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10話 異世界人の集い10
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シェアルが見たカードの画面には、
こう表示されていた。
服部隼人 能力値 測定不可
「やっぱ、はやっちもイレギュラー
だったか~」
ウィンクはその測定不可という
文字を見て、やけに納得していた。
「あ、兄貴。もしもこいつが
イレギュラーなら、能力値はまず
間違いなく、1000万以上ですよ!」
先ほど隼人とタチアナが入った、この
能力値を計る機械には一つだけ欠点がある。
それは、能力値が1000万を超えた者の
能力は計れず、測定不可という文字が
組合カードに表示されること。
異世界人はその能力値が測定不可と
なった者を総じて、イレギュラーと
呼ぶ。
「......くそっ! こんなところに二人も
イレギュラーがいるのかよ!
おい! お前ら! ずらか──」
だが、その判断は手遅れだった。
タチアナを押さえていた手下達が、
隼人によって地面に叩きつけられていく。
「ぐはっ!!」
また一人、また一人と手下達が
一瞬にして、容赦なく血の塊と化す。
どうせ、異世界人は死なない。
それを踏まえても、あまりにも
無惨に隼人は手下を殺していく。
「だから言ったのに。」
ウィンクはまたもや苦笑していた。
「畜生! こうなったら別の異世界にっ!
テレポート!」
このままでは、自分も間違いなく殺される。
そう思ったシェアルは別の異世界へと
転移しようとした。
バキッ!
しかし、あと一歩のところで、隼人の
拳がシェアルの顔面を破壊した。
そしてそのまま、シェアルは寄合所から
別の異世界へと転移したのだった。
怯えて逃げていく残りの手下達を
無視して、隼人はタチアナに駆け寄る。
「一体あいつらに何された。まさか
あいつら──」
「落ち着け、隼人。私は大丈夫。背中を
蹴られたぐらいだ。確かに、もう少しで
危うかったが、ほら、そこのウィンク
という隼人の旧人が助けてくれたぞ。」
動揺しっぱなしの隼人を落ち着かせ
ようと、タチアナは笑って言った。
そのタチアナの言葉に、ウィンクは
ニコッと笑って手を振る。
「......借りができましたね。」
「借り? 別にそんな風に捉えなくても
いいよ。私が彼女を助けたくて助けた
んだから。」
「......そうですか。」
「納得いってない?」
「......いいえ。とにかく、助かりました。」
「よろしい。ちゃんとお礼を言える
ようになってくれて、お姉さん嬉しいよ。」
そう言って微笑んだウィンクだったが、
直後、身も凍るような冷たい視線で
隼人を見る。
「けれど、少し油断しすぎだよ。
この世界が甘くないなんてこと、
君はわかってるよね?」
「......」
「それと、彼女、あのシェアルに特殊能力
で、力を奪われているはずだから、一時は、
立つこともできないはずだよ。まさか、
はやっち、特殊能力を忘れたわけでは
ないよね?」
特殊能力
以前に隼人がタチアナに教えていたが、
異世界人には各々不思議な能力を備えている。それを異世界人は特殊能力と呼ぶが、
隼人には特殊能力が無い。
「ええ」
「なら、よし。彼女さんにも
しっかり特殊能力について教えてあげ
てね。どういう経緯ではやっちが、
その彼女と一緒に旅をしているのかは、
聞かないけど......一度連れていくって
決めたんなら、絶対に見捨てちゃ駄目
だよ?」
「そんなことするわけ無いでしょ」
だが、ウィンクはその冷たい
視線を、隼人から外さなかった。
「......そう。ならいいや。じゃあ、
そろそろ私行くね」
そう言って、前のように隼人達の前から
いなくなろうとする。
「それで......」
しかし、ウィンクは、隼人の言葉に
足を止めた。
「本当は何しに来たんですか?」
その隼人の言葉に、ウィンクは
振り向いて言った。
「秘密。」
ただ単に、あの人が人助けをしに来た
はずが無い。
あの人はそんな人ではない。
きっと何か企んでいる。
そう思いながら隼人は、すたすたと
人混みの中へと消えていくウィンクを、
最後まで見つめていた。
こう表示されていた。
服部隼人 能力値 測定不可
「やっぱ、はやっちもイレギュラー
だったか~」
ウィンクはその測定不可という
文字を見て、やけに納得していた。
「あ、兄貴。もしもこいつが
イレギュラーなら、能力値はまず
間違いなく、1000万以上ですよ!」
先ほど隼人とタチアナが入った、この
能力値を計る機械には一つだけ欠点がある。
それは、能力値が1000万を超えた者の
能力は計れず、測定不可という文字が
組合カードに表示されること。
異世界人はその能力値が測定不可と
なった者を総じて、イレギュラーと
呼ぶ。
「......くそっ! こんなところに二人も
イレギュラーがいるのかよ!
おい! お前ら! ずらか──」
だが、その判断は手遅れだった。
タチアナを押さえていた手下達が、
隼人によって地面に叩きつけられていく。
「ぐはっ!!」
また一人、また一人と手下達が
一瞬にして、容赦なく血の塊と化す。
どうせ、異世界人は死なない。
それを踏まえても、あまりにも
無惨に隼人は手下を殺していく。
「だから言ったのに。」
ウィンクはまたもや苦笑していた。
「畜生! こうなったら別の異世界にっ!
テレポート!」
このままでは、自分も間違いなく殺される。
そう思ったシェアルは別の異世界へと
転移しようとした。
バキッ!
しかし、あと一歩のところで、隼人の
拳がシェアルの顔面を破壊した。
そしてそのまま、シェアルは寄合所から
別の異世界へと転移したのだった。
怯えて逃げていく残りの手下達を
無視して、隼人はタチアナに駆け寄る。
「一体あいつらに何された。まさか
あいつら──」
「落ち着け、隼人。私は大丈夫。背中を
蹴られたぐらいだ。確かに、もう少しで
危うかったが、ほら、そこのウィンク
という隼人の旧人が助けてくれたぞ。」
動揺しっぱなしの隼人を落ち着かせ
ようと、タチアナは笑って言った。
そのタチアナの言葉に、ウィンクは
ニコッと笑って手を振る。
「......借りができましたね。」
「借り? 別にそんな風に捉えなくても
いいよ。私が彼女を助けたくて助けた
んだから。」
「......そうですか。」
「納得いってない?」
「......いいえ。とにかく、助かりました。」
「よろしい。ちゃんとお礼を言える
ようになってくれて、お姉さん嬉しいよ。」
そう言って微笑んだウィンクだったが、
直後、身も凍るような冷たい視線で
隼人を見る。
「けれど、少し油断しすぎだよ。
この世界が甘くないなんてこと、
君はわかってるよね?」
「......」
「それと、彼女、あのシェアルに特殊能力
で、力を奪われているはずだから、一時は、
立つこともできないはずだよ。まさか、
はやっち、特殊能力を忘れたわけでは
ないよね?」
特殊能力
以前に隼人がタチアナに教えていたが、
異世界人には各々不思議な能力を備えている。それを異世界人は特殊能力と呼ぶが、
隼人には特殊能力が無い。
「ええ」
「なら、よし。彼女さんにも
しっかり特殊能力について教えてあげ
てね。どういう経緯ではやっちが、
その彼女と一緒に旅をしているのかは、
聞かないけど......一度連れていくって
決めたんなら、絶対に見捨てちゃ駄目
だよ?」
「そんなことするわけ無いでしょ」
だが、ウィンクはその冷たい
視線を、隼人から外さなかった。
「......そう。ならいいや。じゃあ、
そろそろ私行くね」
そう言って、前のように隼人達の前から
いなくなろうとする。
「それで......」
しかし、ウィンクは、隼人の言葉に
足を止めた。
「本当は何しに来たんですか?」
その隼人の言葉に、ウィンクは
振り向いて言った。
「秘密。」
ただ単に、あの人が人助けをしに来た
はずが無い。
あの人はそんな人ではない。
きっと何か企んでいる。
そう思いながら隼人は、すたすたと
人混みの中へと消えていくウィンクを、
最後まで見つめていた。
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