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3話 異世界人の集い3
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肩にかかった紫色の綺麗な髪に、
それに似合う整った美しい顔。
それだけなら俺もここまで取り乱しては
いなかっただろう。
「?」
昔から、この人の、心の内を見透かし
ているような冷たい目が嫌いだった。
そして、まるで自分の心の内を悟られ
ないように仮面を被った、この作り笑い
も苦手だ。
「な、なんで......ここにいるんすか......
ウィンクさん。」
「さぁて、なぜでしょう。」
ウィンクという名の女性は、意味ありげに
そう問いかけてくる。
「知らないですよ。てか、こっちが
聞いて──」
「はやっちならわかるはずだよ?」
「わかりません......あと......前々から
俺のことたま○っちみたいに呼ぶの
止めろって言ってるでしょ。」
「たま○っち? 何それ?」
そんな会話をしている内に、いつの間
にか辺りにいた異世界人達は姿を消し
ていた。
恐らくこの人に恐れをなして逃げたの
だろう。
この人には人を寄せ付けない不気味な
オーラがある。
まあ、ここまで異世界人が逃げ出すのは
それだけが理由ではないのだが。
「......はぁ......じゃあ、そういうことで
俺ら行きますね。」
「え~、そんな冷たいこと言わないでよ。
はやっちに会うの久々なんだからさ~。」
「隼人。何故そんなにもこの女性を
嫌うのだ。旧友なら少し話を
してあげても......」
俺の最も恐れていたことが起きてしまった。
俺とこのウィンクさんとの会話に
タチアナが介入してきた。
そうなると、このウィンクさんが
タチアナに何を仕出かすか、予想が
つかない。
そう思って、タチアナの口を塞ごうと
した時にはもう手遅れだった。
「おや? 初めて見る顔だ。
珍しいね。あのはやっちが
他の異世界人と一緒に行動してる
なんて。君は......もしかしてはやっちの
彼女?」
俺がタチアナの方を向いた時には、
ウィンクさんはタチアナと既に接触
していた。
「か、彼女では断じて無い!
私の名は──」
ここで俺はタチアナの口を塞ぐことに
成功し、ウィンクさんからタチアナを
引き離す。
「もー、はやっち。せっかく彼女が
自己紹介しようとしてるんだから、
邪魔しないでよ。」
「そうだぞ、隼人。私はただ自分の
名前を──」
「いいから。この人とは
関わるな。」
「そんな酷いこと言われたら、お姉さん、
傷ついちゃうな~。」
「いくら君が他の異世界人を嫌って
いるからと言っても、それはあんまりで
はないか?」
「......」
俺はタチアナに返す言葉が
見つからないまま、彼女から手を離す。
「というより、そもそもこの女性は
一体誰なんだ。君とどういう関係なのか
説明してくれ。」
それに似合う整った美しい顔。
それだけなら俺もここまで取り乱しては
いなかっただろう。
「?」
昔から、この人の、心の内を見透かし
ているような冷たい目が嫌いだった。
そして、まるで自分の心の内を悟られ
ないように仮面を被った、この作り笑い
も苦手だ。
「な、なんで......ここにいるんすか......
ウィンクさん。」
「さぁて、なぜでしょう。」
ウィンクという名の女性は、意味ありげに
そう問いかけてくる。
「知らないですよ。てか、こっちが
聞いて──」
「はやっちならわかるはずだよ?」
「わかりません......あと......前々から
俺のことたま○っちみたいに呼ぶの
止めろって言ってるでしょ。」
「たま○っち? 何それ?」
そんな会話をしている内に、いつの間
にか辺りにいた異世界人達は姿を消し
ていた。
恐らくこの人に恐れをなして逃げたの
だろう。
この人には人を寄せ付けない不気味な
オーラがある。
まあ、ここまで異世界人が逃げ出すのは
それだけが理由ではないのだが。
「......はぁ......じゃあ、そういうことで
俺ら行きますね。」
「え~、そんな冷たいこと言わないでよ。
はやっちに会うの久々なんだからさ~。」
「隼人。何故そんなにもこの女性を
嫌うのだ。旧友なら少し話を
してあげても......」
俺の最も恐れていたことが起きてしまった。
俺とこのウィンクさんとの会話に
タチアナが介入してきた。
そうなると、このウィンクさんが
タチアナに何を仕出かすか、予想が
つかない。
そう思って、タチアナの口を塞ごうと
した時にはもう手遅れだった。
「おや? 初めて見る顔だ。
珍しいね。あのはやっちが
他の異世界人と一緒に行動してる
なんて。君は......もしかしてはやっちの
彼女?」
俺がタチアナの方を向いた時には、
ウィンクさんはタチアナと既に接触
していた。
「か、彼女では断じて無い!
私の名は──」
ここで俺はタチアナの口を塞ぐことに
成功し、ウィンクさんからタチアナを
引き離す。
「もー、はやっち。せっかく彼女が
自己紹介しようとしてるんだから、
邪魔しないでよ。」
「そうだぞ、隼人。私はただ自分の
名前を──」
「いいから。この人とは
関わるな。」
「そんな酷いこと言われたら、お姉さん、
傷ついちゃうな~。」
「いくら君が他の異世界人を嫌って
いるからと言っても、それはあんまりで
はないか?」
「......」
俺はタチアナに返す言葉が
見つからないまま、彼女から手を離す。
「というより、そもそもこの女性は
一体誰なんだ。君とどういう関係なのか
説明してくれ。」
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