3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

文字の大きさ
上 下
317 / 351

三百十六話 決断2

しおりを挟む
いつの間にか俺の背後に移動していた
魔王は、俺に向かって得体の知れない
黒い風のような物を飛ばしてきた。
俺はそれをかわして、もう一度
魔王の懐に入る。
魔王は俺の動きを目で捉えられない
ようで、無防備ににやけている。
果たしてその余裕は一体どこから
くるのか。
この魔王は何を企んでいるのか。
そんな考えが頭を過るも、とりあえず
俺は再び魔王を粉砕した。
今度は骨も残らない程に、完全に消滅
させた。


「ほ、ほう......驚いたな。
そうか......貴様がラーバの言って
いた──」


だが、そいつは再び俺の
目の前に現れた。
若干、顔をひきつらせて何かを
言っているが、俺は迷わず再び魔王を
破壊した。


「フハハハッ!! 無駄だ。
我は死なぬ。」


何だ......こいつの能力は......
何で死なないんだ?
幻覚? いや、俺が今さらそんな
手に引っかかるわけがない。
俺の目の前にいるのは間違いなく
本物だ。
じゃあ何だ? どうやってこいつは
生き返った?


俺は今までの経験を駆使して
魔王を討伐する方法を考える。


「我の倒し方でも考えているのか?」


すると、魔王は不敵に笑ってそう
言ってくる。


「貴様は確かに強い。
我の力など足下にも及ばぬ程にな。
だが、貴様が我をどれほど倒そうと
無駄よ。我は死なぬからな。」


「......」


厄介だな......もしかしたら今回の魔王は
不死身の体を持っているのかも
しれない。
だとしたら、今の俺にこいつを倒すのは
無理だ。
一度、ギルドに戻って職業を
魔法使いに変更してくるか......
魔法使いなら封印系の魔法を
使えるかもしれない。
以前も別の異世界で不死身の
魔王を封印してクリア条件を満たせた
からな。
もしもこの世界にまだ封印系の魔法が
無いのなら......俺が一から開発する
しかないか......


だが、もう一つ可能性がある。
それは魔王はいわゆる魂という物を
何個も持っている可能性。
これなら、その魂分こいつを
殺し続ければいい。
しかし、これほどの余裕を俺に
見せているのだから、その可能性は
薄いだろう。
けれど、このままこの場を離れる
前に試してみる価値はある。


そう思って俺が再び魔王の元に
接近しようとしたその時。


「!?」


後ろから誰かに抱きつかれた。


ばっと後ろを振り向くと俺に抱きついて
いたのはタチアナだった。
タチアナの体は信じられない程に
震えている。


まあ、そりゃ怖かったよな......
不死身の敵を前にしてこれだけ
仲間が倒されたんだ。
タチアナだってこんな敵を前にした
怖くなるに決まってる。



「タチアナ、ごめんな。
遅れて。でも、もう大丈──」


「殺してくれ!」


「......は?」



「今すぐこの私を殺してくれ!!
隼人!!」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

闇属性転移者の冒険録

三日月新
ファンタジー
 異世界に召喚された影山武(タケル)は、素敵な冒険が始まる予感がしていた。ところが、闇属性だからと草原へ強制転移されてしまう。  頼れる者がいない異世界で、タケルは元冒険者に助けられる。生き方と戦い方を教わると、ついに彼の冒険がスタートした。  強力な魔物や敵国と死闘を繰り広げながら、タケルはSランク冒険者を目指していく。 ※週に三話ほど投稿していきます。 (再確認や編集作業で一旦投稿を中断することもあります) ※一話3,000字〜4,000字となっています。

どこかで見たような異世界物語

PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。 飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。 互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。 これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

処理中です...