お隣さんがエッチなお裾分けばかりしてくる

サトー

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★お隣さん(2)

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 パンツをお裾分けして欲しい、と頼まれたらユウイチさんはきっと大ハリキリでいやらしいパンツを持ってくるだろうと思っていた。

 だから、「いいパンツがあるよ」と言われた時も、ユウイチさんの考える「いいパンツ」って、絶対布の面積が小さいとか、お尻の部分が丸見えとか、そういうやつだ……、と思いながら、黙ってパンツが収納されているクローゼットの前まで着いていった。

 エッチなパンツを履くのはいまだに恥ずかしいし慣れない。俺にはちっとも似合っていないし、「履き心地が変だ……」とソワソワして落ち着かなくなる。だから、ドキドキしながら待っていたのに、ユウイチさんから「はい、マナトにあげる」と渡されたパンツを見た時には、すごくビックリしてしまった。


「えっ! ……このパンツをくれるんですか?」

 何回確認しても普通のパンツだった。自分では買ったことがない、有名ブランドの黒いローライズボクサー。ウエストバンドにあしらわれたブランドロゴがシンプルだけど、オシャレでかっこいい。
 いつも、ユウイチさんから「派手だ」といじられるような柄物ばかりを履いているせいか、大人っぽいパンツがすごく新鮮に感じられた。

「こんなに高いパンツ、貰ってもいいんですか?」
「……いいよ。ただ、あげる代わりにこのパンツを身に付けたところを見せてもらっても?」
「いいですよ」

 今まで見せてきた恥ずかしい姿に比べたら、それくらいどうってことなかった。
 こんな普通のパンツを履いた姿で、興奮するのかな? ただ、サイズが合うか見て確認したいだけなんだろうか? と疑問が浮かんだものの、「先に、シャワーを使うから待ってて」と風呂場に向かうユウイチさんに「はい」と返事をした。

 ユウイチさんがシャワーを浴びて出てくるまでの間、「エッチな下着を俺に履かせることに対して、もう充分満足してくれたのかなあ」と呑気に考えていた。



「……お風呂、ありがとうございました」

 交代で風呂に入ってから、出てくるまでにずいぶん時間がかかってしまったけど、ユウイチさんはちゃんと待っててくれた。
「おいで」と呼ばれたから、ベッドに並んで腰掛けた。もう何度もしているのに、これからセックスする、と思うと未だに緊張してしまう。

「髪、乾かした?」
「うん。待たせてしまってすみません」
「いいよ。……少し休む?」
「ううん……。大丈夫」

 平気だと言ったのに、ユウイチさんは俺を抱き寄せた後、しばらくの間、ただ背中を擦ってくれた。

「パンツは気に入った?」
「うんっ! かっこいいし、履き心地もいいし、ありがとう……」

 やっぱり有名ブランドの高いパンツ、というだけあってストレッチの効いた履き心地には「おおっ!」と感動してしまった。
 身に付けている俺の体も、いつもより少しはかっこよく見えるかも……? という理由で、高級感のあるシンプルで大人っぽいデザインもすっかり気に入った。

「……ユウイチさん、気を遣ってくれてありがとう」

「もうマナトも大人なんだから、いいパンツを履いた方がいいよ」という理由で、俺に高いパンツをくれたんだと、思っていた。けれど、ユウイチさんは「なんのこと?」と不思議そうな顔をしている。どうかしたら、俺にパンツをあげたことすら忘れているんじゃないかと思えた。

「だって、大人の身だしなみとかそういう意味で高いパンツをくれたんですよね?」
「いや、全然」
「えっ」
「実は、……実は、俺は……」

 ユウイチさんは続きをなかなか話そうとはしなかった。
 そそくさと、ユウイチさんから体を離してから、様子を窺ってみる。いつもと変わらない、何を考えているのかよくわからない顔つきではあるものの、どことなく照れ臭そうにしていた。
 今まで散々、「股間を踏んで貰えたら、残業の疲れが一瞬で吹き飛ぶだろうなあ」とか「好きな食べ物? ……マナトの食べ残し」といった怖くて気持ち悪いことを平気で言ってきたユウイチさんが口にするのを躊躇するなんて、よっぽど大変なことを考えているに決まっている。何を言うつもりなんだろう、と待っているだけで、ハラハラしてしまう。

「実は、ついにパンツのことで一周してしまったんだ……」
「……はい?」
「一周だよ。一周。今まで、マナトにエロい下着を履かせることで頭がいっぱいだったのに、最近ついに、別の領域に達してしまった……」
「……大丈夫ですか? 泥酔してます?」

 何度言われても「パンツのことで一周」の意味がわからなかった。どういう意味か気になるか、と聞かれたら頷きたくなるけど、たぶん高尚過ぎて俺には到底理解出来ないことを言われそうな気がした。

「とりあえず、良かったですね……?」

 こう答えるのが正解なのかはわからない。一周イコール極めた、という発想で、一応そう言ってはみたもののユウイチさんがどんな反応を返してくるのか、読めなかった。

「うん……? うん、良かったよ。マナトもパンツを気に入ったみたいだから余計に」
「うあっ……ちょっと、あの、くすぐったいです……」
「この下に履いてる?」
「うん……」

 さわさわと太ももを撫で回される。まだ裸にされたわけじゃないし、くすぐったいのも我慢出来る。けれど、じっとりとした全身を舐め回すような視線だけは無視出来なかった。

「あの、あんまり見られると、気まずいです……」
「可愛いなあ……どうして、マナトはいつもそういう顔で『食べて?』って誘惑してくる?」
「えっ…? 俺ですか? ……んっ、そんな顔してない……」

 太ももを触る手つきがどんどんいやらしくなって、すごくくすぐったい。特に内腿のきわどい所を指先で撫で回されると、我慢出来なくなる。
 顔を近付けてきたユウイチさんの呼吸が荒い。「パンツ見せてよ」と囁かれたのに、ぼうっとした頭で頷くと、着ているものを脱ぐように言われた。

「ここに立って、ゆっくり一枚一枚脱いでくれる? パンツだけを身に付けている所が見たいから」
「……うん」

 体を売っていた時も、こうやって服の脱ぎ方やパンツの見せ方に対して、いろいろ細かく注文を付けられたのを思い出す。ユウイチさんは、きっと俺が服を脱いでいる間は「どうやって食べようか?」といろいろと考えを巡らせているに違いなかった。

「……よく似合ってるよ」
「うん……」

 どんないやらしいことを言われるんだろう、と思っていたから、「大人っぽくてかっこいい」とか「なんでも似合うな」とか、普通に褒められて嬉しかった。
 えへ、と笑って照れ臭いのを誤魔化していると、「ベッドの上でもっとよく見せて」と言われた。そろそろとベッドに上がると、ユウイチさんの足の間に座るように促される。後ろから抱き締められるようにして身体を密着させられた。
 たまに、こういう体勢でテレビを見たり、湯船に浸かったりするけど、今日は自分だけが服を着ていないから少し恥ずかしかった。

「履いてるところをよく見せて」
「うん……」
「……太ももは引き締まって見えるのに、性器は大きく見せる。はー、よく考えられてるな……」

 ユウイチさんはパンツの生地やデザイン性に感心したようで、深々とため息をついた。

「黒一色で、ほとんど露出もないのに、このエロさを出してくるなんて、やっぱり有名ブランドは次元が違う……」
「あの……」
「ちょっとよく見えないから、悪いけど足を開いてもらっても?」
「えっ!? ……あっ、ちょっと……」

 グイ、と足をエム字に開脚させられた。顔は見えないけど、確かめなくたってユウイチさんの視線がどこに集中しているかわかってしまって、一気に頬と耳が熱くなる。さっきみたいに服の上からじゃなくて、今度は直接内腿を撫で回された。

「……エロく魅せるためのパンツより、こういうパンツの方が勝負パンツ感が出て、かえって生々しくていいな」
「えっ!? そうなんですか……?」

 きっと「パンツのことで一周」というのは、「俺はど直球でエロいパンツじゃなくて、普通のボクサーにもエロさを見出だせるようになったけど?」というユウイチさんのよくわからない新しい趣味に決まっている。

 今日だって、「高いパンツを履いて得意気になっているマナトにセクハラをしたい」とか「あえて、脱がさない状態で射精させてパンツを汚すのもいい」とか、そういうつもりに違いなかった。自分の考えが俺にバレているとは思っていないであろうユウイチさんは、「何百枚でもプレゼントして履かせたいな」とブツブツ呟いている。

「そういえば……初めてホテルに行った時、マナトが下ろしたてのパンツを履いてきたの……。あれが、すごく可愛かった」
「覚えてるんですか?」
「覚えてるよ。自分のために、パンツを選んで履いてきてもらえるとこんなに嬉しいのかって、ちょっとビックリした」

 ありがとう、とぎゅっと抱き締められる。
そんな些細なことを覚えているんだ、ってビックリしたし嬉しいけど、初めてホテルに行った日は、ユウイチさんの前で大泣きしてしまったから、思い出すと複雑な気持ちになった。

「……なんであの時、手を縛ったんですか?」

 手を縛られたのも、あの日が初めてだった。散々焦らされたのと、どれだけ「好きだ」って言われても、ユウイチさんは本当は俺のことなんか好きじゃないと思うと苦しくて、それでわんわん泣いてしまって、台無しにしてしまった。

「……快楽責めがしたくて。まさか、泣くとは思わなかった」

 ごめん、とユウイチさんに謝られる。あんなことするなんて、ひどいよ、と責め立てるつもりで言ったわけじゃないから、後ろを振り返って「違います!」と否定した。

「あの時泣いたのは……、嫌だったからじゃないよ。ユウイチさんが、そのうち俺じゃない、別の人と付き合うんだって思ったら、悲しくなってしまって……」

 ユウイチさんは優しいから「泣くほど嫌がられることをしてしまった」と俺の気持ちを誤解してしまって、ずっと気にしていたようだった。

「あのっ! ユウイチさん、俺、全然気にしてないよ! あの時は、張り切りすぎてちょっと無理しちゃいました……」

 本当に大丈夫です! と言うと、ユウイチさんもちょっと笑った。
初めて外でデートをした日の思い出が、二人にとって悲しいままなのは残念だ。だから、さっきユウイチさんから「ごめん」って言われた時に思ったのは、だいぶ時間が開いちゃったけど、二人でもう一回やり直せないだろうか、ということだった。
 お互いの気持ちを確かめることも、ちゃんとセックス出来るようになるのもずいぶん時間がかかってしまったけど……、同じように誤解していることや苦しい記憶は無くしていきたかった。

「ユウイチさん、良かったら、きょ、今日、してみる……? 快楽責め、ユウイチさんと、もう一回してみたい……」
「……な、なんだって」
「手も縛って、大丈夫です……」
「……暴力だ」
「えっ!?」
「視覚と聴覚、両方への暴力だ……」

 本当は快楽責めを自分からお願いした瞬間に、すごく恥ずかしくなってしまって、「今のは嘘です」と言いたかった。
 けれど、ユウイチさんが「なんで、いつもいつも、ぽやーっとした柔らかい雰囲気でニコニコしながら股間をぶん殴るようなことを平気でしてくる? んっ!? もしかして、マナトはそういう性癖なのか?」と言いながら、頭を抱えて悶絶しているのがおかしくて、それで、大笑いしてしまった。

 ユウイチさんは「ちょっと、今のでだいぶダメージを負ったから、今日は道具を使ってみてマナトが気に入るかどうか確かめる……快楽責めの練習にしよう」と提案してくれた。

 ユウイチさんはもしかしたら、「無理をさせるのが怖い」と思ったかもしれない。けれど、「そんなことしなくていい」とバッサリ断られたら、きっと俺は自分だけが張り切ってしまったことを恥ずかしく感じていただろうから「練習しよう」と言ってもらえたのは嬉しかった。
 だから、気恥ずかしいのを堪えて、小声ではあるけどちゃんと「いろいろ教えてください」とユウイチさんにお願いした。

 いつもみたいに本当に嫌な時は「ストップ」で止める、ということも忘れずに約束してもらえた。だから、ドキドキはしていたけど、怖い、とは感じなかった。



「んっ、く、ううっ……だめ、ちくび、やだっ……」

 快楽責めで道具を使うためには準備が必要だ、という理由で、ひたすら乳首を舐め回されている。
 ピチャピチャと音をたてて、ユウイチさんの舌先が何度も下から上に往復する。舐めたり、キスするみたいに唇で触れたり、指の腹で撫でたりはしてくれるけど、絶対に吸ったり摘まんだりはしてくれない。もどかしくって、焦れったいけど、縛られた手は頭の上で押さえ付けられているから、足をモゾモゾ動かすくらいしか出来ない。

「……パンツと体つきは大人なのに、ここだけは小さいのが可愛いな」
「あっ……!」

 両方の乳首を指の先で弾かれる。乳首と大人っぽいパンツの組み合わせで興奮するなんて、やっぱり俺の理解出来る範疇を越えていた。
 乳首くすぐったい、とイヤイヤしても、手の動きは止めてもらえるどころか、「乳首だけで、こんなに感じるなんて可愛すぎる」と、ぐにぐに押し潰された。ようやく強い刺激が与えられると、それだけでビクンと体が大袈裟に反応する。

「や、だめっ、乳首、きもちいい……」
「可愛いなあ……この後、道具で気持ちよくしたら、もっと可愛いんだろうなあ……」

 ちょっとだけ乳首の感度をあげる道具を使おう、とユウイチさんから提案されて、なんの道具なのかはわからないまま、必死で頷いた。

 ベッドの側にあるクローゼットからユウイチさんは、ゴソゴソと道具をいくつか取り出した。ベッドに戻ってきてからすぐに、「電マって抵抗ある?」と聞かれて、ボッと顔が熱くなった。

「……たぶん、大丈夫だと思います」

 思っていたよりも、か細い声で返事をしてしまった。電マがなんなのかは知っているし、自分では買ったことも使ったことも無いけど、そういう動画で女の人の体に当てているのを見たことがあるから、何をされるのかだいたいわかってしまう。

「……それ、乳首にあてるの?」
「当てる前に、乳首にリングを付けても?」
「え……。リングってなんですか?」
「……乳首をポンプで吸引して勃起させたところに、ゴムで出来たリングをはめるんだけど……知らない? 怖い?」
「ポンプ……?」

 そんなことをして人間の乳首は大丈夫なんだろうか? と唾液で濡れている自分の胸元を見ながら心細い気持ちになった。
「怖いです」と言うか迷ったけど、たぶん、ユウイチさんが寝る間も惜しんで口コミを読んだうえで買ったものだろうから、「……一応、着けてみる」とオーケーすることにした。

 ポンプはスポイトを短くしたようなシンプルな作りだった。ユウイチさんは「初めてだから」とものすごく真剣な顔をしていた。
 まだ乳首を吸引されるということも、リングを付けるということも、どういうことなのかよくわからない。だから、中途半端な刺激で焦らされ続けた乳首に何をされるのか、見ていることしか出来なかった。


「あっ! ……いやっ……! まって、なにこれ……? やだあっ……!」

 穴の開いた部分を乳首に当てて、空気を抜いた状態のスポイト部分から、ユウイチさんがそうっと手を離すと、「これだけのことで、なんで?」と言いたくなるほどの強い刺激にビックリして大きな声が出てしまった。

「マナト? 痛い?」
「んんっ、痛くない……」
「もう片方もつけるよ」
「あっ、ああっ! だめっ、きもちい……」

 たぶん、いきなり使われていたら「痛い!」と声をあげていたかもしれない。
 けれど、ずっと「舐めるだけじゃなくて、吸って欲しい。もっと強く触って欲しい」と思っていたせいなのか、ポンプで両方の乳首を痛いくらいに強く吸い上げられているのに、だらしない声で喘ぐのをやめられなかった。

「おっぱい気持ちいい……?」
「ふ、あっ、きもちいい……! きもちいよ……」

 両方の乳首を同時に吸われるのは初めてで、片方ずつされるよりもずっと気持ちがいい。
「エッチで可愛いよ。少しでいいから、見てごらん」とユウイチさんからしつこく言われて、すごく恥ずかしかったけどポンプで吸い上げられてぷっくりと膨れた乳首を自分でも眺めた。
 ポンプを取る前に、吸引口のすぐ上に付けていたリングをユウイチさんの指先が器用に乳首に移動させる。ヤバイ、とすぐにわかった。
 吸引されて無理やり大きくなった乳首に、ゴムで出来たリングが食い込んでくる。敏感になった乳首がジンジンして気持ちいい。

「……マナト、見て。乳首、ぷくっと膨らんでる」
「いやだっ……! やだ、やだ、見ないで……」
「膨らんでも全然小さいけど……」
「う、あっ……、だめ、指、気持ちいい……」

 いや、と言いつつも、黒いゴム状のリングで締め上げられた乳首は、自分の体なのに、なんだかすごくいやらしく見えた。ユウイチさんから「小さい」と言われる乳首は、舐めたり吸われたりされても、いつもならほんの少し固くなるくらいだった。だから、膨らんだ状態なんて直視したくなんかないのに、なぜか目が離せなくなる。

「……マナト、こういう時、いつもやってるお願いは?」
「んっ、やだあ、言いたくない……」
「大丈夫大丈夫。試しに言ってみよう……」
「んんっ、あっ、言うからっ、だめ、手、止めて……。俺の、おっぱいを……あ、んっ、ペロペロしてください……」

 恥ずかしくて絶対に言いたくなかったのに、ユウイチさんの指で乳首を弾かれて、気持ちよくて我慢出来なくて、結局ねだってしまった。

「あっ、あっ、それ気持ちいい……いやあっ、気持ちいい……!」

 恥ずかしい、とか、乳首の形は元に戻るのかな、とか、そんなことがどうでもよく感じられるくらい、舐めたり吸ったりされると、気持ちいい。快楽責めってこういうこと……? と思っていると、体をゴロリと横向きにされた。
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