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二百七十五話 魔王城8
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突如として現れた魔法陣の上で
倒れてしまったアルナ達を
謎の影が包み込む。
「おい!」
カクバは真っ先に助けようと
彼女たちに手を伸ばしたが、
一瞬にしてアルナ達は影と
共に消滅していった。
「何しやがったんだ、てめぇ!」
「フハハハッ!! 今、影の中
へと消えた奴等は、言わば
我と戦うに値しない脱落者だ。」
「脱落者? んなもんてめぇなんかが
勝手に決めてんじゃねぇよ!
あいつらを返せ!」
「安心しろ。あやつらは我が生成した
別次元に飛ばしただけだ。
死んではおらん。我を倒せれば
あやつらは戻ってくる。
しかし、まさか魔力値が五千を
越えている人間が五人しかおらぬ
とは......。興ざめよな。」
「魔力値......じゃと? まさか、今の
魔法陣はわしらの魔力値を測って
おったのか!?」
「少し違うな、長老よ。
我は貴様らの魔力値を測ったので
はなく、魔力を吸い取ったのだ。
倒れていった人間は魔力が
尽きていった弱者よ。
そのような奴等が我の前に立とう
などと、許されるものか。」
こいつ......さっきから偉そうに......!!
カクバの限界は近かった。
今すぐにでもぶっ殺したい。
しかし、その思いを必死に抑え、
彼は耐えていた。
こんなところで自分が身勝手な
行動を取るわけにはいかない。
そう言い聞かせる。
「? どうした、人間。
何か言いたそうな顔をして。
申してみよ。寛容な我は
貴様のような品の無い生き物にも、
その権利を与えてやる。」
「......」
抑えろ......抑えろ......!!
「フハッ! 何を我慢する必要がある。
貴様は我を倒しに来たのであろう?
それとも......ああ、地下で拷問や
人体実験をされている人間でも
助けに来たか?」
「......」
「安心しろ。地下にいる人間など
助ける価値もない。」
「......」
「教えてやろうか?
捕らえられた人間がどのような
扱いを地下で受けているのか。」
「......」
カクバの額の血管が
怒りで膨れ上がっていくのを
楽しむように、魔王は続ける。
「オスは奴隷として体が
ぼろぼろになるまで働かされ、
メスは理性を失うまで
我が配下の者達のおもちゃになる。
その後使い物にならなくなった
人間は、脳を抜き取られ、我が配下
マッドサイエンによって我の
新戦力へと──」
これ以上、カクバは我慢できなかった。
握りすぎて噴き出してしまった
血が、カクバの拳を伝ってポタポタと
地面に落ちる。
「あああああっ!!!!!!!」
「カクバ!」
カクバにはバーゼンの声などもう
耳には入って来なかった。
目の前にいるあれを殺す。
ただ、それだけが原動力と
なって、彼を魔王の元へと
突っ走らせていた。
「ようやくか。せいぜい我を
楽しませてみせよ。人間。」
倒れてしまったアルナ達を
謎の影が包み込む。
「おい!」
カクバは真っ先に助けようと
彼女たちに手を伸ばしたが、
一瞬にしてアルナ達は影と
共に消滅していった。
「何しやがったんだ、てめぇ!」
「フハハハッ!! 今、影の中
へと消えた奴等は、言わば
我と戦うに値しない脱落者だ。」
「脱落者? んなもんてめぇなんかが
勝手に決めてんじゃねぇよ!
あいつらを返せ!」
「安心しろ。あやつらは我が生成した
別次元に飛ばしただけだ。
死んではおらん。我を倒せれば
あやつらは戻ってくる。
しかし、まさか魔力値が五千を
越えている人間が五人しかおらぬ
とは......。興ざめよな。」
「魔力値......じゃと? まさか、今の
魔法陣はわしらの魔力値を測って
おったのか!?」
「少し違うな、長老よ。
我は貴様らの魔力値を測ったので
はなく、魔力を吸い取ったのだ。
倒れていった人間は魔力が
尽きていった弱者よ。
そのような奴等が我の前に立とう
などと、許されるものか。」
こいつ......さっきから偉そうに......!!
カクバの限界は近かった。
今すぐにでもぶっ殺したい。
しかし、その思いを必死に抑え、
彼は耐えていた。
こんなところで自分が身勝手な
行動を取るわけにはいかない。
そう言い聞かせる。
「? どうした、人間。
何か言いたそうな顔をして。
申してみよ。寛容な我は
貴様のような品の無い生き物にも、
その権利を与えてやる。」
「......」
抑えろ......抑えろ......!!
「フハッ! 何を我慢する必要がある。
貴様は我を倒しに来たのであろう?
それとも......ああ、地下で拷問や
人体実験をされている人間でも
助けに来たか?」
「......」
「安心しろ。地下にいる人間など
助ける価値もない。」
「......」
「教えてやろうか?
捕らえられた人間がどのような
扱いを地下で受けているのか。」
「......」
カクバの額の血管が
怒りで膨れ上がっていくのを
楽しむように、魔王は続ける。
「オスは奴隷として体が
ぼろぼろになるまで働かされ、
メスは理性を失うまで
我が配下の者達のおもちゃになる。
その後使い物にならなくなった
人間は、脳を抜き取られ、我が配下
マッドサイエンによって我の
新戦力へと──」
これ以上、カクバは我慢できなかった。
握りすぎて噴き出してしまった
血が、カクバの拳を伝ってポタポタと
地面に落ちる。
「あああああっ!!!!!!!」
「カクバ!」
カクバにはバーゼンの声などもう
耳には入って来なかった。
目の前にいるあれを殺す。
ただ、それだけが原動力と
なって、彼を魔王の元へと
突っ走らせていた。
「ようやくか。せいぜい我を
楽しませてみせよ。人間。」
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