはヒカルだけだ、とつくづく思う。「何してるの?」と連絡が来ないだけで、すごく変で寂しい感じがする。ヒカルに振られたあの女子はきっとこの何倍も寂しかったんだろう。
テストが近いのに図書館は以外と空いていて、俺以外みんな余裕なんだろうかか、と一瞬焦った。とりあえず、いつも座る新刊コーナー側の席に座った。家に一人でいるとうじうじと考え事をしてしまう。
ネット、漫画、お菓子……といった誘惑してくるものがないから自宅と比べて集中出来る。けれど、ふとそれが途切れたとき、ついヒカルのことを考えてしまっていた。
あの時、ヒカルが言った「俺は、誰にも選ばれない」という言葉を、もっと気にかけてやれば良かった、と思う。ヒカルの様子はどう考えても変だった。女をどれだけ側に置いても満たされない深い孤独を抱えているような。
満たされない、と言えば、いつからかヒカルはつまらなさそうにしていることが多くなった。勉強もスポーツも何をやっても簡単に出来るからどうでもよくなった、と高校に上がる前くらいから言い出したような気もする。「ルイが勝負しようって言ってくれたら本気になれる」とヒカルはずっと言っていて、負けた俺が「やっぱりヒカルには敵わない。ヒカルはいいなー」と悔しがるとようやく安心したように笑ってから「いいでしょ」と喜んでいた。
自分に無いものばっかり持ってるヒカルが羨ましくて、悩みがあるんじゃないか、とかそんなことを考えたことがなかった。女と遊ぶのを本当はやめたいけれどやめられない、といった事だってあり得るのに。よく考えずに物を言ってしまって、ヒカルはあの時どういう気持ちでそれを聞いていたんだろう。ヒカルの話をよく聞かずに、なぜ俺は自分が正しいと思って余計なことを言ったんだろう。
自己嫌悪に陥っていると、向かいの席に誰かが立っている気配がした。
「まだ、席は他にも空いてるけど」と視線に含まないように注意しながら、チラッと気付かれないように相手の方を見ると、バツの悪そうな顔をしたヒカルが立っていた。
「ヒカル」
思わず大きめの声を出した俺に、慌ててヒカルは人差し指を唇の前に立てて「しーっ」と言った。そうだ、ここは図書館なんだと思い、わかったの意味で首をコクコクと縦に振ると、ヒカルは少し笑ってから、俺の座る斜め向かいの席に座った。
そして、そのまま鞄から本を取り出し読み始めた。本当に、つい三日前のこと等何もなかったかのように普段通りにしている。俺の家で、パソコンを借りたりテレビを見たり、昼寝をしたりしている時と全く同じ様子だった。
始めはそんなヒカルを不審に思って、ただじっと見ていた。怒っているのかどうか探ろうとしたけど、ヒカルは本に集中しているから、表情ではよくわからない。しばらく、観察を続けたけど、やがてそんなことをしても意味がないと気がついて、再び勉強に戻ることにした。
俺達はただ黙って、それぞれが勉強して、本を読んでいた。まだ言葉を交わしたわけではないのに、そうしているだけで、もうケンカは終わったと感じることが出来た。今、この瞬間の沈黙には気まずさとかそういうのはなくて、それは、こうして一緒にいるのが当たり前ないつもの自分達に戻ったからだと思う。ヒカルもそう感じているんだろうか。
◇◆◇
一時間ほど経ってヒカルが本を閉じて鞄にしまったので、それに合わせて机の上を片付けた。帰り支度が終わるとヒカルが席を立ったので、それに着いて行く。そのまま黙って図書館を出た後、ヒカルがようやく口を開いた。
「うち来る?」
「えっ、あー……、うん」
じゃ、行くか、とヒカルはきびきびと歩き始めた。なんで家? とも思ったけど、ゆっくり話そうということなんだろうか。
「……今日、なんで来なかったんだよ」
「ああ、電車が遅れちゃって」
「なんだ。俺てっきり……、俺に怒ってるからこないんだと」
聞き取れるかどうかギリギリの声で言ったのに、ヒカルには聞こえていたらしく「怒ってないよ」と返事が返ってきた。
「ルイも、気にしてたんだ」
「……ずっと気にしてたし」
「ずっとって?」
「ずっとはずっとだよ……ケンカしてから」
ふふ、とヒカルが笑う。ものすごく嬉しそうだった。
「あ! なんで、俺が図書館にいるってわかった?」
「講義には間に合わなかったし、もしかしたらいるかなと思って寄っただけ。座る場所はだいたい知ってるし」
ヒカルは得意げだった。こんなことを自慢するなんて相変わらず変なやつだ。一応、「すごいな」と俺も笑っておいた。
「ルイ、どうしてさっきは俺のことをじっと見ていたの」
さっきとは図書館でのことだと、すぐにわかった。気がついていたんだったら、知らん顔をしないで目線を上げるとかすればいいのに。
「え? 見てないけど」
「ルイ」
とくに何を言われたわけでもないけど、真っ直ぐ俺を見つめてくるヒカルの目から「ちゃんと言って」という圧を感じた。
たぶん、今の俺がケンカをしたことに負い目を感じているから、こうやってプレッシャーをかければ、正直に話すしかないだろうということを、ヒカルは見抜いている。
「いや……やっぱりヒカルがいるといいなーって思ってただけ。いないと変だなって、思ってたから」
「俺も……」
そう言っただけで、「ふー」と一息ついてからヒカルは黙り込んでしまった。
「俺が言ったんだから、お前も何か言え」という無言のプレッシャーをかけたつもりだけど、ヒカルにはそういったものは通用しないらしく、しばらくぼんやりして、自分の世界に入っているようだった。
駅に着くと人の多さからかヒカルもようやくシャキッとしだした。ちょうどラッシュの時間で車内は混雑していて、足も踏まれるし押されるし、最悪だと思ったけど、ヒカルはさりげなく俺を壁際に立たせてから、自分は黙って揉みくちゃにされていた。
しんどいだろうに、涼しい顔で俺の前に立っているヒカルを見上げながら思っていたことは、まだ言っていない「ごめん」だった。視線がぶつかると、なあに、とヒカルが目だけで微笑んだ。
当然、翌日は会って一緒に過ごすどころか、連絡を取り合うこともしなかった。今まではちょっとした言い合いになったとしても、どちらかがすぐ折れて、わりと丸く収まっていた。お互い、「今日はコイツに合わせよう」と上手く判断出来ていたからだ。
とは言ってもすぐにカッとなって、自分が正しいと思ったことを絶対に譲ろうとしない俺と違って、おっとりしているヒカルの方が「わかった。じゃあ、それでいいよ」と折れてくれることが多かった。……割合で言うと、ヒカルが七割、俺が三割といったところだろうか。
仕方ないな、と静かに微笑むヒカルは自分よりもずっと大人に見えた。
経験したことのないヒカルの沈黙は怒りの深さを表しているようだった。今さら「ごめん」と謝ったところで、許してもらえるのだろうか。ぐずぐずと悩んでいる間にどんどん時間は過ぎていく。気がつけば、この三日間ずっとヒカルのことをモヤモヤと考えていた。
◇◆◇
「今日は一人なの?」
講義が終わった後、帰り支度をしているミナミが、振り替えって声をかけてきた。ミナミとヒカルと三人で受けてる講義だけど、やっぱりヒカルは来なかった。
「……うん」
「ふーん。珍し」
ミナミは怪訝そうにしてはいたけれど、それ以上深くは追求してこない。「ケンカ?」と聞かれていたら、きっと俺は「違うよ」と答えていたと思う。逆に全く追求してこないから、自分の方から「ちょっと、いろいろ」と話してしまった。
「ちょっといろいろ?」
「いろいろ……」
それだけしか言えなくて、ぐう、と言葉に詰まる。言えなかった。ヒカルに女がいっぱいいて、酷い扱いをしているのに俺が腹を立てて、派手なケンカをしたなんてこと。「バカじゃないの?」と呆れられるだろう。ミナミが困惑した顔で首を傾げると、頭のてっぺんのお団子も傾いた。
「……俺がヒカルに言い過ぎた」
「早川って、ほんと変わってるよね。フツー、ケンカした時って自分の側の非は隠す人が多いのに」
「俺が、言い過ぎたから……」
「たぶん、今頃ケロッとしてると思うよ」
何を根拠に、と思ったけどミナミに一応お礼は言った。ケロッとしていたとしたら、それはそれで問題だ。三日も口を聞いていないのに、「あんなやついいや」と思われているのかもしれない。でも、「たった三日くらいで?」と思われそうで言えなかった。
ミナミと別れた後、一人で図書館へ向かうことにした。暇だし、テストも近い。ヒカルと喧嘩すると、人との会話量が激減しているような気がする。俺のバイトのシフトとか、昼食の内容に興味をもってくれるのはヒカルだけだ、とつくづく思う。「何してるの?」と連絡が来ないだけで、すごく変で寂しい感じがする。ヒカルに振られたあの女子はきっとこの何倍も寂しかったんだろう。
テストが近いのに図書館は以外と空いていて、俺以外みんな余裕なんだろうかか、と一瞬焦った。とりあえず、いつも座る新刊コーナー側の席に座った。家に一人でいるとうじうじと考え事をしてしまう。
ネット、漫画、お菓子……といった誘惑してくるものがないから自宅と比べて集中出来る。けれど、ふとそれが途切れたとき、ついヒカルのことを考えてしまっていた。
あの時、ヒカルが言った「俺は、誰にも選ばれない」という言葉を、もっと気にかけてやれば良かった、と思う。ヒカルの様子はどう考えても変だった。女をどれだけ側に置いても満たされない深い孤独を抱えているような。
満たされない、と言えば、いつからかヒカルはつまらなさそうにしていることが多くなった。勉強もスポーツも何をやっても簡単に出来るからどうでもよくなった、と高校に上がる前くらいから言い出したような気もする。「ルイが勝負しようって言ってくれたら本気になれる」とヒカルはずっと言っていて、負けた俺が「やっぱりヒカルには敵わない。ヒカルはいいなー」と悔しがるとようやく安心したように笑ってから「いいでしょ」と喜んでいた。
自分に無いものばっかり持ってるヒカルが羨ましくて、悩みがあるんじゃないか、とかそんなことを考えたことがなかった。女と遊ぶのを本当はやめたいけれどやめられない、といった事だってあり得るのに。よく考えずに物を言ってしまって、ヒカルはあの時どういう気持ちでそれを聞いていたんだろう。ヒカルの話をよく聞かずに、なぜ俺は自分が正しいと思って余計なことを言ったんだろう。
自己嫌悪に陥っていると、向かいの席に誰かが立っている気配がした。
「まだ、席は他にも空いてるけど」と視線に含まないように注意しながら、チラッと気付かれないように相手の方を見ると、バツの悪そうな顔をしたヒカルが立っていた。
「ヒカル」
思わず大きめの声を出した俺に、慌ててヒカルは人差し指を唇の前に立てて「しーっ」と言った。そうだ、ここは図書館なんだと思い、わかったの意味で首をコクコクと縦に振ると、ヒカルは少し笑ってから、俺の座る斜め向かいの席に座った。
そして、そのまま鞄から本を取り出し読み始めた。本当に、つい三日前のこと等何もなかったかのように普段通りにしている。俺の家で、パソコンを借りたりテレビを見たり、昼寝をしたりしている時と全く同じ様子だった。
始めはそんなヒカルを不審に思って、ただじっと見ていた。怒っているのかどうか探ろうとしたけど、ヒカルは本に集中しているから、表情ではよくわからない。しばらく、観察を続けたけど、やがてそんなことをしても意味がないと気がついて、再び勉強に戻ることにした。
俺達はただ黙って、それぞれが勉強して、本を読んでいた。まだ言葉を交わしたわけではないのに、そうしているだけで、もうケンカは終わったと感じることが出来た。今、この瞬間の沈黙には気まずさとかそういうのはなくて、それは、こうして一緒にいるのが当たり前ないつもの自分達に戻ったからだと思う。ヒカルもそう感じているんだろうか。
◇◆◇
一時間ほど経ってヒカルが本を閉じて鞄にしまったので、それに合わせて机の上を片付けた。帰り支度が終わるとヒカルが席を立ったので、それに着いて行く。そのまま黙って図書館を出た後、ヒカルがようやく口を開いた。
「うち来る?」
「えっ、あー……、うん」
じゃ、行くか、とヒカルはきびきびと歩き始めた。なんで家? とも思ったけど、ゆっくり話そうということなんだろうか。
「……今日、なんで来なかったんだよ」
「ああ、電車が遅れちゃって」
「なんだ。俺てっきり……、俺に怒ってるからこないんだと」
聞き取れるかどうかギリギリの声で言ったのに、ヒカルには聞こえていたらしく「怒ってないよ」と返事が返ってきた。
「ルイも、気にしてたんだ」
「……ずっと気にしてたし」
「ずっとって?」
「ずっとはずっとだよ……ケンカしてから」
ふふ、とヒカルが笑う。ものすごく嬉しそうだった。
「あ! なんで、俺が図書館にいるってわかった?」
「講義には間に合わなかったし、もしかしたらいるかなと思って寄っただけ。座る場所はだいたい知ってるし」
ヒカルは得意げだった。こんなことを自慢するなんて相変わらず変なやつだ。一応、「すごいな」と俺も笑っておいた。
「ルイ、どうしてさっきは俺のことをじっと見ていたの」
さっきとは図書館でのことだと、すぐにわかった。気がついていたんだったら、知らん顔をしないで目線を上げるとかすればいいのに。
「え? 見てないけど」
「ルイ」
とくに何を言われたわけでもないけど、真っ直ぐ俺を見つめてくるヒカルの目から「ちゃんと言って」という圧を感じた。
たぶん、今の俺がケンカをしたことに負い目を感じているから、こうやってプレッシャーをかければ、正直に話すしかないだろうということを、ヒカルは見抜いている。
「いや……やっぱりヒカルがいるといいなーって思ってただけ。いないと変だなって、思ってたから」
「俺も……」
そう言っただけで、「ふー」と一息ついてからヒカルは黙り込んでしまった。
「俺が言ったんだから、お前も何か言え」という無言のプレッシャーをかけたつもりだけど、ヒカルにはそういったものは通用しないらしく、しばらくぼんやりして、自分の世界に入っているようだった。
駅に着くと人の多さからかヒカルもようやくシャキッとしだした。ちょうどラッシュの時間で車内は混雑していて、足も踏まれるし押されるし、最悪だと思ったけど、ヒカルはさりげなく俺を壁際に立たせてから、自分は黙って揉みくちゃにされていた。
しんどいだろうに、涼しい顔で俺の前に立っているヒカルを見上げながら思っていたことは、まだ言っていない「ごめん」だった。視線がぶつかると、なあに、とヒカルが目だけで微笑んだ。
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