お隣さんがエッチなお裾分けばかりしてくる

サトー

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★ヒモパンツの日(4)

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「すっごい……! ユウイチさんわざわざこんな高いホテルを予約してくれたの!? 俺、全然知らなくて……」 

 ユウイチさんが連れていってくれたのはラブホテルじゃなくてラグジュアリーホテルだった。
 自分の財力では絶対に泊まれないような高級なホテルへ来てしまったということと、初めてセックスをした時もそうだったということ両方に動揺して部屋に通されてからも全然落ち着かない。
「テレビを見る?」「ビール飲む?」とユウイチさんは俺の事をいろいろと気遣ってくれるけど、ソファーの端に座っておとなしくしている事しか出来なかった。 



 天井が高い解放感のあるロビーは人がたくさんいるのに静かだった。みんな落ち着いた経済力のある大人ばかりで、誰も「スゴイスゴイ! お洒落だね!」なんてはしゃいだりなんかしない。 

「普段ちゃんとした服を着ている立派な大人が、休日にあえてカジュアルな服を着ている」という雰囲気を漂わせているユウイチさんと違って、どう見てもお金が無い学生にしか見えない自分がすごく場違いな気がする。ユウイチさんと二人で座ってチェックインに必要な手続きを済ませている間も恥ずかしくてたまらなかった。 

「恥ずかしい……。しばらくは部屋から出たくない……」 
「どうして? そんな気を遣う程、ここは高級じゃないよ。もっとリラックスしたらいいのに」 
「無理です……! ユウイチさんは、こういう所によく来るの?」 
「来ないよ。マナトと一緒だから来たいと思っただけ」 
「そうなの……? 本当に?」 

 そんなふうに言われたらなんだか嬉しくなってしまう。「へへ……」とだらしなく笑うと、ユウイチさんもちょっとだけ微笑んでから俺の側へ腰かけた。  

「ベッドで横になって休んでもいいんだよ」 
「うーん……。でも、汗をかいてるから……。シャワーを浴びなきゃ……」 

 部屋の中は涼しいけれど、汗の匂いを誤魔化すようにTシャツの襟ぐりを摘まんでパタパタと風を送り込んだ。
 シャワーを浴びてサッパリしたい。パンツだって早く替えなきゃ……と思った瞬間、自分がビキニパンツを脱いだ後、何に履き替えるのかを思い出してハッとした。 

「ユウイチさん、あの、俺……」  

 履き替えた後は、何をするのかもちゃんとわかっている。まだ夕方にもなっていないのに、と急にソワソワし始めた俺を不審に感じたのか「どうしたの」とユウイチさんが距離を詰めてくる。 

「あの、あまり近くに寄っちゃダメです……。汗をかいているから」 
「マナトからは良い匂いしかしないよ……」
「ひゃっ……! だ、ダメ、恥ずかしい……」 

 元々端の方に座っていたせいで、じりじりと近付いて来るユウイチさんに簡単に捕まえられてしまった。大きな体にすっぽりと包まれて、クンクンとうなじの匂いを嗅がれる。やめてください、といくら固い胸を押してもユウイチさんはビクともしない。 

 本気で暴れたら逃げられるかもしれなかった。だけど、背中や尻を撫で回してくる大きな手と、首元を掠めるユウイチさんの荒い呼吸がくすぐったくて、体からくたりと力が抜ける。 

「ユウイチさん、俺……。紐みたいなパンツを買ったって言ったけど、正確には……紐で横を結ぶパンツを買ったんです……。期待外れだったらごめんなさい、本当に紐みたいなパンツは恥ずかしくて買えなかった……」
「なんだ、そんなこと気にしなくていいのに」

 ユウイチさんをガッカリさせてしまったらどうしようって、ずっと心配していたから「なんだ」って笑ってもらえて安心出来た。「可愛い。マナト」と火照った頬に何度も口づけられる。顔だけじゃなくて、体も熱い。いつまで経ってもしっくりこないビキニはずいぶん窮屈で苦しい。

「……新しく買ったパンツを履いたマナトが見たいな」
「……はい」
「それから……シャワーで脱いでしまう前にビキニパンツ姿も少しだけ拝みたいな……」
「え……」
 
 汚れが直接目に見えるわけではないけど、汗をたくさんかいた体を晒すのは恥ずかしい。
 でも……、いつだっていっぱい愛して大切にしてくれるユウイチさんの気持ちにはなるべく応えてあげたい。俺だってユウイチさんとのセックスを本当に大切だと思っているからだ。

「す、少しだけ。本当に少しだけなら……」

「大丈夫、見るだけだよ」とユウイチさんに肩を抱かれながらバスルームへ向かう。
 いつもセックスの前はコソコソと準備をするから、こんなふうにユウイチさんにお風呂へ連れていかれるのは珍しい。それだけで、俺はもうすごくすごく緊張してしまっていた。



 バスルームと洗面所が向かい合わせになっていて、その間が脱衣スペースになっているようだった。
 ユウイチさんに全部見られながら、電気はつけたままで着ているものを脱いだ。汗でTシャツが湿っていて、絶対嫌な臭いがしたに決まっている、と耳まで熱くなった。
 ビキニパンツの食い込みを直してから、おそるおそるユウイチさんと向き合った。

「これで、いいですか……?」

 ユウイチさんは食い入るように俺の体を見つめた後、深い深いため息をついた。

「なんてことだ……」
「すごく、恥ずかしい……。ビキニ、全然似合ってないのに……」
「綺麗な体をしてる……。好きだよ、マナト……」

 ぎゅうっと抱き締められると、ユウイチさんの硬いモノが当たる。触れてもいないのに、こんなふうになってしまったの、とビックリしてしまうくらい、大きい。
 俺は同性であるユウイチさんの裸を見ても、「ユウイチさんの裸だ」「鍛えてるんだなあ」「……すっごく大きい」と感じる程度だ。
 セックスを意識してドキッとすることはあるけど、ユウイチさんの裸を見ただけですごくすごく興奮出来るかと言われれば、実は自信が無かったりする。

 男の人が好きだというユウイチさんは、俺の裸を見ると興奮するし、ちゃんと体も反応する。好きあっているのに、どうしてもわかってあげられない部分が自分とユウイチさんの間にあることがなんだか切ない。
 仕方がないことなんだろうけど、じゃあ俺に出来ることはなんだろう、とユウイチさんに抱き締められながら考えを巡らせた。


「ユウイチさん、俺の体、見て……」 

 自信なんか全然無いけれど、そっと体を離してから、手で隠したり、もじもじと猫背になったりせずに、真っ直ぐ立ってユウイチさんに自分の体を見せた。
 乳首も、ビキニパンツの中で膨らみかけている性器も、何もかもを舐めるようにじっとりと観察されている。時々、ユウイチさんの指が乳首や腹、鼠径部といったきわどい場所を掠めていく。

「んんっ……、くすぐったいよ……」
「可愛い……。こんなエッチなパンツを履いて、デートをしていたなんて」
「ひ……、いや、乳首やだあ……」

 もどかしい刺激で体がムズムズして苦しい。ユウイチさんから、洗面台に手をついてお尻を突き出すよう促される。ぼんやりしつつある頭では抵抗する理由が見つけきれなくて、素直に従った。

「おっぱいで気持ちよくなってる時の顔を少しでいいから、マナトも鏡で見てごらん」
「いやっ……! やだあっ……」

 自分が乳首で感じている時の顔なんて絶対に見たくなんかない。それなのに、身を捩って抵抗する俺の体を片腕でしっかりと捕まえてから、ユウイチさんはもう片方の手で俺の乳首を弄んだ。突き出したお尻には勃起した性器がぐりぐりと押し付けられる。

「あっ、ああっ……やだっ、乳首だめっ……」
「ほんの少しでいいから……」
「うう……」

 嫌だったけど好奇心に負けて少しだけ目を開けた。ピカピカの鏡にはとろけそうなだらしない顔をしている自分が映っている。
 恥ずかしい、それなのに、今にも爆発しそうなくらい性器には熱が集まっている。俺はこんな恥ずかしいことをされて感じるようになってしまったんだ、と思って顔を伏せると乳首をきゅうっと摘ままれた。

「あ、んっ……やだあ、おっぱいいやだあ……」

 尻にはユウイチさんのモノが服越しに何度も擦り付けられる。絶対ありえないことだけど、ここまでエッチな事をされると「このままここでされちゃうのかな……?」と体がゾクゾクする。

「あの、これ以上はダメです……。準備をしてくるから、少しだけ待っててもらえませんか……?」 

 雰囲気に流されてされるがままになっていた俺が、ようやくストップを言えたのは、ユウイチさんの手でパンツがずり下ろされそうになってからだった。



 紐のついたパンツは、履いているだけでとても心細くなった。
 キツく結んだとしてもすぐにほどけてしまいそうな細い紐に、透けている生地。ユウイチさんは「ぎゅーっと結んでいるのが可愛い」とスベスベした指で、パンツのサイドに付いているリボンを摘まんで引っ張った。

「うう……」

 恥ずかしいけど、四つん這いになったり、エム字に開脚したりしてユウイチさんからのリクエストに応えようと頑張った。一度も、「セックスしたい」「入れたい」とは口にせずに「エッチなパンツを履いたマナトが見たい」としか言わないユウイチさんは、俺の事を気遣ってくれているような気がしたからだ。
 だから、あえて挑発するようにエッチな格好をして、ユウイチさんのことを誘った。

「ね、ユウイチさん、パンツ取って……」
「ん? どうして……? こんなに似合っているのに?」
「んっ……、んうっ……!」
 
 四つん這いのまま下着の上から性器を扱かれて、唇を塞がれる。ペロペロと口の中を舐め回されて、唾液がどんどん溢れてくるのに、ユウイチさんに残らず啜られる。
 気持ちいい。腰がひくひくと揺れているのに、パンツはいつまでたっても脱がせてもらえない。
 パンツの紐をほどいて、そして早くナカまで来て欲しい……。身も心もちゃんとユウイチさんと一つになりたい。
 触れられてもいない穴がきゅうっと締まって、気持ちよくて切なくて目に涙が滲む。必死で舌を伸ばして、ユウイチさんを求めた。

「ユウイチさん……、パンツ取って? ユウイチさんだけ特別だから、パンツを取って、それで……。俺の全部を見て……」

 こんな恥ずかしいおねだりをするつもりなんて無かったのに、欲求に抗えないままユウイチさんへ正直な気持ちを伝えた。


 今日は痛かったとしても最後まで出来そう……と思っていたのに、ユウイチさんは丁寧に俺の事を抱いた。紐を片方だけ外したパンツを左足に引っ掻けながら、俺はユウイチさんを夢中で求めた。

 今からナカに入ってくるんだ、ということを俺に意識させないようにしているのか、指でほぐす時はフェラで気持ちよくしてくれたし、ほぐれたからといって、すぐに入れようとはしないで、「おいで」と体を起こした後に抱っこをしてくれた。

 向かい合う格好で乳首を吸われながら、ユウイチさんの体にしがみつく。散々触られたり、舐められたり、吸われたりした乳首は何もしなくてもじんじんしていたけれど、構わなかった。「おっぱい、もっとして」と甘えた声でユウイチさんに乳首を差し出し、ちゅう、と強く吸われるたびに俺は体をのけ反らせた。



「……おいで。少しだけくっつこう」
「はい……」

 やっぱりユウイチさんは、入れるよ、とは言わなかった。怖い、とは感じない。今日はそうするのが二人にとって自然な事だと感じられたから、ユウイチさんに身を任せていられる。
 ユウイチさんは仰向けに寝かせた俺に覆い被さって、慎重に、だけどスムーズにナカへと入ってきた。繋がっている部分がすごく熱い。ユウイチさんの大きな性器に隙間なくみっちりと自分のナカが埋め尽くされる。お腹が苦しくて、動けない。でも、幸せだった。

 何も言葉は交わさずにキツく抱き締めあう。
 こんなふうに深く繋がれるセックスだけが正解じゃないけど、でも、やっぱり好き、と思えるような、そんな瞬間だった。



「あっ、あっ、あっ……気持ちいい、ユウイチさん、好き、好き……」

 お腹の方を擦るようにして早く小刻みに突かれて、俺はみっともなく喘ぎ続けた。
 ユウイチさんが「好きだよ」と何度もキスをしてくれるのに、くぐもった声が漏れてしまう。ユウイチさんの大きな手で性器を扱かれて、「早くイキたい」しか考えられなくなる。
 抜き合いで触ってもらえるだけでも充分気持ちいいけれど、ナカをいっぱいにされた状態で扱かれると、頭が真っ白になりそうなくらい気持ちがいい。繋がっている所からじわじわと快感が広がって、それが弾ける直前はいつも涙が出そうになる。

「あっ……! いく、いっちゃう……気持ちいい、もういかせてよお……」 

 じたばたと暴れる体に、ユウイチさんがのしかかってくる。弱い場所をピンポイントで突かれながら、ユウイチさんに思いきりしがみつく。強すぎる快感から逃れられず、目からは涙が溢れた。
 切なくて、苦しくて、気持ちいい。
 心も体も全部をユウイチさんに許してしまった俺にはもう何も残っていない。何も無いのに、ユウイチさんに何もかもをあげたい。そんな事を考えながら、ぎゅっとシーツを握り締めた。



 終わった後、「もう起きられない」とぐったりしてしまった俺は、ユウイチさんに面倒を見てもらって、清潔な状態でベッドに体を横たえることが出来た。

 夕食は部屋でとろうか、とユウイチさんが何か言っているのに「はい、はい」と適当に返事をしてから目を閉じる。
 セックスは俺とユウイチさんにとってすごく大切なものだ、だってすごく気持ちいい……、それに、いっぱい愛されてるって感じることが出来る。
 でも、上手くセックスすることだけじゃなくて、俺とユウイチさんの心も体も、セックスにまつわる全部が大切なんだなって、改めて感じられた。

「ユウイチさん、好き……大好き……」
 
  大きな手に優しく頭を撫でられる。眠くて目は開けられないけれど「マナトが大好きだよ」というユウイチさんの思いが確かに伝わってきた。【おわり】
 
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