285 / 351
二百八十五話 到着2
しおりを挟む
「タチアナ! まだだ! 止めを刺せ!!」
ズボッと魔王からナイフを抜いた
タチアナに、カクバは叫んだ
が、その必要は無くタチアナは
「石化切烈!」
と、容赦のない斬撃で魔王の
首を切り落としたのだった。
バタ......と首の無くなった魔王の
体はその場に倒れる。
「イン......フェルノ......」
すると、魔王が自己再生能力を
持っていることを知らないタチアナの
代わりに、ヨーテルが完全に魔王の
体と頭を燃やし尽くした。
「これで......」
今度は間違い無く、跡形も無く燃やし
尽くした。
ヨーテルは有るだけの力を
全て出し尽くして、膝を着いた。
そんな彼女にタチアナは
「すまない......遅れてしまった......」
と、駆け寄った。
「ほんとよ......ほんとに遅いわよ......」
けれど、これでようやく ......
そう思ったヨーテルに、再びあの声が
聞こえた。
「悪くない剣さばきよ。
まだこれほどの力を持った人間が
おったとは......どれ......顔を見せて
みよ。」
完全に燃やし尽くしたはずの
魔王は、体に何一つとして傷を
負っているようすは無く、
堂々と玉座に座ってタチアナを
見ていた。
「!! フハハハッ!!
ようやくか......てっきり
ラーバは我に嘘を申した
と思っていたが......安心したぞ。」
魔王はタチアナの顔を
見た途端にやけに上機嫌になったが、
そんな魔王にタチアナは
一切興味を示さず、辺りをキョロキョロ
していた。
「ヨーテル。」
「?」
「私より先に彼は来なかったか?」
「彼?」
「隼人のことだ。君も知ってるだろう。」
「? あいつならあんたと一緒にフリーズ
ランドに行ったんじゃないの? 」
「......どこに行ったのだ......隼人......」
隼人がまだ魔王と敵対していないのと、
カクバ達が魔王城で魔族に全く
出会わずに、玉座の間に来れたのは
とある出来事が関係していた。
時を遡ること約一時間程前......
【魔王城 地下 人間室】
「喜べ、マッドサイエン様のご指名だ。」
「さっさと歩け。」
檻の中から出されたルドルフと
サッちゃんは目隠しをされたまま、
五体の魔族に連行されていた。
どうにかして逃げ出さないと、僕も
あんな醜い化け物に!!
ルドルフの脳裏にはこの人間室に
連れて来られる道中で目撃した、
人間達の哀れな姿が過っていた。
くそ......せめてこの目隠しのマスクと
手錠が外れれば......
ルドルフがそう思っていた時、
魔王城がグラッと揺れた。
「なんだなんだ! 地震か!?」
実はこれ、カクバ達が魔王城に
攻め込む前、ヨーテルが
一発強力な魔法を魔王城に
お見舞いしたのが原因だった。
ドタバタとルドルフやサッちゃん、
そして二人を連行していた五体の
魔族達が倒れる。
「ぁいったぁ......」
その時、サッちゃんはまあまあの
勢いで地面に頭をぶつけたが、
その拍子に目隠しのマスクが片目
だけピロッと外れた。
あ! 鍵!!
サッちゃんの目の前
には同様に頭をぶつけて気絶した
魔族がいた。運の良いことに、
その魔族の腰には何本か鍵がある。
「いってぇ......なんだ今の揺れは......」
「糞......頭が......」
幸いにも、他の四体はまだ自分が
鍵を見つけたことに気づいていない。
サッちゃんは手錠で縛られた手を
ぐーっと近づけて何とか鍵を
盗み取る。
私の手錠は無理でも、ルドルフさんの
手錠は外せる!!
サッちゃんは魔族達に気づかれない
ように、そっとルドルフの手錠に
一本目の鍵を差し込む。
違う......
二本目......これも違う......
じゃあ、残ったこれが!!
と、ここでサッちゃんはミスを
犯してしまった。
手錠の鍵がこれだとわかった嬉しさと、
自身も手が手錠で縛られている為、
上手く手錠の鍵穴に差し込むことが
できずに、あろうことかルドルフの
腕にぶっ刺してしまった。
「痛!! え!? な、何!?」
そうなると、当然の如くルドルフが
悲鳴を上げる訳で......
「なんだ? お、おい! お前何して
んだ!」
「こいつ鍵持ってるぞ!!!」
ズボッと魔王からナイフを抜いた
タチアナに、カクバは叫んだ
が、その必要は無くタチアナは
「石化切烈!」
と、容赦のない斬撃で魔王の
首を切り落としたのだった。
バタ......と首の無くなった魔王の
体はその場に倒れる。
「イン......フェルノ......」
すると、魔王が自己再生能力を
持っていることを知らないタチアナの
代わりに、ヨーテルが完全に魔王の
体と頭を燃やし尽くした。
「これで......」
今度は間違い無く、跡形も無く燃やし
尽くした。
ヨーテルは有るだけの力を
全て出し尽くして、膝を着いた。
そんな彼女にタチアナは
「すまない......遅れてしまった......」
と、駆け寄った。
「ほんとよ......ほんとに遅いわよ......」
けれど、これでようやく ......
そう思ったヨーテルに、再びあの声が
聞こえた。
「悪くない剣さばきよ。
まだこれほどの力を持った人間が
おったとは......どれ......顔を見せて
みよ。」
完全に燃やし尽くしたはずの
魔王は、体に何一つとして傷を
負っているようすは無く、
堂々と玉座に座ってタチアナを
見ていた。
「!! フハハハッ!!
ようやくか......てっきり
ラーバは我に嘘を申した
と思っていたが......安心したぞ。」
魔王はタチアナの顔を
見た途端にやけに上機嫌になったが、
そんな魔王にタチアナは
一切興味を示さず、辺りをキョロキョロ
していた。
「ヨーテル。」
「?」
「私より先に彼は来なかったか?」
「彼?」
「隼人のことだ。君も知ってるだろう。」
「? あいつならあんたと一緒にフリーズ
ランドに行ったんじゃないの? 」
「......どこに行ったのだ......隼人......」
隼人がまだ魔王と敵対していないのと、
カクバ達が魔王城で魔族に全く
出会わずに、玉座の間に来れたのは
とある出来事が関係していた。
時を遡ること約一時間程前......
【魔王城 地下 人間室】
「喜べ、マッドサイエン様のご指名だ。」
「さっさと歩け。」
檻の中から出されたルドルフと
サッちゃんは目隠しをされたまま、
五体の魔族に連行されていた。
どうにかして逃げ出さないと、僕も
あんな醜い化け物に!!
ルドルフの脳裏にはこの人間室に
連れて来られる道中で目撃した、
人間達の哀れな姿が過っていた。
くそ......せめてこの目隠しのマスクと
手錠が外れれば......
ルドルフがそう思っていた時、
魔王城がグラッと揺れた。
「なんだなんだ! 地震か!?」
実はこれ、カクバ達が魔王城に
攻め込む前、ヨーテルが
一発強力な魔法を魔王城に
お見舞いしたのが原因だった。
ドタバタとルドルフやサッちゃん、
そして二人を連行していた五体の
魔族達が倒れる。
「ぁいったぁ......」
その時、サッちゃんはまあまあの
勢いで地面に頭をぶつけたが、
その拍子に目隠しのマスクが片目
だけピロッと外れた。
あ! 鍵!!
サッちゃんの目の前
には同様に頭をぶつけて気絶した
魔族がいた。運の良いことに、
その魔族の腰には何本か鍵がある。
「いってぇ......なんだ今の揺れは......」
「糞......頭が......」
幸いにも、他の四体はまだ自分が
鍵を見つけたことに気づいていない。
サッちゃんは手錠で縛られた手を
ぐーっと近づけて何とか鍵を
盗み取る。
私の手錠は無理でも、ルドルフさんの
手錠は外せる!!
サッちゃんは魔族達に気づかれない
ように、そっとルドルフの手錠に
一本目の鍵を差し込む。
違う......
二本目......これも違う......
じゃあ、残ったこれが!!
と、ここでサッちゃんはミスを
犯してしまった。
手錠の鍵がこれだとわかった嬉しさと、
自身も手が手錠で縛られている為、
上手く手錠の鍵穴に差し込むことが
できずに、あろうことかルドルフの
腕にぶっ刺してしまった。
「痛!! え!? な、何!?」
そうなると、当然の如くルドルフが
悲鳴を上げる訳で......
「なんだ? お、おい! お前何して
んだ!」
「こいつ鍵持ってるぞ!!!」
0
お気に入りに追加
132
あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。

闇属性転移者の冒険録
三日月新
ファンタジー
異世界に召喚された影山武(タケル)は、素敵な冒険が始まる予感がしていた。ところが、闇属性だからと草原へ強制転移されてしまう。
頼れる者がいない異世界で、タケルは元冒険者に助けられる。生き方と戦い方を教わると、ついに彼の冒険がスタートした。
強力な魔物や敵国と死闘を繰り広げながら、タケルはSランク冒険者を目指していく。
※週に三話ほど投稿していきます。
(再確認や編集作業で一旦投稿を中断することもあります)
※一話3,000字〜4,000字となっています。
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

F級スキル持ちのモブ陰キャ、諦めきれず毎日のようにダンジョンに潜ってたら【Lv.99999】まで急成長して敵がいなくなりました
藍坂いつき
ファンタジー
ある日、世界に突如として現れた迷宮区《ダンジョン》と呼ばれる謎の地下迷宮。
同時にスキルと呼ばれる異能の能力、レベルという概念までが現れた。
各国の政府機関は国連と結託し、探索者ギルトというものを設立し、大探索者時代が到来する。
そんな中、長年引きこもりニート生活を極めていた高校生「國田元春」はニート生活から脱却すべく探索者免許を手に入れたのだが……開眼したスキルはF級と呼ばれる一番弱いスキルだった。
しかし、そのスキルには秘密があった。
それは、レベルが99999になると言うバグが発生すると言うもので……。
「え、俺のレベル高すぎない??」
※筆者は長年ラブコメを書いている恋愛厨です。恋愛要素が多く、ファンタジーが上手いわけではありません。お手柔らかにお願いします。
※カクヨムからの転載になります。カクヨムでは3000フォロワー、☆1000突破しました!
HOTランキングトップ5入りありがとうございます!
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる