お隣さんがパンツを見せろと言うからプロ意識を持ってそれに応える

サトー

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初体験後の朝

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 天井に大きなプロペラが付いている部屋で寝泊まりするのは初めてだった。部屋に入ってすぐに、「あっ! お金持ちの家にあるやつだ……!」という好奇心でスイッチをオンにした。
 セックスが終わった後は、部屋がすごく暑く感じられたけど、ゆっくり回るプロペラの効果なのか心地いい空調のおかげでぐっすり眠れた。

 ホテルの大きなベッドの上で、背中越しに生田さんの気配を感じながら横になっていると、「本当に昨日、生田さんと初めてセックスをしちゃったんだ」という実感がじわじわとこみ上げてきて、なんだか照れ臭い。
 慣れない行為を怖がってしまってあまり上手に出来なかったし、生田さんに騙されてただの栄養ドリンクを危ない薬だと信じ込んでしまったけれど、「大好き」「またしてください」って自分の気持ちはちゃんと伝えられたからいいのかな、とも思えた。

「……おはよう」

 もうとっくに起きているということに気付かれていたのか、鈴井さん、と生田さんから呼ばれる。ごめんなさい、なんだか気まずかったんです……、と心の中で言い訳をしながらゴソゴソと体の向きを変えて、ちゃんと生田さんと顔を合わせた。

「おはようございます……」

 家の前やゴミを捨てに行く時に朝の挨拶は今まで何度もしているけれど、セックスの翌朝に同じベッドでおはようを言い合うのはもちろん今日が初めてだった。
 動揺しているのが表情に出ているかもしれない気がして、布団の中に隠れてしまいたい。

「……体は平気?」
「はい」

 どこも痛い所は無かったし、気分だって悪くはない。なんなら、最高の寝心地のベッドで普段以上に熟睡出来た気がする。だけど、やっぱり恥ずかしくて、返事をするだけで精一杯だった。

「良かった……」

 心の底から安心したような声で呟いた後、生田さんは大きな手で優しく俺の髪を撫でた。その手つきから、本当に俺の事を心配してくれていたんだってわかった。
 本当に大丈夫です、ということが伝わるようモゾモゾと生田さんへ近付いて、ぴったりとくっついた。

「……なんだか、いまだに信じられないな」
「へえ……?」

 生田さんはポツポツと昨日の夜、俺が寝た後の事を話してくれた。
 疲れてしまった俺がグーグー眠っているのを眺めていたら、「本当にこんな可愛い、優しい子が自分なんかと……?」と胸がいっぱいになってしまって、ずいぶん遅い時間まで一人で起きていたのだと言う。それくらい幸せだった、と噛み締めるように言われて、なんだか俺までじーんとしてしまう。

「全部、本当の事です。そんなふうに言ってもらえて、すごく嬉しい……」

 昨日の夜も、丁寧に俺の事を愛してくれたのを思い出して、なんだか生田さんのことを「愛おしい」と感じてしまう。同じベッドで横になっているだけですごく幸せだった。

「……でも、俺も、最後まで出来たのが、なんだか信じられないな」

 ぽつりと呟いた俺の言葉に、生田さんはすぐに反応して、「たくさん頑張ってくれてありがとう」と俺の頭を撫でてくれた。 生田さんと出会うまで、まさか自分がアナルセックスをするなんて想像したことなんか無かったし、生田さんの大きな性器を挿入されたら「俺の体が壊れる」と本気で怯えていたのに、時間はかかってしまったけどちゃんと出来た。
スゴイな、としみじみ思いながら布団の上から自分の下腹部にそっと手をやった。

「あんなに大きい生田さんのが入っちゃうなんて、スゴイですよね。俺のお腹のここまで、届いてた……」

 もちろん、挿入された性器がどうなっているのかなんて見えないから、実際のところどこまで届いたのかなんてわからない。だけど、生田さんの……はすごく大きいからなんとか全部が入った時には、お腹がいっぱい、苦しい、と感じる程だった。

「生田さんってコンドームも大きいサイズを使ってるんですよね?」
「……」
「やっぱり、ラブホテルの部屋に置いてあるコンドームだと、生田さんには絶対小さいですよね? サイズがわからなかったから生田さんのコンドームを、俺、準備出来なくて……」
「……」
「……生田さん? あれっ……?」

 結局何サイズのコンドームを使っているんですか、と聞こうとして、生田さんの顔を覗き込むと、なぜか固まってしまっていた。目は一点を見つめたまま、瞬き一つしないし、頬や唇だってピクリとも動かない。生田さんだけ時間が停止してしまっている……? と錯覚してしまうくらい、完全に硬直してしまっていた。

「生田さん……?」

 もしかしたら俺、すごく失礼な事を言ったのかも……と一気に不安になる。今まであまり考えないで「大きい」って口にしていたけど、生田さんはそう言われるのが嬉しくなかったのかもしれない。どうしよう、と無言でオロオロしていると生田さんが深いため息をつくのが聞こえた。

「……鈴井さん、そんな事を言われたら、朝からもう一回したくなってしまうよ」
「えっ!?」
「はあ……」

 なんだか疲れた顔でそう言った後、生田さんは俺の手を握ってきた。ぎゅ、っと掴んだ後、指と指を絡ませて、そのまま繋がれる。
 可愛すぎる、と呟く生田さんの手は大きくて温かい。工務店のアルバイトや学校の実習ですっかり荒れてしまっている俺の手と違って、スベスベしていた。

「すみません……」
「いいよ。というか謝る事じゃない」
「……あの、俺に、大きいって言われるの嫌だったりしますか?」
「……嫌じゃないよ。素直で可愛い」
「良かったあ……」

 怒らせてしまったわけじゃないんだってわかって、すごくホッとした。さすがに朝からもう一回……というのはちょっと厳しいけど、なんだかもっと触れ合っていたくて、自分から生田さんに抱きついた。

「えっ……? わあっ……!?」

 太ももにすごく大きくて硬い生田さんのモノが当たって、今度は俺が固まる番だった。

「鈴井さんが可愛い事を言うから……」
「ええ……」

 布団で隠れてしまっているから、直接は見えないけど、太ももに当たる感触に、こんなに大きいモノが俺の体に入っていたんだ、と顔が熱くなる。

「鈴井さん?」
「あの……」
「……ごめん、ビックリさせてしまったかな」

 生田さんはもう一度俺の頭を撫でた後、起き上がってから「抜いてくる」と堂々と宣言した。顔だけはキリッとしていて整っているけど、俺を真っ直ぐ見つめてくる視線だけで「鈴井さんをオカズにして」という強い意思が読み取れて、気まずかった。

 夕べの自分が生田さんの頭の中でオカズにされているのかなー、と思うとなんだか落ち着かなくて、ベッドの上で足をもぞもぞと動かした。
 布団から抜け出てみたけれど、まだ、生田さんのが入ってきた時の感覚を覚えているからなのか、いつまでも俺の体は落ち着きそうになかった。


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