3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

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二百九十三話 真実

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「役者は揃ったようだな。」



タチアナの刃が魔王の心臓のある
位置を貫いても死ぬこと無く、
平然と玉座に座っていた魔王は
立ち上がって、タチアナ達を見下ろす。


「兄様。何故奴は私が心臓を貫いても
生きているんだ。」


「......わからないのだよ。
魔王の自己再生能力で
お前が負わせた傷を即座に
治したのかもしれない。、
ただ、魔王は体を跡形も無く
消し去っても死ななかった。」


「......では、どうする。兄様。」


「......」


バーゼンにも魔王を倒す方法が
見当たらなかった。
ヨーテルと同じでバーゼンも
自己再生能力を持っているのなら、
体を完全に消滅させてしまえば
いいと考えていたのだ。

しかし、さっきヨーテルが
魔王を完全に消滅させても
魔王は生きていた。

そうなると、もはや魔王を倒す
手段などあるのかとすら
思えてくる。


「......そういえば......兄様......
長老はどこにいるのだ。
何処にも見当たら無いが......」


「......」


けれど、ここで諦めては
亡くなっていった者達に
申し訳ない。
きっと何か魔王を倒す方法はあるはず。


「鬼灯! まだ戦えるか!?」


「......ばりばり......」



ばりばり戦えそうには見えないが、
鬼灯は負傷した腕を押さえながら
駆け寄って来る。


ヨーテルはさっきの魔法で
魔力を使い果たしてしまったか......
残るは......


「カクバ! お前はどうなのだよ!」


バーゼンはカクバを見て言わなかった。
なぜなら、おう! あたりめぇだ!
と返事が返ってくるのがわかって
いたから。
だが、バーゼンのその予想は外れた。


「......」


カクバは返事をせずに、
尋常じゃ無い量の汗をかきながら
何かを考え込んでいる。


「......どうしたのだよ......カクバ。」


バーゼンもこんなに様子のおかしい
カクバは初めて見た。


「え!? あ、い、いや! 何でもねぇ。
......で、何だって?」


「お前はまだ戦えるのかと
聞いているのだよ。」


「あ、ああ! ったりめぇだよ!」


何か様子が変だが、今はそんな
ことを考えている場合ではない。

バーゼン、タチアナ、鬼灯、
カクバは四人揃って魔王の前に
堂々と立った。


「フハハハ! まだ我に歯向かう気が
あったか。まあ、よい。
存分に戦って我に敗北せよ。
だが、今度は貴様らと戦うのは
我では無い。いや......我では
あるがな......」


魔王の謎の発言に困惑する
四人だったが、魔王はお構い無しに
続けて言った。


「さて......我の最高傑作が
上手くいけばよいのだがな。」


その時だった。


バタッ!


なんと、玉座の前に立っていた
魔王がいきなり膝から崩れ落ちた。


「!?」


バーゼンは何が起こったのか
理解できずに、ただその場に
突っ立っていたが


「ああああっ!!!」


カクバのうめき声を聞いて
ばっと隣に目を移した。


「っな......!」


バーゼンの視界に一番最初に
飛び込んで来たのは、
切り落とされて地面に落ちる
カクバの右腕と.........


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