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5話 始まりの異世界4
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いや~どんな場所にも親切な人は
いるもんだなぁ。
ウィンクという女性がこのギルドを
後にして、しばらくの間俺は乾いた喉を
水で潤しながら、この世も捨てたもんじゃ
ないと感動していた。
それに、あのバビロンという青年も
態度や口は悪かったが、見ず知らずの
俺にお金を分け与えてくれた。
後で彼を探して、お礼を言って
おかなければならない。
しかし......あのウィンクさんが
言っていた事は本当なのだろうか。
「異世界か......」
確かに、ここは明らかに日本じゃない。
首を巡らせば、目には入るのは剣や銃を
携えた者ばかり。あんなもの身につけて
いれば、日本じゃ捕まる。それに、
髪や眼の色も日本人離れしていた。
かといって、外国にもこんな場所はない。
それに......俺はあの青年の剣が炎を
纏っているのを目撃した。あれは果たして
現代の科学で実現することが可能だろうか?
ここは俺のいた世界とは違う異世界......
信じがたいが......もしかしたら
本当にここは......
「......まさかな......」
馬鹿馬鹿しい。
そう思った矢先だった。
ウィンクさんがここで
話を聞いてみろと助言した、受付所が
視界に入った。
聞いてみないと始まらない。
彼女のその言葉を思いだし、立ち上がる。
そして、ゆっくりと受付所に立っていた
女性の人に声をかけた。
「あ、あの......」
「はい。なんでしょう?」
声をかけてみたものの、果たして何を
聞けばいいのやらと、おどおど
していると、それを見かねた受付の
女性が
「ギルドに来られるのは初めてですか?」
尋ねてくれた。
「はい。ギルドどころか、この地方に
来るのも初めてで......どうしたらいいのか
わからず......そしたら親切な方にここで
話を聞いてみろと言われまして......」
「それはそれは。大変でしたね。
どこから来られたのですか?」
「日本です。ちなみに......ここは
どこですか?」
「ここはムラーロという世界です。
お客様は別の異世界から来られた方
なのですね?」
この見知らぬ土地に来て、異世界という
言葉を口にしたのはこれで三人目。
俺はもうそれを受け入れるしかなかった。
「......そ、そうなんでしょうか......」
「おそらく」
マジかよ......異世界だと......
日本に帰れんのか......俺......
「お客様がどのような経緯で
この世界に来たのかはわかりませんが、
とりあえず、この世界で生き抜く為に、
お客様のレベルを計らせていただきます」
「レベル!? え、なんすかそれ。
ゲームじゃないんですから」
「ゲームというのは存じ上げてませんが、
このレベルを計らないと、お客様は
冒険者認定されず、クエストも
受けられません」
「クエスト......」
「あ、それとお客様。この世界での
お金はお持ちでしょうか? レベルと
お客様の属性を計るのに、経費として
必要なのですが」
「お、お金ですか? やべぇどうしよ......
俺このコイン一枚しか......」
言って、バビロンから貰った
残りの一枚を女性に渡す。
「あ、1トリカで大丈夫ですよ」
「あ、よかった......」
それでウィンクさんは
残りの一枚はいいと俺に返したの
かもしれない。
そう納得している間に、受付の女性は
奥へと姿を消し、フラスコのような道具を
片手に再び戻ってきた。
「それではお客様のレベルと属性を
計らせていただくので、こちらの瓶に
お客様の血を一滴流し込んでください。」
いるもんだなぁ。
ウィンクという女性がこのギルドを
後にして、しばらくの間俺は乾いた喉を
水で潤しながら、この世も捨てたもんじゃ
ないと感動していた。
それに、あのバビロンという青年も
態度や口は悪かったが、見ず知らずの
俺にお金を分け与えてくれた。
後で彼を探して、お礼を言って
おかなければならない。
しかし......あのウィンクさんが
言っていた事は本当なのだろうか。
「異世界か......」
確かに、ここは明らかに日本じゃない。
首を巡らせば、目には入るのは剣や銃を
携えた者ばかり。あんなもの身につけて
いれば、日本じゃ捕まる。それに、
髪や眼の色も日本人離れしていた。
かといって、外国にもこんな場所はない。
それに......俺はあの青年の剣が炎を
纏っているのを目撃した。あれは果たして
現代の科学で実現することが可能だろうか?
ここは俺のいた世界とは違う異世界......
信じがたいが......もしかしたら
本当にここは......
「......まさかな......」
馬鹿馬鹿しい。
そう思った矢先だった。
ウィンクさんがここで
話を聞いてみろと助言した、受付所が
視界に入った。
聞いてみないと始まらない。
彼女のその言葉を思いだし、立ち上がる。
そして、ゆっくりと受付所に立っていた
女性の人に声をかけた。
「あ、あの......」
「はい。なんでしょう?」
声をかけてみたものの、果たして何を
聞けばいいのやらと、おどおど
していると、それを見かねた受付の
女性が
「ギルドに来られるのは初めてですか?」
尋ねてくれた。
「はい。ギルドどころか、この地方に
来るのも初めてで......どうしたらいいのか
わからず......そしたら親切な方にここで
話を聞いてみろと言われまして......」
「それはそれは。大変でしたね。
どこから来られたのですか?」
「日本です。ちなみに......ここは
どこですか?」
「ここはムラーロという世界です。
お客様は別の異世界から来られた方
なのですね?」
この見知らぬ土地に来て、異世界という
言葉を口にしたのはこれで三人目。
俺はもうそれを受け入れるしかなかった。
「......そ、そうなんでしょうか......」
「おそらく」
マジかよ......異世界だと......
日本に帰れんのか......俺......
「お客様がどのような経緯で
この世界に来たのかはわかりませんが、
とりあえず、この世界で生き抜く為に、
お客様のレベルを計らせていただきます」
「レベル!? え、なんすかそれ。
ゲームじゃないんですから」
「ゲームというのは存じ上げてませんが、
このレベルを計らないと、お客様は
冒険者認定されず、クエストも
受けられません」
「クエスト......」
「あ、それとお客様。この世界での
お金はお持ちでしょうか? レベルと
お客様の属性を計るのに、経費として
必要なのですが」
「お、お金ですか? やべぇどうしよ......
俺このコイン一枚しか......」
言って、バビロンから貰った
残りの一枚を女性に渡す。
「あ、1トリカで大丈夫ですよ」
「あ、よかった......」
それでウィンクさんは
残りの一枚はいいと俺に返したの
かもしれない。
そう納得している間に、受付の女性は
奥へと姿を消し、フラスコのような道具を
片手に再び戻ってきた。
「それではお客様のレベルと属性を
計らせていただくので、こちらの瓶に
お客様の血を一滴流し込んでください。」
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