お隣さんがパンツを見せろと言うからプロ意識を持ってそれに応える

サトー

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★オカズ

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「……鈴井さんって普段は何をオカズにしてるの?」



「……卵か肉が多いですかね」と、とぼけたいところだったけど、質問される前に「俺の今のオカズは鈴井さんだけど」と前置きが入っているからそうはいかなかった。

つい、さっきまで「いらっしゃい」と相変わらず滅多に会わない親戚の人みたいにお菓子とジュースでもてなしてくれて、他愛もない話をしていたというのに。



「……な、えっ?!どうして、そんなこと聞くんですか?!」
「いや、鈴井さんみたいなストレートの男の人は何をオカズにしているんだろうと思って……」
「嘘だっ!」
「えっ」

俺が急に大声を出したから、珍しく生田さんはちょっと怯んでいた。

「そんなことを聞いてくるなんて……壁越しに俺の部屋の音を聞いたんでしょ?!」
「鈴井さん、どう考えても聞こえるわけないよ……俺が鈴井さんのことを思いながらしょっちゅう抜いてるのだってわかんないでしょ?」
「で、でも……」

「鈴井さん、どうしたの、そんなに怒って」と生田さんは不思議そうな顔をしていた。
……最近、自分でも「こんなことをして、最近の俺ってなんか変?!」と思う出来事があって…しかもそれがオナニーのオカズのことだったから、生田さんからの質問にすごく動揺してしまった。



話はちょうど十日前、生田さんのオナニーしてる姿を見た後、雑談だけして帰らされた日に遡る。



シャワーを浴びてから、いつものように生田さんのことについて、ルーズリーフに記録した。
今日はオナニーを見せられただけだから、いつもよりもずっと書くことが少ない。
とりあえず、生田さんは俺のことを聞きたがっていたから、何か面白い話題を考えておかないとな、と思いつつ「次呼ばれるのはいつだろう」とルーズリーフを閉じた。

ベッドに横になって、今日は触られなかった、こういう日もあるんだなと悶々としていた。
この先も、俺の想像を越えるようなことをリクエストされるかもしれないし、あらゆる事態に対応出来るようにならないとな、と考えつつ、俺は自分の下半身にそっと手を伸ばした。

次はいつ生田さんに呼ばれるか分からない。今日は家にいるのにも関わらず仕事の電話をしていたし、もしかしたら忙しい時期なのかもしれなかった。
この辺りで一度サクッと抜いておくか…と判断し、スマホでオカズになりそうな動画を適当に探した。

さっさと済ませて眠りたいし、新規開拓はせずに、前に一度見たことのある動画を再生することにした。
前半のインタビュー部分をすっ飛ばすと、金髪のショートヘアーが印象的な女優の胸が画面に映し出される。

乳首を舌と指で責められている所だった。自分の性器が少しずつ固くなっていく。
気持ち良さそうに悶えている女優の顔を眺めながら、パンツの中に手を入れて、熱くなっている部分を確かめるようにして、ゆっくり上下に扱く。

女優はひたすら乳首を摘ままれていて、なんだか泣きそうな顔で「気持ちいい」と訴えている。
このまま性器に刺激を与えていれば射精出来るはずなのに、映像を見ているうちにどうしても我慢が出来なくて、俺はTシャツの下から左手を突っ込んで乳首に手を伸ばした。

「んんっ…!」

駄目だ、と慌てて歯を食い縛る。聞こえはしないだろうけど、隣の部屋には生田さんがいる。
ここに暮らし始めてから、こんなふうに隣人の存在を意識したことは無かった。なんだか、後ろめたい気持ちになって、さっさと終わらせようと、性器を握る手の動きを早めた。

乳首を触る指先に力をこめると腰が浮いた。
違う、と首を振りたくなる。
強く触ると、なんとなく気持ちがいいような気もするけどなんだか物足りない。

側に転がってるスマホでは画面いっぱいに映った乳首が、男の舌で舐め回されている。ボーッとする頭で、「こんなふうに俺も乳首を吸われた」という記憶が頭を過って一気に顔が火照る。



アダルト動画で女の人の身体で興奮していたはずなのに、思い出したのは、はじめて生田さんに乳首を吸われた日のことだった。
両方の乳首を舐めたり吸ったりされた後、唾液で濡れている乳首をグリグリと押し潰された。
パンツには点々とシミが出来ているのに性器にはなかなか触れて貰えず、ひたすら乳首を責められ頭がおかしくなりそうだった。

「やだあ…!もうやめてえ……」
「……鈴井さん、大丈夫?」
「だいじょぶじゃない、もう触らないで……」

鈴井さん、ストップは?と困った顔で聞かれて、「そうだ、俺には助かる言葉があるんだった」ということを思い出した。

「ストップ、って言ってごらん」
「んん、ん、や……」

生田さんの手がゆっくり下に伸ばされる。
下着の上からゆるゆると性器を擦られて、自分から腰を上げて生田さんの手にグイと押し付けるような格好になってしまう。
はあ、はあ、という自分の荒い呼吸が耳障りだった。

鈴井さん、やめる?という生田さんの声が聞こえる。「ストップ」を言えばやめて貰えるけど、本当に自分がそうして欲しいのかが分からなかった。
もし、ストップと言ったら、生田さんの手も身体もスッと離れていってしまう。
本当にして欲しいのはそっちじゃなくて……

「……も、もう、いかせてください、お願いします……」

同じ男の人にこんなことを頼むなんて、俺はどうかしてる、と思いながらも止められなかった。
自分からパンツを脱いで、半泣きで「お願いします」と懇願したら生田さんはすぐに触ってくれた。
散々焦らされたせいで「んんっ、いくっ!ああ、ダメ……」とみっともない声をあげて、あっけなく射精してしまった。
「乳首でもすごく感じるんだね」と言われたことが強烈に印象に残っている。



その時のことを思い出して、結局一人で二回も抜いてしまった。頭の中で、生田さんの舌と手を想像しながら、性器を擦るのが止められなかった。




……と、正直に言うことは出来ず「……普通にアダルトビデオで抜きますよ」とだけ言った。動画を見ていたのは本当だから、嘘はついていない。

「……鈴井さん、そんなことであんなに動揺してたんだ。可愛い」
「はは……」
「……さっきも言ったけど大丈夫だよ。俺が鈴井さんの残り香で抜いてる音だってそっちの部屋には聞こえないのと同じで、鈴井さんの部屋の音なんて聞こえないよ。
それに、耳を澄ませたくらいで鈴井さんのオナニーしてる様子が聞こえるならとっくに聞いてる」
「待って!今、残り香とかなんかヤバイこと言ってましたよね?!」

冗談冗談、と笑って誤魔化されたけど絶対嘘だ。
俺って、そんなに匂いがするかな?と腕や服を嗅いで見たけど自分ではよく分からなかった。

「……どんな動画で抜いてる?」
「え……あの、よく見るのはこの女優さんです」

この間見た金髪の女優の名前をスマホで検索した後、画像を見せてあげたら「可愛い人だ」と生田さんも頷いていた。

「……教えてくれてありがとう。この女の子で抜く鈴井さんを俺はオカズにしようと思うよ」
「……結構です。というか、生田さんもこの人を可愛いとか思うんですか?」
「まあ……ゲイでも造形が優れてるかどうかはわかるよ」

……本当は生田さんとこの部屋でしたことを思い出しました、と言ったらどんな顔をするんだろう、と気になったけど言えなかった。
赤くなった頬を両手で押さえていると、「でも、やっぱり鈴井さんは特別可愛い」と生田さんに言われた。

「……造形の良い悪い、分かってないじゃないですか」
「え?わかるよ」
「……俺は可愛くないですよ」
「可愛いよ。顔がどうとかだけじゃなくて…いつも一生懸命、仕事をしてくれるから可愛い」
「そ、そうですか?それは、どうも……」

本当は仕事を褒められてすごく嬉しかったけど、ここで喜んだらプロっぽくないような気もして、澄ました顔を作るのに苦労した。

この後、なぜか生田さんに
「本当に鈴井さんは可愛いよ。
俺の預金も実家の土地もあげたっていいし、生命保険の受け取り人も鈴井さんにしてもいいって言ったら信じてくれる?」と迫られたから、
「わかりました!俺は可愛いです!分かったから、印鑑と通帳をしまってください!俺は!特別に可愛いです!」と必死で叫ぶことになった。

帰ってからルーズリーフに「謙遜のし過ぎは厳禁!実印と通帳を持ってきてしまう」としっかり記録した。



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