3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

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3話 異世界人の集い3

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肩にかかった紫色の綺麗な髪に、
それに似合う整った美しい顔。
それだけなら俺もここまで取り乱しては
いなかっただろう。


「?」


昔から、この人の、心の内を見透かし
ているような冷たい目が嫌いだった。
そして、まるで自分の心の内を悟られ
ないように仮面を被った、この作り笑い
も苦手だ。


「な、なんで......ここにいるんすか......
ウィンクさん。」


「さぁて、なぜでしょう。」


ウィンクという名の女性は、意味ありげに
そう問いかけてくる。


「知らないですよ。てか、こっちが
聞いて──」


「はやっちならわかるはずだよ?」


「わかりません......あと......前々から
俺のことたま○っちみたいに呼ぶの
止めろって言ってるでしょ。」


「たま○っち? 何それ?」


そんな会話をしている内に、いつの間
にか辺りにいた異世界人達は姿を消し
ていた。
恐らくこの人に恐れをなして逃げたの
だろう。
この人には人を寄せ付けない不気味な
オーラがある。
まあ、ここまで異世界人が逃げ出すのは
それだけが理由ではないのだが。


「......はぁ......じゃあ、そういうことで
俺ら行きますね。」


「え~、そんな冷たいこと言わないでよ。
はやっちに会うの久々なんだからさ~。」


「隼人。何故そんなにもこの女性を
嫌うのだ。旧友なら少し話を
してあげても......」


俺の最も恐れていたことが起きてしまった。
俺とこのウィンクさんとの会話に
タチアナが介入してきた。
そうなると、このウィンクさんが
タチアナに何を仕出かすか、予想が
つかない。
そう思って、タチアナの口を塞ごうと
した時にはもう手遅れだった。


「おや? 初めて見る顔だ。
珍しいね。あのはやっちが
他の異世界人と一緒に行動してる
なんて。君は......もしかしてはやっちの
彼女?」


俺がタチアナの方を向いた時には、
ウィンクさんはタチアナと既に接触
していた。


「か、彼女では断じて無い! 
私の名は──」


ここで俺はタチアナの口を塞ぐことに
成功し、ウィンクさんからタチアナを
引き離す。


「もー、はやっち。せっかく彼女が
自己紹介しようとしてるんだから、
邪魔しないでよ。」


「そうだぞ、隼人。私はただ自分の
名前を──」


「いいから。この人とは
関わるな。」


「そんな酷いこと言われたら、お姉さん、
傷ついちゃうな~。」


「いくら君が他の異世界人を嫌って
いるからと言っても、それはあんまりで
はないか?」


「......」


俺はタチアナに返す言葉が
見つからないまま、彼女から手を離す。


「というより、そもそもこの女性は
一体誰なんだ。君とどういう関係なのか
説明してくれ。」
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